Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

鎌倉で初詣

2020-01-29 |  その他
朝の情報番組で、三浦半島の河津桜が咲いたと報じていました。
昨日から気温が上がって、今日はもうポカポカと春のような陽気です。

近所の会社が引っ越しました。
お仕事の相手がほぼ県外や海外で、鎌倉にいるメリットがなかったそうです。
確かに...久しぶりに鶴岡八幡宮までの参道を歩いたら、いかにも観光客向けらしい店が増えていましたが、少しそれると以前からの閑散とした佇まいは変わりません。
今までほとんど宿泊施設がないことで知られていましたが、活性化しようと活動されている地元の方々もいらっしゃって、現在建設中の施設もあったり少しずつ変わり始めてはいるようです。



鶴岡八幡宮ではこの時期、厄除大祈祷という催しがあるそうです。
それと関係なく、少し空いたかなという頃合いに例年初詣に行きます。
ある年のこと、御祈祷を受ける同じ組に、「子連れ狼」で拝一刀を執拗につけ狙う柳生烈堂を演じていた、夏八木勲さんがいらっしゃいました。
帰りに「大五郎が可哀そうだから、もう拝一刀を許して」なんて、もちろん言いませんでしたが。
今年は待合所に戸が設けられ、以前のように寒風に耐える必要がなくなりました。
何事も少しずつ変わっているようです。

私にとって鎌倉の良いところは、時期ならコンスタントにルッコラが買えるところです。
昔すごく寒い冬のボローニャで、畑から収穫したばかりのような新鮮で美味しいルッコラを食べて以来、好きで好きで...というくらいですが、量も質も満足というのはなかなかありません。
鎌倉に通い始めてから、この季節は新鮮なものを毎晩のように用意できます。
他の野菜や果物も買いますが、しょっちゅうルッコラを買っていく重いカッコしたおじさんは、きっと八百屋で不審がられてることでしょう。
下が、ある日のルッコラを買うスタイル。


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2020年1月

2020-01-29 |  その他
ここ数年、コートの袖に生地とかブランドのラベルを付けたまま歩いている人はかなり減ったと思っていましたが、今シーズンはよく見ます。
先日は、流行の雑誌を見ていそうなカッコなのに、30歳前後の男性が"Japan Fabric"と袖に付けてました。

昔、日本でよく見かけるけどまさかお洒落に敏感なイタリアにそういう人はいないだろうと思っていたら、たった一度だけ見たことがあります。
それは中心からほんの少しはずれた...とは言え感度の高いミラノのことで、親族と一緒に何かイベントに出かけたというふうな90歳くらいのおじいちゃんでした。
真新しい、袖丈のあってないコートの袖に生地だかメーカー名が付いていても、寒くて急いで買ったかも知れないおじいちゃんに誰も言う必要はなかったでしょう。



新年最初の集まりは横浜市西区岡野町のOsteria il Fuocoで、季節の折かぜで欠席の方もいます。
今回は4世代くらいにわたるメンバーで、こうして書いていて笑ったのは、18歳ではインプラントの話を聞いているのにも困っただろうなぁ、ということでした。
その日は次から次へ様々なワインを相当量飲んで、後半何だかずっと笑ってた記憶はありますが、話題が何だったか思い出せません。
もちろん袖のラベルとかそんなのでなく、私のはさらに他愛ない話です。
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ジャケット

2020-01-26 | 生地
生地はバンチで世界中に供給されるものが一般的ですが、限定数量をたまたまアナウンスをもらって発注できるというものがあります。

世界の著名な仕立屋から私のようなところまで、オークションではないので、基本的には通知をもらったところの早い者勝ちです。
作る時には時間をかけますが、生地の選択は人一倍早いほうで、発注した段階でもう入手した気でいます。
しかし昨年、国内では一番早い段階で発注したにも関わらず、海外の方がもちろん情報が早かったようで、何回か素晴らしい生地を逃し残念な思いをしました。



そう考えると、ちょっと大袈裟ですが入手できたのが奇跡のような生地...と言えなくもないのが画像のジャケットです。
もちろんそれを一目で気に入って頂き、注文して頂いたお蔭でかたちになりました。

