Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

絶滅危惧種

2019-03-27 |  その他
今年に入って西海岸ではBeverly HillsのCarroll & Co.が70年の歴史に幕を下ろし、ニューヨークではLord & Taylorが店を閉めました。
後者は1930年代に紳士服で繁盛をきわめしだいに中身を変えていったので仕方ありませんが、前者はF.シナトラやハリウッドの人々にも愛され、やはり英国製の品々やそれを加味したスタイルで評価されてきました。
ボストンのLouisのように、やはりオーナーのセンスに支えられていた店は代替わりするとそのレベルを保つことがなかなか難しいようです。





カマクランなんて「暮らし安心」みたいな呼称があるかどうか分かりませんが、「ネイティブのカマクラン」なんて呼んでいる人を昨年12月訪ねました。
数年ぶりでしたがお元気そうで、ちょっと食後の散歩のはずがみっちり2時間半語られて、店までの帰りに私よりずっと元気だと思ったくらいです。

「仮に鎌倉駅に停まる15両の車輌の中に、今あなたが着てるようなコートを着てる人が何人いると思う?」
「俺はゼロか、いても一人じゃないかと思う!」
それくらいお洒落な人はいなくなったと仰います。
私のコートがお洒落ということはありませんがご本人はVicunaのコートをお持ちだそうで、それにステッキを持って同年代の方の集まりに行くと「俺もそういうカッコがしたい!」という御仁も中にはいらっしゃって、それには「やめときな、30年かかるよ」と答えるそうです。
確かに、同級生なら30年後には100歳を大きく超えていますから、懐事情は問題なくても言うまでもなく「身につく」ことを意味されているので、時間的にお薦めしかねる状況かと思います。

お洒落な方々が遊びに来てくれたりしますが、私のところは愛着を持って着られるような服を求める普通の方を歓迎しますので、長老の言葉は当たらないと言いたかったですが差し挟む余地はなく、そんなこんなで2時間半「この辺にお洒落な人はいないよ」と結論づけられて帰って来ました。
(あくまでもその方の見解です、お洒落な方もいらっしゃることでしょう)

最近では海外の仕立屋までも、袖のボタンホールの色を変えたり趣味を疑うような店があります。
もちろんちゃんとした仕立屋はそんなこと薦めないと思いますが、ピタピタだったり細部が妙なものが氾濫する時代では、アメリカでも名の知れた店が無くなるのも仕方ないかと思えて来ました。


(その頃はこうしたものも、一式揃う店だったようです)


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夏の暑さを思う

2019-03-26 |  その他
2月17日今シーズン初めて花粉を感じましたが、春の到来を花粉で感じるというのも我ながら風情のないことです。
その前数日とても冷えましたので、そういえば真夏の暑さってどんなだったか思い出そうとしても、頭がその情報の処理を受け付けないかのように、まったく蘇ってきませんでした。
ようやく先日20℃近くまで上がった日には、「あぁ、こんな感じ」というくらいまで来ています。



早速この夏は何にしようかな、なんて考えました。
夏物はなかなか良いものがない、というのがこれも合言葉のようになっていて、実際生地が薄いですから冬物に比べ奥行き感がなく、平板でニュアンスに乏しいのは避けられません。
それでも根気よく探していると、コーディネートを喚起するようないかにもスーツらしい生地や、「あぁ夏だね!」というようなジャケットが作れそうな色柄が見つかります。

猛暑真っ只中ではない現時点では、盛夏に対するイメージは挫けることなく盛り上がりつつありますが、実際の気候はどうなりますことか。

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ベージュ無地

2019-03-20 |  その他
出勤して玄関先を掃除していると、BGMの合間に「ホーホケキョ」と真上辺りから聞こえました。
せっかく近くでウグイスが鳴いてくれたのに、「猫八か?」という思いが一瞬あたまをよぎって悲しかったですねぇ。



髪が伸びてくると、洗っている時にシャワーが頭皮に届き難くなっているのを感じては毎回同じことを思います。
白川郷の茅葺き屋根とか、昔の人が身につけた「蓑」のことです。
層を成す植物の茎が、雨だれを先端へ先端へと送るイメージですね。
もちろんある程度濡れると思いますが、すぐには奥まで透さないでしょう。
また茅は中空ですから、ポッサムやポーラーじゃない人間の毛髪とは違うと思いますが、地肌にシャワーが十分届かないことを思いながら早く切りに行こうと思います。

もちろんロン毛なわけもなく、たいした長さではありません。また、戦前の人みたいなカッコをしたい訳でもなく、ただ帽子にモハモハした後頭部は今一つだという気がします。



今回の話は画のとおり、秋冬の「キャメルカラー」に代わる色として春夏にベージュはいかがでしょう、という話でした。
生地によってグレイッシュだったり微妙なレンジの違いはありますが、ご興味がある方ならL.フェロウズの絵からすぐ閃くものがあるかと思います。
もちろん綿や麻も良いのですが、今回は発色などから動物系繊維のイメージです。

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春の装い

2019-03-12 |  その他
昨日の朝、今春初めてウグイスの声を聞きました。
その時はおぼつかない鳴き声だったのに今朝はもうマスターしていましたから、人間が思うホーホケキョに合ってるだけで鳥同士にどう聴こえているか分からないですが、順応性高いなんて感心します。

ウグイスの順応性にはまったく敵いませんが、確定申告を済ませて肩の荷が下りました。
だから帰って来て最初に流したのは、ザ・バンドの「ラスト・ワルツ」に入っている「The Weight」です。
あのステイプル・シンガーズと一緒に演ってるのですね。ついでに、エミルー・ハリスとの「Evangeline」とボブ・ディランとのテイクも全部聴いて落ち着いたところです。



事務仕事が一段落したら、春らしいカッコを考える余裕が出てきました。
上の絵は「オリーブのギャバディン、衿にコントラストをつけた青のホリゾンタル・ストライプ・シャツに紺のボウタイ、白麻のハンカチーフを挿して、靴はダークブラウン」。
春に最適な、お手本のようなコーディネートです。
'30年代のエスクァイアの中では「ファッションイラストより一般の読者に喜ばれていたのでは」と思われる風刺画のコーナーからなので描かれる男性も風采は上がりませんが、そのぶん当時の風俗が捉えられているかも知れません(L.フェロウズやサールバーグのコーナーは「Trends in dress」というタイトルでした)。

ご参考までに絵の下にあるセリフは、
"I like it here, Mr.Gross, but there doesn't seem to be much chance for advancement"

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