Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

平成最後の...

2019-04-27 |  その他
日常と関係ありませんが、今年は4月21日がイースターだったそうです。
私には映画「イースター・パレード」と、その主題歌でもあるアーヴィング・バーリンの曲のイメージです。
初めて見た二十代後半には何とも思わなかったですが、I.バーリンのその曲はじわじわ良くなって来ました。
もちろん曲や往年の録音が変わったりしませんから、自分の感覚が変わってきたんですね。



傘がない時に降られて雨の中歩いたりすると、映画の中でピーター・ローフォードとジュディ・ガーランドが雨の中の散歩の楽しさを語る台詞を思い出して、そういう文化もあるのかと思います。
また劇場の楽屋口を描いたシーンで、通りかかる学生だったかP・ローフォードがラクーンファーのコートを着ていますが、当時の大学生には比較的ポピュラーなカッコだったことが後から分かりました。
(同じスタイルでビーバーを使ったものもありますので、一概に判別はつけられませんが)

そういった仕事上の興味をはるかに凌ぐのは、アステアとガーランドの歌とダンスです。
アステアの伝記を読むと、芸人一家に生まれ幼い頃から鍛え上げられたガーランドのセンスを、アステアがいかに高く評価していたか分かります。
一度引退しながら50年代のMGMに復帰したアステアは、昔以上の完璧を求めたと思いますが、それを唯一実現できそうだった相手がJ.ガーランドで、「イースター・パレード」の成功を喜んだ会社もアステアも次回作にも共演を望みましたが、それを阻んだのがガーランドのクスリへの依存だったそうです。
その頃ガーランドは様々な不安から友人知人へ相談を持ちかけ、例えば出版社ランダム・ハウス社主ベネット・サーフの著書「アット・ランダム」にそういう下りがあります。

後年「 That's Entertainment 3」でこの映画からカットされたJ.ガーランドのシーンが紹介されました。
劇場公演のシーンでそれぞれソロがあり、ガーランドが「ダブルのタキシードの上着にストッキング」で歌い踊るシーンが撮影されていましたが、アステアに見いだされ、次第にものになって行くという役どころにしては洗練され過ぎていて、不自然な為カットされたという話があります。
実際のステージでも得意としていたスタイルなので思い入れがあったのか、結局他の作品でそのスタイルは使われました。



何年か前ご近所の白井さんとどこかへ出かけた帰り、駅に着いて何かの話からイースターが近いとかそんなお話をすると、思わず「イースター・パレード」を口ずさんでいらっしゃいました。
これを書いているバックでエラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングのデュエットが流れていますが、その中に何曲もアステア主演の映画からの曲があり、当時の人気のほどが伺えます。

と言うわけで何度も書いた話をしてますが、今月何でもかんでも最後に「平成最後の〜」って付けてました。
でも「平成最後のイースター...」って言ってみたら、何かヘンですね。
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春爛漫

2019-04-24 |  その他
休みで久しぶりに10kmくらい歩いた日、ずいぶん暑いなと思っていたら夜のニュースで25℃あったと報じていました。
翌日は暑くも寒くもなく、素晴らしい好天です。



20代後半の桜の頃友達夫婦に誘われ、出来たばかりのウール・リネンのスーツで出かけると、運悪く途中から肌寒くなって翌日高熱を発しました。
よく書くようにその後も花見に行っては誰かしら風邪をひくのが恒例でしたから、この時期に対する用心は怠りません。
ここ数年ほとんど風邪をひかないのは、無理な薄着をさけたり小まめな対応が多少役立っているかなとも思います。



そんな中生地屋さんから、夏物にまぎれて高嶺の花だった570g/mというスーツ地が届きました。
そういうのが好きだと確かに言いましたが、まだ暑さはこれからなのに先行きが恐ろしいです。
平成最後の冬物でしょうか。