基調はグリーンで、透明感のあるブルーやベージュ、明るいグレーなどの繊維がない混ぜとなり、光によっては多少濃くも淡くも見え、2色のペインとも好相性です。



仕事で関係して最も影響を受けたのは、親子ほども年齢の違う最早レジェンドのような方でしたが、美しい生地や良い服をお見せすると、しげしげと眺め「いいね」と呟いた後、来シーズンに活かす為、網膜に焼き付けるようにまた暫く眺めるのが常でした。
おそらくこの服もそう言ってもらえたのでは、と思うような何とも言えない色合いです。
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夜の河

2020-01-15 | 映画
昨年、「夜の河」(1956)と「女経」(1960 )という邦画を続けて観ました。

前者は京都が舞台ということもあり、何度も歩いた辺りの昔の姿が出てきて、通い始めた頃の匂いを思い出すような街並みも見られる、という楽しみがおまけについてきます。

「女経(じょきょう)」はオムニバスで、増村保造×若尾文子、市川崑×山本富士子、吉村公三郎×京マチ子という組み合わせの3話。
やはり大人が集まって遊んでるような、昔の人が与えられたお題を楽しみながら歌を詠んでいるようなノリがあります。

その時代の日本映画は観てなかったのでたいへん新鮮でもありましたが、少しするとちょっと考えさせられました。
街はもちろん今みたいに整ってません(が昔の方が統一感があって美しい)し、日常の便利な道具もまだ出現する前の話ですが、描かれている登場人物から映画を作っていたスタッフまで、人々の感覚は今よりずっと洗練されていたのでは、という思いです。

普段、これはと思うような生地を探し出し、適切な補正と素材に合った手を加え、その価格の中でそれ以上ないレベルを突き詰めているつもりでも、こういう映画を観るとまだ何か足りないような思いにとらわれます。
それは、男性の衣装が参考になるとかそういう部分では全くなく、時間の重みだったり、作品全体の質であったり、その時代の人が持つ洗練といった簡単に手に入らないものばかり。

やがて時間が経つにつれ、そういう人々が存在していたという事が、作るものにこの上なく励みになるように感じ始めましたが、そんな凄い作品ばかりでは身がもたないので、怖くて次はまだ観ていません。
そのくらい、観はじめたら止まらなそうな危険な鉱脈の匂いがします。



「夜の河」主演の山本富士子さん。映画全体の色もとても魅力的です。
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夜は千の眼をもつ

2020-01-10 |  その他


一と月くらい前のこと、後ろから坂道を駆け下りてくる足音が近づいて私を追ぬいたかと思うと、息をきらして、なぜか私の直前に入って急激にスローダウンする女の子がいました。
私はその間も進んでますから、危くぶつかりそうになります。
想像するに一応急いでいた彼女は、あのオジサンの所まではなんとか走ろうと目標にして、やっと追い越したところで事切れたというか走るのやめた、程度の理由だったのでしょう。
4〜5年前からでしょうか、たまにそういう目に遭います。

以前は皆無だったことを考えると、人間の感覚がドンマというかタイカしてるんだなぁ、と放浪の画家のマネをしながら思うのでした。
生身でもこんな事あるんですから、車ならもっとでしょう。
後の見える人はいませんから、私だって気づかないだけで似た迷惑をかけてないとは限りません。

でも一人だけ、背後も前と同じように感知できる人がいます。
座頭市です!

