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イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ストレス絶頂、コロナウイルスの感染率がパンデミック最高を迎えたイギリスの混乱とプレッシャーをあおるマスコミ

2020年12月23日 08時00分00秒 | 気になる出来事、社会情勢
クリスマスらしい写真のつぎはぎをお届けします。
道行く人とクリスマスを迎える喜びを分かち合うための外の飾り(ドアにかけるリース wreath を中心に)の写真を撮って歩きました。



話題は気の滅入るコロナウィルスのパンデミックの状況悪化.....
連合王国内の昨日の感染者数は36,804人でした。
日本は2,135人ですね。


(ゴミ箱がジャマですね)

現在、欧州をはじめ40か国以上がコロナウィルスの変異種の感染拡大が確認されたイギリスからの入国を阻止する措置に踏み切っています。

フランスが国境を封鎖して二日間、食料品の供給が停止するおそれからまたまたスーパーマーケットの棚が空になるパニック現象がおこっています。

どのスーパーマーケットも、クリスマスが終わるまで充分な備蓄があると発表しているのですが、春先の第1回目のロックダウンの始まり前後と同じで不安が人々を買いあさり、買いだめに走らせるようですね。

ただしどこでも、というわけではないようです。
月曜日に夫が、気乗りしない息子を引き連れてクリスマス前最後の買い出しに行きました。

私のうちでは毎年ネコが私にプレゼントを何かくれることになっています。
買い物に行けないネコたちに代わって息子に選ばせようという例年通りの計画です。

(庭に住みついたイボイボガマが夫にプレゼントをあげる習慣もあります。その買い込みは私が請け負っています)

気をつければソーシャルディスタンシングがじゅうぶんにとれる程度の人出で、「棚が空」というほど切迫していなかったそうです。
目当ての品はほぼすべて買い込んできました。
ニュースで聞いた通り、クリスマスの必需品の柑橘類と、私のうちでは季節を問わず欠かさないブロッコリー、カリフラワー、トマトがぜんぜんなかったそうです。
前回あっという間に姿を消したパスタと小麦粉がまだ十分にあったので少し多めに買い込んできました。

生鮮食料品の多くはヨーロッパ大陸との交流が断たれれば混乱が収まるまでかなりの長きにわたって供給が止まる恐れもあるそうなのです。

買ってくるようにたのんだレモンがなかったそうです。
夫が「これなしには年が越せない」というイギリス国産のブルーチーズ、スティルトンも売り切れだったそうです。
(ヨーロッパからの物流停止とは無関係でしょう)

昨日からイギリス最大のスーパーマーケットチェーン、テスコは「1人、1品目につき3点まで」の制限を設けています。

ヨーロッパ大陸との流通とあまり関係のなさそうなトイレットペーパーとせっけんが、またもや!買い込みの対象になる恐れも出ているそうです。



感染力が高いコロナ変異種の拡大をおそれるフランスが国境(ドーバー海峡を渡るフェリーの検問所)を封鎖したため、ヨーロッパ各国からイギリスに物資を輸送してきたトラック2000台以上がドーバー海峡付近の道路で足止めされています。
トラックの運転手はクリスマス前最後の仕事を終えて、フェリーでフランスのカレーにわたり、そこからヨーロッパ各国に帰国し家族でクリスマスを過ごすはずだったのです。





(現在持ち帰り営業のみで繁盛しているカフェです。1回に1人しか入れないので歩道に順番待ちの人がいます)



トイレや手や体を洗う設備もない路上にとめた、寒そうなトラックの運転席で寝泊まりする気の毒なトラック運転手がいつ帰国できるか誰にもわかりません。

コロナ検査後、陰性だった人に限ってフランスに入国できる措置を取るともいわれていますが、大変な時間がかかりますし検査結果が確実な保証はないとフランス政府は考えているみたいです。
遠くドイツや東欧から来てイギリスでクリスマス前に足止めをかけられたトラック運転手の「家で6歳の娘が僕の帰りを待っている」というような談話がニュースのたびに流れます。

