〈SUA卒業式〉 池田先生のメッセージ2022年5月30日
- 創価の世界市民の真価を発揮し
- 使命の舞台から21世紀を晴らせ
一、使命深き18期生の皆さん、また、大学院新教育プログラムの7期生の皆さん、晴れのご卒業、誠におめでとう!
いつにもまして、ご苦労の多い中、勝利の日を共に迎えられたご家族にも、心よりお祝い申し上げます。
人類の宝たる英才たちを支え育んでくださった教職員をはじめ、全ての関係者の方々、誠にありがとうございます!
今この時、まさに試練の時代に旅立つ皆さんへ、私ははなむけとして「創価の世界市民の真価を勇気凜々と発揮せよ」と贈ります。
世界市民にとって普遍の規範というべき「世界人権宣言」――その作成に重要な役割を果たされたブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁の最晩年、私はご一緒に対談集『21世紀の人権を語る』を発刊し、採択までの尊き歴史を留めました。
東西冷戦下の当時、政治情勢、思想・信条の相違などから議論は激しく対立し、紛糾する中で、最も力を注いだことは何であったか――。
それは、「世界の各民族の間に“精神的なつながり”を創り出すこと、すなわち、“精神の世界性”を確立すること」であったといいます。
皆が同じ「人間」という原点に立ち返り、「共通の目標」へ粘り強く語り合う中で、やがて対立を乗り越え、ついに世界人権宣言が採択されたのです。
私には、この奮闘の昇華が、コロナ禍にも負けず、世界から集った友と熱い議論を交わしながら、共に学び抜き、「平和の建設者」として力を磨き上げてきた卒業生の皆さんの青春と、深く重なるように思えてなりません。
一、本日、来賓としてお迎えしたシリン・エバディ先生は、投獄など命にも及ぶ迫害にも屈せず、人権と人道の信念の闘争を貫いてこられました。
先生は2003年、ノーベル平和賞受賞記念のスピーチで、「世界人権宣言」の精神に触れつつ、“21世紀を暴力から解放する唯一の道は、人種、性別、宗教、国籍、社会的な立場の違いを超えて、全ての人々の人権を理解し、擁護する実践にある”と叫ばれました。
生命尊厳の哲学を体し、価値創造の力を蓄え、人間尊敬の連帯を培ってきた皆さんは、創価の世界市民の真価を、いよいよ賢くたくましく朗らかに発揮し、自らの使命の舞台から21世紀を明るく晴らしていただきたいのです。
かけがえのない皆さん一人一人と、私はこれからも陽光きらめく「平和の池」の畔で語らう思いで、健康幸福と栄光勝利を祈り抜いてまいります。
最後に「君よ、あなたよ、地球民族を照らす“希望の光”と輝け!」と申し上げ、お祝いの言葉とします(大拍手)。
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アメリカ創価大学 第18回卒業式2022年5月30日
- 創立者の池田先生が祝福のメッセージ 地球民族を照らす光源に
【アリソビエホ】アメリカ創価大学(SUA)の第18回卒業式が27日午後(現地時間)、カリフォルニア州オレンジ郡アリソビエホ市の同大学・創価芸術センターで行われた。創立者の池田大作先生は卒業生に祝福のメッセージ(3面に掲載)を贈り、人間尊敬の連帯を培った一人一人が、創価の世界市民の真価を発揮し、地球民族を照らす希望の光にと期待を寄せた。
また、ノーベル平和賞を受賞したイランの平和活動家であるシリン・エバディ氏が記念講演。式典には、SUAのフィーゼル学長や理事、教職員、卒業生の家族ら約600人が出席し、卒業生の晴れの門出を祝った。
卒業式の模様はオンラインで全世界に配信された。(2・3面に関連記事。記事=野村啓、写真=宮田孝一)
暖かな陽光に包まれた美しいキャンパスでは、至る所にジャカランダの青紫の花々が咲いていた。
“紫の桜”とも称されるジャカランダ。その花言葉は「栄光」。
まさに、栄光の卒業を勝ち取った18期生の姿を映すかのようだ。門出を迎える卒業生の笑顔も、キャンパスのあちらこちらで満開に咲いていた。
