大相撲秋場所14日目(24日・両国国技館)後続に2差をつけて単独首位だった大関豪栄道が平幕の玉鷲を力強く寄り切って14戦全勝とし、初優勝を決めた。
30歳5カ月での初制覇は年6場所制で5番目の年長で、かど番大関の優勝は2008年夏場所の琴欧洲以来。

 横綱日馬富士は大関稀勢の里を寄り切り、11勝目。稀勢の里は5敗目を喫した。横綱鶴竜は大関照ノ富士を寄り切り、10勝4敗。照ノ富士は10敗目。大関琴奨菊は9勝目を挙げた。

 ただ一人、豪栄道を2敗で追っていた平幕遠藤は関脇高安を寄り切り、12勝目。十両は大輝と阿武咲が3敗で並ぶ。

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初V豪栄道「不安でいっぱい」前夜一睡もできず 記録ずくめの悲願


 「大相撲秋場所・14日目」(24日、両国国技館)


万雷の拍手を受け感無量の豪栄道(撮影・佐々木彰尚)c デイリースポーツ/神戸新聞社 万雷の拍手を受け感無量の豪栄道(撮影・佐々木彰尚)  
 大関豪栄道(30)=境川=が平幕玉鷲を寄り切りで下し、怒とうの無傷14連勝で初優勝を飾った。30歳5カ月の初優勝は歴代5位の年長記録、新入幕から54場所は4番目のスロー達成となった。
08年琴欧洲以来、8人目のかど番V。大阪出身力士の賜杯は86年ぶり3人目と記録尽くしの悲願成就となった。

 気持ちがはやったか、つっかけてやり直し。2度目の立ち合いは下から豪快に攻め立て、右を差すと頭を付けて一気に寄った。
 ついにつかんだ頂点。大きく「フーっ」と息を吐いた。館内から「豪栄道」コールが響く中、土俵下では必死に興奮を抑えた。

 テレビインタビューでは泣いた。「いろいろな思いがありました。思い通りにいかないことが多くてつらかったけど、今日で少し報われました。うれし涙です」と、ほほを涙がつたった。
 大関13場所目で2桁勝利がわずか2度。今場所が4度目のかど番だ。「大関に上がってなかなか思うように勝てなくて、そういうつらい中で、自分の中で我慢してきた」と、ふがいない思いをずっと抱えてきた。

 前日、13連勝した時、周囲はもう優勝が決まったかのような騒ぎ。「僕は不安でいっぱいだった。勝負ごとは最後まで分からない」。前夜は相撲人生初めて一睡もできなかった。
 優勝の要因は「右差しにこだわって取ったのが良かった」と振り返った。「まぐれだと言われないように来場所、頑張りたい」と力を込めた。

 来場所、九州場所が綱とりとなるが、今は「まだ何も考えていない。ちょっと余韻に浸らせてください」と、喜びをかみしめる時。帰りには母・沢井真弓さん(60)や姉・笠原優雅(36)らと優勝記念写真に照れくさそうに収まった。