クリスマスの家族との集まりをあきらめた、あるいは1人で過ごすことを余儀なくされた人たちの嘆きも連日テレビで放送されています。

ロックダウンが課せられた「ティア4(危険度最高段階)」地域のものすごい数の住人が、土曜日午後4時の発表から移動禁止令施行開始の深夜12時01分の間に、超絶過密列車に乗って連合国中各地(主に、コロナ変異種がまだ蔓延していないためロックダウンに至らず比較的自由な中、北部)に帰省しています。

すべり込みセーフの「合法移動」です。
その人たちの身勝手な行動によってもうすでにここ北西部にも変異種はしっかりと蔓延していることでしょう。

コロナ対策の必要性について話される際、必ず「クリスマスを家族と過ごせなくなるのがどれほどむごいことなのか十分理解できます。しかし!....」という常套句で始まります。
私など、「クリスマスだから家族と過ごさなければならない、クリスマスなのに家族と過ごすことができない」というヨーロッパ独自の価値観が多くの人のプレッシャーになって今回の混乱を引き起こしたように思うのですがいかがでしょうか。

この非常時以外にもなにか事情があってクリスマスを家族と過ごすことができない人が毎年とてもたくさんいるはずです。
そのプレッシャーがその人たちをより一層みじめにしていることもありうるでしょう?

実際は「クリスマスは誰にも遠慮せずとっておきのワインを飲んで1人で昼過ぎまで寝ていたい、起きたら今まで見られなかった映画を見る」などと1人で過ごすクリスマスを気楽に楽しんでいるのに「クリスマスに1人=気の毒」なレッテルをはられてイヤな思いをしている人もいるはずです。



なかなか親や孫などに会えない人たちを「クリスマスだから会えるはずだったのに、なんという悲しみ!」と絶望させるより、「どうせ普段から会っていないんだからクリスマスにも会えなくたって気にすることではない」と発想の転換をするか、むしろできるなら普段から会う努力をした方が建設的だと思うのです。



こんなことをイギリスで発言すれば「あなたはイギリス人ではないからわからないのだ」と決めつけられるだけでしょう。


(予約をすれば開けて店内を見せてくれる、いつも閉まっているアンティーク店のショーウィンドウです。クリスマスと全然関係のない陶器の子供たちのフィギュアリンを集めて、クリスマス・キャロル風に演出しています。さりげなくいっしょに飾った赤と緑のカットグラスも気が利いています)


「今回のクリスマスに親に1回会えなくたって、あなたが持ち込んだコロナウィルスで、親を含めたおおぜいの人を死なせるよりよっぽどいい。
生きていたらクリスマスじゃなくたってまた何度でも会えるんだから」という発想ができないのは、クリスマスだから会わなければというプレッシャーが異常に高まってきているためだと思います。
高めているのは「ほんと、悲しいですね。心からお察しします」調の、マスコミの思いやりです。

危険度を段階的に示す「ティア制度」も混乱のもとです。
自分たちがクリスマスの集まりもクリスマスショッピングも外食も禁止なのに、道路を1本またいだ向こう側では全部オッケー、って噴飯のタネではありませんか。

ロックダウン地域から、危険度が低いとなりの地域にこっそり足をのばしてクリスマスショッピングをする人たちは必ずいると思います。
前回、ウェールズが独自の厳しい「ショートブレーク・ロックダウン」をした時は国境を越えてイングランドのパブに飲みに来ていたウェールズ人が一定数いたらしいですし。


(持ち帰り専門のインド料理屋です トレードマークがターバンを巻いたシーク教徒のコックさんですがちゃんとクリスマスの飾りで雰囲気を盛り上げています。イギリスのクリスマス熱は現在キリスト教とはほぼ無関係です)

パンデミック始まって以来最高の感染率、危機感、混乱です。
私のうんざり度も最高潮です。










コメント (10)
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