Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

辻静雄さん+ヨーゼフ・ヴェックスバーグさん

2009-11-19 | Soul
 我が家だけしか通じない遊びだとは思うのですが、「辻静雄ごっこ」というのをご存じでしょうか。例えば、休日や旅先で美味しいものを食べ、合った物を飲み、店を出ると家内が言います。「あー、苦しい。」そこで一言「何言ってんだっ!物見遊山じゃないんだぞっ!」とまぁ、これだけの他愛ないものです。
これをご理解いただくには、前段階として海老沢泰久著「美味礼讃」か、辻さんの著作でフランス行き初めの頃についての記述を、読んでおいて頂く必要があります。
冗談はさておき.......



その辻さんの本「料理人の休日」交友録の章にレストラン・ピラミッドのマダム・ポワンが紹介してくれたヨーゼフ・ヴェックスバーグさんという人の話が出て来ます。
「ぜひ会っていらっしゃい、会って心のあたたまる人、お話をするだけで、この世に生きることの楽しさをしみじみと味わわせてくれる人という。すぐ受話器をとって国際電話をかけ、約束の日時を決めてくれた。」そう励まされて、辻さんはウィーンまでヴェックスバーグさんに会いに行き、その人柄に魅了されたようです。

そして、こう書いています。「ヴェックスバーグさんの最近の本『人生最良のもの』では、『私のストラディヴァリュース』とか、ボヘミアとセヴィル・ローの洋服屋の職人気質、ヨットマンシップ、人と話をすることの天恵についてとか、いずれも専門家にならずに、素人がなにかに熱中することの幸せについて― ハッピー・ディレッタントの境地を淡々と語りかけてくれる。」

この本は目にしたことがありませんが、たいへん興味深いですね。「フェルナン・ポワンと仲良しで、料理のおいしさということのよくわかる人」ということであれば、服についても見識ある分析だったでしょう。

日本人でこれに近いイメージの人を思い出しました。冬服はロンドン、夏服はミラノで仕立て、パリやロンドンで靴を注文し、本業の音楽はもちろん、食にも精通していた加藤和彦さんです。残念ながら、亡くなってひと月が過ぎようとしています。



お陰様で、このブログもひと月を迎えました。ありがとうございます。
というわけで、今回はレコードについてもウェアについても触れないという変則的な形になりましたが、一応レコードはゴールドワックスのSpencer Wiggins。
タイは微妙な色合いで、一日目二日目とだいぶ雰囲気が違うところを、ご参考になさって頂ければと思います。


Comment (1)
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