Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

Esquire

2017-12-31 |  その他
アメリカ東部には、93年ぶりという大型の寒波が押し寄せているそうです。
ちょうどゴードン&ファーガソン社製の向こうの人が言うストーム・コートを出したばかりで、その会社があったミネソタ州が一番の寒さだとのこと。


「このくらいなら、寒いけど何だか暖かそう」

大型と言えば...大型書籍が次々出はじめた頃のことでしょうか。
池波さんのエッセイに「それは日本の家屋にも、日本人の体力にも合わない」という話がありました。
書庫があったという池波さんの家でそうなら、なおさらの事です。

確かにTaschenなんかの図版で興味のある分野のものは思わず買ってしまいますが、大きすぎると滅多に見ませんし、見るのにディスプレーで使っていた頑丈な譜面台みたいなのも必要でしょう。



雑誌エスクァイアは1933年秋にアーノルド・ギングリッチによって創刊され、翌年から月刊化されました。
「ギングリッチは毎朝ニュージャージーの自宅から45分バスにゆられ、地下鉄でマディスン街のエスクァイア社に出勤し、天気のいい日は1時間早く起きて近くの小川で鱒釣を楽しんだ。ツィードと麻のスーツを好み、ストラディバリとアマティを所有して出勤すると毎朝弾いたが、腕はなかった」と常盤新平著「アメリカの編集者たち」にあります。

その時代のエスクァイアは1冊だいたい200ページ前後なのに、版が大きいので重いです。
相当好きだったのか、それを半年分づつ合本にした人がいました。
それは5kgを超える重量で、とても手に持って楽しむというわけには行きません。
5kgというと米が思い浮かびますが、あれを持ったままゆっくりページを繰れないのと一緒です。
発行から82年日本にやって来たそれを見て、あえて装丁までさせた人はお洒落だったのかなと思いを巡らせます。


「Dobbsの広告」

また先の本によれば、「アーノルドは自分の好きなことをやり、幸運と才能と品の良さによって、彼のやったことは成功した。彼はそのことを説明できなかった。成功は起こったのだ」と編集長のドン・エリクスンは語ったそうです。

以前、「一年半先のことばかり考えていると、現実を生きていないようになるかも」なんて話を書きました。
先だけでなく歴史を80年も70年も遡ってばかりいると、例えば、時間に洗われても失われない「質」を備えた製品があるのねなんてことを思います。
そんなこんなで今年も暮れてまいりました。
皆様どうぞ良いお年を。


仲良きことは美しき哉〜!
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オーバーコート

2017-12-20 |  その他
今年は11月のうちから寒くなって、下旬にはもう冬に近いなりをし始めました。
エリントン楽団の方々も「Aトレイン」でなく地方へ向かうのか、皆しっかりした拵えです。



下のチャプリンとダグラス・フェアバンクスは、'20年代サン・モリッツでのショット。
1920年代は雑誌でいえばヴァニティ・フェアの時代でしたが、'30年代のエスクァイアでもサン・モリッツはスノッブな人たちの集まる土地として描かれています。



D・フェアバンクスは、しばらく前に話題にしたパイル状のアルパカ素材のコートを着ています。
この手のコートには、'30年代まで裏地に下のようなタグがありました。


その後のこのようなコートには、


そしてアメリカ製は見られなくなり、現代の英国製に付いているのは


11月中旬岩手に行った時も上空に寒気が入る間際だったこともあり、用心しながらさほど重くないコートと帽子で出かけると、乗り換え駅ですれ違った女子高生が「宮澤賢治みたい」と友達に囁きました。
「そうだよ、おじさんは初めて来たんで宮澤賢治へのオマージュでこんなカッコして来たんだ」と言いたいのを堪えました。

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