Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

タンニーノ

2013-01-24 | Others
 14日は笠をかぶり蓑をきて仕上げにカンジキで足拵えも完璧に、新美南吉か椋鳩十かというトラディショナルな装いで出かけました..........
と言いたいところですが残念ながらどれも持ってません。
朝はふつうの雨だったんですけど、昼近くなるにつれ本格的な降りになって、7年振りの大雪だそうです。
水分が多く重い雪でした。その名残りは、まだ路肩に残っています。

本日、日頃お世話になっている幼馴染みの健ちゃんが結婚する日です。
おめでとうがざいます! パチパチパチ......



遅ればせながら、先夜気づいたのですが.......
飲みながらその葡萄酒について語ってたりしますが、4本目くらいになってくるとそこそこ廻っているので、何を語っていてもたいてい当てになりません。
一応、なるべく真実の含有量はアルコールのパーセンテージより多くなるよう願ってはいますが、言えば言うほど核心から遠ざかるというような気もします。
重いのの後に、誤ってそれより少しでも軽いのを選んでしまうと、味なんか尚更わかりません。
それで、筒井君に笑われちゃうんですね。
その頃は、あと一歩でヘベレケと言っていいかもしれません。

画像の葡萄酒は3年くらい前に出かけた先でのいただきもので、店で飲んだ時は強烈なタンニンが印象的でした。
というより、タンニンの固まりです。
その後、獅子が我が子を谷に落とすの例えもあるとおり、暑い夏も寒い冬も台所に放置したままでしたので、環境の劣悪さは赤道越えたらどうのこうのという比ではありません。

年末に何となく開けてみようと思いたち、その晩にいただくと、驚いたことに全ての要素がバランス良く満たされて素晴らしくいい感じになっていました。
頑固おやじが30くらいのエレガントな女性に変身したような......何のことだか分かりませんが、まぁそんな風に変貌して奇跡の一本になりました。



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パレードに雨を降らせないで

2013-01-19 | Others
 多い日には5往復くらい、少ない時でも一週間と空くことのなかった小泉さんからのメールや通話が絶えて、もう10日以上経ちました。



一年近く前までのこと、おかしな会話で何度か登場してもらった面白い感じの人は変名でしたが、実は小泉さんという人です。
「話題を提供しちゃうよ」なんて言ってもらってたわりに、ここ最近出ていただいていませんでしたが、昨年春のS&G「四月になれば彼女は」をタイトルにした時は「おっ、懐かしいね。俺なんかリアル・タイムだったからね」と言ってました。

小泉さんは就職したアパレルメーカーが倒産すると、しばらくして他の勉強の為イタリアへ渡りました。
ほどなく日本でイタリア製品が急拡大する時期へとさしかかり、最初は輸入業者の通訳みたいなことに駆り出されます。
その後イタリア製品はさらにブームの様相を呈し、前職が素地となっていた小泉さんも勉強そっちのけでビジネスに飲み込まれていきました。

これを読んでくださっている中にはいらっしゃらないかも知れませんが、商社や大手メーカーの方で昔イタリアの工場見学に行ったら、案内してくれた人が異様にエネルギッシュで、見学より印象に残っているとか、紹介を受けてイタリアに着くと、フィレンツェ在住という面白い人が世話をやいてくれたとか、靴の輸入枠を融通してくれた人が確かいたはずだというような経験がおありでしたら、もしかするとそれは小泉さんだった可能性があります。

いくつかのメーカーに出入りするうち、人を逸らさない小泉さんはすっかり現地に馴染んで、日本の会社を相手にするだけに止まらず、その後N.Yのスペシャリティ・ストアにイタリア製品を納めるまでに仕事を拡げていきました。
フィレンツェの真ん中にあるMichele Negriの男前の店主等といっしょに、街のVTRにも出たのはその頃だそうです。

私が出会ったのは、まったく違う事情で会社を整理した後のことでした。
最初、会う度私のタイを冗談みたいに欲しがったり、持ち物がどこのものか執拗に興味を示す不思議な人でした。
ある日フィレンツェの話になると、「前に住んでたことがあるんだよね」というところから色々話をするようになり、ただヘンな人ではないことがようやく分かります。

その後、機会があると食事に誘ってくれたり仲良くしてくれるようになりました。
その頃よく、十年早く出会ってれば良かったね、と言ってました。
確かにその分野なら私も役に立てたかも知れませんし、いい仕事も出来たでしょう。

しかし、その頃には小泉さんの人柄はもうよく分かっていたので、そんなことがあってもなくても問題ではありませんでした。
仕事に対する生真面目さや正義感など、やはり経営者だったと思わせる瞬間もありましたが、ずっと年上なのに幼馴染みみたいに見える時もあります。
大人の我儘があっても、それを上回る正のエネルギーやチャームが溢れているというような人でした。

