Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

限界密度

2012-06-27 | Others
 前回の鎌倉に続いて、筒井君が年一回訪れるという原宿のイタリア料理店に誘ってくれました。
料理を食べているのに、器用な筒井君はその日のネクタイの合わせが外れてないかと食い下がります。
今日は日射しがそこそこあるので、それに見合った明るさを持ってきた方が合うのではないか、といつになく一般論を口にしました。
すると、このあと買いに行きましょうと鼻息荒く言います。

アンソニア100%という一本で、すっかり心地良くなって3時過ぎに表通りへ出ると、ネクタイの話をしていたせいか場所柄か、偶然商談の合間に一服されていた仙田社長にお目にかかりました。



「こないだ○○さんなんかと写ってるの見ましたよ」
「あっ、そうですか」、と答えたもののすぐ思い当たりません。
仙田社長がFacebookをやってらっしゃるのを思い出し、
「私、Facebookやってないんで分からないんですよ」
「じゃあ、ダメだ」
「わぁ、ダメですか―」

という訳で、出張が近いと仰る社長にお暇しました。

もうそんな時期ですね。
一月からさらに、物の買い易い状況に傾いています。
経済総体では喜んでいられない傾向ですが、現実にはこのタイミングです。
この状況を逆手にとって、負のカードを正に返すような手はないものでしょうか。

昼からアルコールが入って更に御しやすい迷える子羊の為に、日本中が衝動買いせずにいられないほど目から鱗という品を各社仕込んでいただきたいなんて、今風に言えば「昼飲み」野郎は妄想しました。

でも現実には、そんなバブルの残滓みたいなことは望みません。
先の店に予約の電話をいれた時、一年振りなのにカメリエーラは憶えていたと筒井君は驚いていました。
帰りにシェフに挨拶をして世間話をしていると、少数精鋭でやっていけるのは「このコのお陰です」と彼女を労っていました。
そういう人の、密度の濃い確かな仕事だけが、信ずるに足る頼もしい推進力です。


梅雨には梅雨寒をともなう年とない年があるそうです。
20℃くらいの、あまり気温が上がらない日には、こうした綿ツイルも快適です。
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詩人

2012-06-24 | Others
 A little flower that blooms in May
 A lovely sunset at the end of the day
 Someone helping a stranger along the way
 That's heaven to me
歩いていたら聴こえて来た、サム・クックの歌です。
なんだか途中から道徳の教科書みたいですが、詩人ですねぇ。 



「スモーキー・ロビンソンは現代アメリカで最も素晴らしい詩人」と、かつてボブ・ディランは言ったそうです。
「知られざる大英博物館 / 古代エジプト」という番組を観ていたら、古代エジプトの若い女性がパピルスに書きとめた中に、「みんなの前で、好きな人とキスしたい」みたいな事が書いてあると言ってました。
スモーキー達が連発したモータウンのヒット曲の数々と、心情的にはほとんど変りません。

また、何時だったか飲んでいると、「ねぇ、私初めて気づいた、それぞれの窓に愛があるのね」という歌が流れて来たので、例によって、おそらく「詩人だねぇ」なんて言ったのでしょう。
そこにいた一部でキーちゃんと呼ばれるコが、ハリセンを叩きつけるみたいにイキナリ「なに、ねぼけたこと言ってんのよ!」と仰ってました。
男運がナイ、と嘆いていた頃にぶつかったんでしょうか。
地雷を踏む、これもそうとうワイルドですねぇ。

ところでその番組は、タイトルどおりアカデミックなので、なぜ三千年の長きに亘って繁栄を維持できたか、という謎を最後に分析していました。
それは、過去の経験を次世代に継承していく、総体的な学習能力だそうです。

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アジサイ

2012-06-19 | Others
 梅雨入り宣言の翌週、健ちゃんが休みになったとメールをくれたので鎌倉へ行きました。
梅雨の時期に鎌倉といえばアジサイですが、朝からあいにくの雨です。
かえって静かでいいかと思っていたら、かなりの観光客が雨を気にするふうもなく散策していました。
中には泥濘に足を取られたらしく、裾を汚した方もいます。
アジサイも、以前は特別な感興をもよおさなかったのですが.......








アジサイの色合いは、青系から薄紫だけでもかなり微妙な違いがあります。
ブルー系シャツを50枚、100枚と並べても、それぞれトーンが異なるのを思わせます。
久しぶりに、「♪ちょっと強引だったですかー」。

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トキ

2012-06-16 | Others
 だいぶ梅雨らしい感じの、ジメジメした天気へ突入してまいりました。
梅雨の晴れ間、曖昧なところのないくっきりした影を、強い日射しが路上に描いていました。
唯一はっきりしないのは、前を行くおじさんの頭頂部がポワポワしているところです。
トキのひなの巣立ちが確認された、というニュースを思い出しました。



5月初めが八十八夜だったそうですが、事故の影響で検査がきびしく、新茶の到着が遅れていました。
新茶の次は、例年梅干し作りの季節です。
私は力仕事しか手伝いませんが、塩分を抑えるとどうしてもカビやすくなるところを、十分滅菌することによって減塩の梅干しを可能にするそうです。

季節通り花の咲くことや、年中行事の滞りなく行われることが、年とともに大事な営みと思えるようになりました。
近所にあった緑を削ってしまう大規模な開発にもめげず、先週はすぐそばでウグイスが鳴きました。



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ソラマメ

2012-06-13 | Others
 歩いていたら、八百屋の店先にツヤのよさそうなソラマメが山盛りに並んでいました。
産地にもよりますが、例年ならすでに枝豆にバトンタッチする時期で、じっさい枝豆もかなり出まわってますから、そろそろシーズンも終わりに近づきつつあります。