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好人好日

2019-04-18 |  その他
ジャケットの上にもう着なくて大丈夫という日、生地屋さんを訪ねて午前中から都内へ出かけました。
いつも反対方向へ向かうので変な感じがするのは、ようやく今の生活パターンに体が馴染んできたせいでしょう。
思ったより収穫があり、どこかで昼にして、時間があれば一ヶ所寄って帰ろうと思ったら、道路沿いの植え込みに見慣れない花を見つけました。
写真を撮り始めると、私の名を呼びながら顔を見せてくれたのはペコラの佐藤さんです。
以心伝心というか思いがけない場所で驚きましたが、佐藤さんもこれから生地屋さんへ向かうとのこと。
だからいつもと違って、「生地屋さんの営業で勉強熱心な方がいますよ」という話を少しだけして別れました。
別れ際「ネクタイも素敵ですね」なんて、さり気なく褒めてくれます。
「さすが、勉強になります!」と別れてからも思いました。
良かった、口を滑らせて「実はあとで寄ってみようと思ってたんですよ」と言わなくて。
言ったら、きっと気を遣わせてしまったことでしょう。



佐藤さんも自他共に認める「生地が好きで好きでしょうがない」という方です。
量はまったく足元にも及びませんが、私ももちろん自分が良いと思った色柄・質を買います。
その日も、色柄はいいけど混率が納得いかないという生地があって、中々ない面白さを取るか少し迷ってやめました。
ある程度長く着ることを考えると、愛着が湧いてからも上手く経年変化を愉しんでもらえるような素材を選びたいと思います。一般の方が電車の中吊りで絶対見ることがないような織元で、長年世界の仕立屋さんが使ってきたようなクオリティを簡単に買える良い時代ですが、その分「それじゃ生地が可愛そうだよ」という悲しい作りの服を見る機会も少なくありません。
好きな人なら、多分この話題だけで一晩笑えるくらい話があるでしょう。



「生地も良い作りも良い」を表現したらこんな感じでしょうか?ちょっと違うか。
なんと、F.アステアとジャンゴ・ラインハルト!
最初、合成写真かと思いました。
アステアは「パリの恋人」等で怪しいフランス語を話す場面がありますが、何を話したのかなとか、ギターに合わせてステップを踏んだかとか、興味深いです。
初めて見た時、久しぶりに興奮しました。浦賀でペリーを見て以来!

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memento mori

2019-04-10 |  その他
このところ暖かかったり寒かったり目まぐるしいですが、今日はまた7℃とずいぶん寒くなりました。
降雪、積雪のニュースで気分は冬です。



コンタクトを取ってくれた外国人で、たまたま二人の方がほぼ同時に「memento mori」という言葉を座右の銘のように使っていました。
その出典を遡ると、元々は古代ローマで戦いに勝利した将軍が「今日は良くても明日はどうなるか分からないから気を抜くな、必ず死が訪れることを忘れるな」ということを自戒として、側近に言わせていたそうです。

近年ではスティーブ・ジョブズが最初の余命宣告から生還したあと、大学生に向けて語ったメッセージとして知られ、おそらくその外国人もそれに拠っていると想像します。

私は17歳の時にこんな言葉に出会いました。
「毎日を人生最後の日だと思って生きよう。いつか本当にそうなる日が来る」
それは印象に残る言葉で、その日を境に33年間、私は毎朝、鏡に映る自分に問いかけるようにしているのです。「もし今日が最後の日だとしても、今からやろうとしていたことをするだろうか」と。
その答えが何日も「NO」のままなら、ちょっと生き方を見直せということです。



そう言っても、日常やルーティーンに流されてなかなか難しいものです。
ちょっと思い出してみると、そんな例はいくらもありました。
男性も優しい方が多いですから、中には「馴染みの店で買った品に不具合や不満があっても、かえって言い出し難くて他で直している」という話を何度か聞いたことがあります。
笑い話みたいですが「知らないのは売った方だけ」で、おそらくずっと改善されないまま、小さな不満が再生産され続けるのでしょう。
仮に事情を知ったなら、最期には、もっと早くより良い製品にしておけばよかったと思う気がします。

「memento mori」はただ「死を忘れるな」という警句に加え、どこかで聞いたことがあると思われる方も多いと思いますが、「carpe diem」「だから今を十分に生きろ、楽しめ」という裏返しの言葉とセットだったそうです。

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