「正月から大丈夫?」
という声が聞こえそうですが、昨年暮れから第二次「勝新中毒」にかかりまして、つまり後のイメージが出来上がった「悪名」シリーズから「座頭市」シリーズを観ないでいられない、という症状からようやく脱したところです。

その中の一本「悪名無敵」という作品には、昨年末に亡くなった八千草薫さんがご本人には珍しい役で出てきました。
何を演じても、あのおっとりした感じなのが面白いです。
また少し前に書いた「婦系図」(おんなけいず)に主演の万里昌代さんは、座頭市が思慕する「心のきれいな」女性として描かれます。

これも書きましたが、一時付き人だったというルー大柴さんが勝新太郎さんを"ヴィクトリー・ニュー太郎"と呼んでいた、という嘘か本当かわからない話を思い出して笑いました。

大映のタイトルは雲海で始まりますが、ないので3日の富士山。

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le week-end

2020-01-07 | 生地


年明け最初の週末、というか5日といったほうが早いと思いますが、お洒落な方をお見かけしました。
私より少し上くらいの女性でキャメルカラーのコートに鼈甲柄の眼鏡、近づくにつれ「あぁイディス・ヘッドに似てる」と思っていると、前から来る自分と同じような色のポロコートを着た男が見るからか、その目線は私の頭にいってたように見えました。
イディス・ヘッドは、グレース・ケリーの衣装をはじめ数々の映画で衣装を担当して8度オスカーに輝いた人です。
清潔感があって何気ない感じも、本でみるE.Hのイメージと重なります。

その方が衣装を扱う可能性が0とは限りませんから、遠くない所にイディス・ヘッドがお住まいかと無理にも妄想をかき立て、横に並んでも遜色ない例えばケーリー・グラントのみたいにコンプレックスを補完してくれる服とか、作ろうとするものにも力が入ります。

E.Hは自分のデザインが流行に取り入れられるようになっても、「私は流行を作り出したいわけではない、ただ女優たちの美しさを引き出したいだけ」と語ったそうです。
グレース・ケリーのウェディング・ドレスをぜひ担当したいと念願しながら叶わなかった話など伝説は、川本三郎さんの本がお薦めです。



何度も使ってるこのイラストですが、記憶の中では手前のスーツは普通のグレー・ヘリンボーンのイメージでした。
よく見直すと隣り合う柄がイーブンでなく、だいぶ違ってます。
似たのがありましたが、やはり頭の中ではこれでなく普通のヘリンボーンだと言ってます。


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2020

2020-01-03 |  その他


明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

今日はたいへん穏やかな日で、布団や洗濯物を干すには最適でしたが、走るにはどうだったでしょう。
なぜ見てしまうんだろう思いながら、三日間とも朝から駅伝を見ました。
色々スポーツはありますが、突き詰めていくと、一番シンプルなのは走ることだから...
おまけにタスキを繋ぐとそこにドラマが生まれるから...
結局なぜ見てしまうか分からずじまいですが、人間が走るから色々不測の事態があったりして、目が離せないのかも知れません。

既に書いてますが、生地もPCでデザインしてきれいに整った細い糸で夏物のチェックなんか織ると、あまりに整然とし過ぎて紙にプリントしたみたいに見えるものがあります。
男性の服としてはそれがアダというか、必ずしも良く見えないんですね。
ジャケットなんかは特に不規則な糸だったり、整い過ぎてないものの方が魅力的だったりします。
駅伝も色々な個性の走者がリレーするからドラマチックなのか、なんて無理矢理こじつけました。

いずれにしても今回の箱根駅伝はすばらしい記録続出で、「200km以上走ってきて、最後数秒の決着か」という実況どおりの3位争いや、10区での記録更新など見所がたくさんありました。



実際には違いますが、昨年は一年の半分くらい生地を探していたような気がします。   
                 
画像のジャケットの生地は、「カシミヤで何か良い色柄はないですか」という秋口のリクエストに応えて探したものです。
杢糸使いのダークブラウンのグレンチェックに、ボルドーのオーバーペイン。
カシミヤの艶を杢糸が少し抑え、濃茶とボルドーの巧みな調和で実物はもっと深い美しい色合いです。
色々お持ちでも、服好きの方が好む良い色だと思います。

年末に上がったので、ご注文くださった方のご好意により撮影させて頂きました。
画像では20年以上前ナポリのロンドン・ハウスで購入のエクルーにボルドーのヘアライン・ストライプのシャツ、明るいベージュのカシミヤ・タイを合わせていますが、他にも様々なバリエーションをイメージさせるジャケットです。
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