聞くと箱でも売ってくれるというので、4kgの中身を二つに分けてもらいました。
そこから更に5kmほど歩いてビールなどビン類が加わると、相当な重さになります。
図らずも、最近気になっていた運動不足をすこしでも解消したい、という気持ちが現われたみたいです。
透けた袋のソラマメに熱い視線を注ぐ人が少なくないので、みんなソラマメ好きなんじゃないかと勝手に想像しました。
スープで頂いても、かなり美味しいものですから。



それにしても、ソラマメのサヤの中の緩衝材の、何と良くできていることでしょう。
初めて見たわけでもないのに、剥きながら感心して見入ってしまいます。
もちろん記憶にありませんが、豆にとってはお母さんの羊水に匹敵するくらいよく出来た環境ではないでしょうか。
なぜソラマメにだけ、こんな丁寧なベッドが発達したのか不思議です。
枝豆だって、グリーンピースだって、たいていサヤの中にそのまま並んでいます。




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先達

2012-06-08 | Others
 犬のとかじゃありませんが、歩いていると昨年あたりから思いがけないことに巡り合います。
その日はスタートからかなり厳しくて、約一時間後に待ち合わせましょうとメールがありました。
顔をつくるひまもなく大急ぎで着替え、ロードランナーが埃を蹴立てて行くように慌てて駅へ向かって飛び乗ると、待ち合わせ場所には2分前に着きました。



連れて行ってくれたイタリア料理店は、前菜にたのんだ温野菜のシンプルな一皿だけで「あぁ、美味しい」と感じる腕前でした。
いかつい男同士でなかったら、顔を見合わせて頷き合いそうなくらいです。
次のパスタも、各々注文したものがたまたま色合いの似たソースでしたが、「こっちも美味しいから」と筒井君が勧めてくれたので少しもらうと、味に微妙な違いがあって塩加減もピタリときまり、とても上手いなぁと感じました。第二の皿も同様です。

ちょっと珍しい葡萄酒と美味しい料理、思いがけない収穫にみたされて3時頃お暇し、心地良いくらいの酔いとともに商店街を駅へ向かって少し行くと、Lock&Co Hattersの製品を最近では見ないくらい並べた店がありました。
思ったより酔っていてそう見えてるのかともう一度確認すると、紛れもなくその製品です。

ちょうどご主人らしき方が先客を見送るタイミングでしたので、入れ替わりに挨拶をしてお邪魔しましたが、ご主人の面にかすかに困惑の色がうかんだのを察して、Lockの製品が見えたので入らせてもらった旨を即座に伝えました。

そこから、40年に及ぶ取引のあることや、エクアドルMontecristiの村でも最上品の帽体を編める職人は、もう高齢で7人いるかどうかじゃないですかという話、アメリカ遊学や英国メーカーとの付き合い、そして人生訓からご家族の話まで、気がつくと3時間にわたって聞かせてくださったので、ダイジェストではありますが初対面なのにすっかり詳しいような気分になってしまいました。
次回はさらに2時間は早く伺わないと十分拝聴できませんね、と申し上げてお暇してきました。

約40人の顧客のために連絡をうけた時だけ店を開ける、という悠々自適のご主人とは比べ物になりませんが、食道楽だと仰るご主人が「ワイン好きで輸入してたこともあるけど、高いのは飲みませんよ」と3回も念を押されます。
帰り途、そこだけは私と同じじゃないというと、筒井君は苦笑していました。

ビールはやはり利尿作用があるということと、自分が知らないだけで、魅力的な先達がまだまだいらっしゃると改めて知らされた午後です。

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Donald “Duck”Dunn

2012-06-03 | Soul
 みんなで集まった晩に、ベーシストのドナルド“ダック”ダンが来日中に亡くなったことを聞きました。
波平君夫妻は数日前にナマで観ていたそうで、驚きも一入だったと言います。
私はたぶん、生で観た憶えがありません。
動く姿は、やはりBlues Brothersの映画その他によってだと思います。



Saturday Night Liveの映像に.....
柱時計が時刻を打つアップから「I can't turn you loose」のイントロが鳴りはじめ、部屋全体にパンするとS・ジョーダン、ダック・ダン、S・クロッパー、M・マーフィー、P・シェーファーそしてホーンの面々が、これを演ったら世界一(特に一枚目のライブ盤)という音を聴かせます。
MC役に導かれてJakeとElwoodが登場し、手錠につながれたブルーズいっぱいのブリーフケースからハープを取り出すというお約束の光景から、S・クロッパーで始まる「Soul Man」へとなだれ込むというシーンがあったと思います。

ダック・ダンやS・クロッパーにとっては何回演ったかわからない曲の数々ですが、初めてそれを観た時はとても新鮮に聴こえました。
そのバンドはS・ジョーダンがはまっていたし、見るからに人の良さそうなM・マーフィーは協調性の固まりみたいなプレーで助けるので、元MG'sの二人は職人的な技術に新しいものを吹き込まれたように活き活きプレーしました。
粒の立ったダック・ダンのベースは素晴らしくバンドをドライブさせ、ボブズ・カントリーハウス以外の客をものせてしまいます。

日本で亡くなったというので魂はそのへんにあって、誰かと共演したり、京都に遊びに行ったりしてるかも知れません。

  A:この曲は?
Dunn:楽勝ダヨ!
  A:わらび餅は?
Dunn:洛匠ダヨ。(注釈:京都の高台寺そばにあって、錦鯉いっぱいの池のある甘味処)

訃報を知った翌々日の朝、頭の中で「I can't turn you loose」が鳴るにまかせながら、横断歩道を渡ろうとすると、脇を追い抜いていった男性のポロシャツの背中に「ELWOOD」と大書してありました。
どうやらダック・ダンはまだその辺りにいるみたいです。

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