18期生の4年間は困難の連続だった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年3月から授業はオンラインに。昨年9月から対面授業が再開されたものの、SUAの特色の一つである海外留学を、多くの学生が経験できなくなってしまった。
その中でも卒業生は勉学、クラブ、そして、進路を勝ち取るために挑戦し、この日を迎えた。
――式典は、午後2時過ぎに始まった。
今回卒業する学部生は、アメリカ、ブラジル、スペイン、ベトナム、中国、エジプトなどの18カ国から集った105人。大学院の研究プログラム「リーダーシップと社会変革のための教育基礎学」では3カ国4人の7期生が修了し、合計109人が使命の大舞台へ雄飛する。
卒業する18期生からは、名門大学院の合格者も多数誕生した。
ネパール出身のパリック・チャリセさんもその一人。彼はオンタリオ工科大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスなど六つの名門大学院に合格。ジョンズ・ホプキンス大学の工学系博士課程に進む。リベラルアーツ(一般教養)大学から、修士課程を経ず、名門大学の理系の博士課程に進学することは快挙である。
チャリセさんはSUAの4年間で幅広い分野を学んできた。そうした中で、数理的にさまざまな事象を解き明かすことに興味を抱いたという。
「SUAは、少数精鋭の教育環境も魅力の一つです。学びたいことが定まれば、徹底的に取り組めます。私は心から尊敬できる数学の教授のもとで鍛えてもらい、今回の進路も開けました」
チャリセさんは将来、母国に貢献するため、さらに向学の道を進もうと決意している。
卒業式で最も盛り上がりを見せたのは、式典の中盤、フィーゼル学長が一人一人に学位記を授与した場面だった。受け取る卒業生に、列席者が拍手と声援を送り続ける。
ひときわ大きな喝采が送られたのが、ユカ・ホンボウさん。
彼女はこの1年、学生自治会の委員長として、大学建設に奮闘してきた。
対面授業に臨むため、学生たちが各国から大学に戻った昨年夏以降、新たな大学の伝統を築きたいと、一人一人と向き合い、心を通わせた。
新しい学生祭を企画。コロナ禍でどのような催しを行うのか。どんな意義を込めるのか――あらゆる課題を一つ一つ乗り越えて、本年3月、「ライオンズデー(獅子たちの日)」と名付けた学生祭を開催。「世界市民とは」をテーマに対話するなど、学生同士が絆を結ぶ新たな伝統を築いた。
卒業式の終盤、卒業生の代表によるあいさつの後、「創立者賞」が発表された。受賞したのは、代表あいさつに立った4人の中の1人、ネパール出身のスビナ・タパリヤさんである。
彼女は「受賞者あいさつ」で、見守り、励まし続けてくれた家族らへの感謝を語った。
父母はその様子を、ネパール・チトワン郡の自宅で午前3時過ぎから、オンライン配信を通じて、じっと見守っていた。式典後、父は語った。
「経済的な理由で、娘をアメリカに送り出すことに、少しためらいがありました。しかし、今では娘の成長の姿をとてもうれしく、誇りに思います。今日という日は、私たち家族の人生の中で最も価値のある、最も幸せな日になりました」
式典では、アメリカ国歌斉唱、フィーゼル学長の祝辞の後、ムーン学生部長が創立者・池田先生のメッセージを紹介した。
2003年にノーベル平和賞を受賞したイランの平和活動家であるシリン・エバディ氏に「SUA最高栄誉賞」が授与された。氏は記念講演を行い、世界的に民主主義が危機にある今、正義と平和、そして社会に貢献する世界市民にと心からの期待を寄せた。
続いて、卒業生一人一人に、大学院修士号の学位記、学士号の学位記が手渡され、卒業生の代表4人があいさつした。
最後に、在学生のオーケストラの演奏に合わせて、コーラス隊が身ぶり手ぶりを交えた合唱を披露。卒業生も立ち上がり、皆で喜びを分かち合った。