最後に勤めていた会社は、雇っている側の人で小泉さんの経歴や能力を詳しく知る人はなく、ただエネルギッシュな仕事振りと明るい人柄が知られるばかりだったようです。でも、周りには情の厚い方が多くて良かったです。

すでに見慣れたカッコなのに、会う度むこうの人みたいに褒めてくれるのは面映ゆかったですが、その一言一言に、やはり最期まで服が本当に好きだったんだなと今にして思います。

「パレードに雨を降らせないで」という歌がありますが、ロンドン・オリンピックの頃から涙もろくなったと言っていた小泉さんは子供の成人式に感激するあまり、こらえきれず門出に大雪を降らせてしまったようです。



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Magic Sam

2013-01-14 | Blues
 スイスからいらしたという方と話をしていたら、日本の方が体感的に寒いと言います。
空気中にふくまれる湿気が多い感じがするそうです。
冬はあんなに寒そうなイメージの国より寒いっていうのですから、困ったものです。

すぐ後に神戸からいらした方も、今年は早くから寒くなってねぇ、と仰います。
うちが出かける頃は、和らいでいて欲しいです。

先週天気予報を見ていたら、北海道全体が-27℃くらいにおおわれている日がありました。
寒いのを通り越して、危険な感じがします。
しかしどんなに外が寒くても、その分暖房が完備されていますからとスイスの人も言ってました。
東北の人も、「関東の家は断熱材みたいなものが薄く感じるけど、むこうはもっと寒さに対応した構造」と言います。

去年、どこかの教授みたいな人が「地球は温暖化でなく、もっと永いスパンでみれば冷えつつある」と語っていました。
こう書いているだけで、寒くなってきます。



今年最初に聴いたのは、年末に波平君が忙しい中くれたマジック・サムのライブ盤です。
1969年12月に亡くなる、五カ月前の演奏だと書いてありました。
ライナーに「This night, he was on fire.」とあるように、鷹の爪団なら「キレキレのピュルンピュルン」だと言いそうな出来です。

フレディ・キング、ジュニア・パーカー、B・Bキング、ボビー・ブランドの持ち歌を交え、昔出たアン・アーバーでのライブでもやっていたものも多いですが、とてもギターが一人とは思えない所が何箇所もあって、波平君が言うようにどちらかといえばジミヘンです。

冒頭は寒い話でしたが、書いているだけで熱くなってくるような内容です。

ところで名前にマジックと付くので、「マジック・寒」というマジシャンかと勘違いした人がいます。
私のハンカチ芸を見過ぎたせいでしょうか。



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クロウトの意見

2013-01-08 | Others
 昨年中におこった疑問(瑣末な)は年内にクリアしようと、長谷井さんや常盤さんと飲んだ時も根掘り葉掘り伺ったので、氷解してすっきり新年を迎えられました。

他にも秋頃から、昔読んだ塩野七生さんの「男たちへ」の話の一節が気になって、ずっと確かめたかったのですが、つい棚上げになったままでした。
これも年末にカタをつけて話題に上せようとしましたが、ご乱行中(と家で言われている)につき、書くのはこうして年を越してしまった次第です。



今ちょうどピッティが開かれていますが、それは三十年前の同じピッティの会場での話です。
顔見知りのイタリア人デザイナーを見つけた塩野さんは、インタビューを試みました。
塩野さんの「洗練された男の装いとはどういうものか」との問いに、

「第一に、ちょっぴりの古きイギリス。第二に、アメリカの色。最後は一と二のすべてをイタリアの洗練された感覚で、フィルターしたもの」
との答え。

これを読んだ'90年代初めにはごく当たり前に思えて、この話のタイトル「クロウトの意見」というのにも不遜ながら拍子抜けしたというのが実際です。
しかしそこから20年ほど経過した今、その箇所がやけに思い出されるのは何故だろうと考えました。

それは黒スーツの氾濫やカジュアル化の加速などで、すっかり様変わりした男の服から、そんな当たり前と思われた要素さえ失われつつあるからだ、と新年で忙しいので短絡的に結論付けました。
私の好きな人たちはそんな要素をさらっとクリアしているので、巷間流行るものを一々嘆くにあたらないのですが.........

ところで本を読み返していたら、今なら更に面白い箇所がありました。

    話題を変えて、最近の日本のモードについての彼の感想を聞いてみた。
    「悪趣味をともなった、過度の攻撃性」

この話の初出は'80年代前半だそうで、塩野さんは「野望ばかり大きくて、それを実現する手段をいまだ見いだせない年代の人の作るものが、悪趣味といわれても当然の帰結」と優しく弁護していますが、以前書いたように'90年代半ばになっても、イタリア人が日本人を見る目は「一部の人以外日本人は分かってない」とか「プロでも大多数はへんなカッコしてる」と思われていた節のあったことを思い出します。

さすがに見ている人は見ていて、塩野さんはこの話の最後を「男の装いの場合の良き趣味とは、年齢を越えるなにものかを見出し、生かすところに生まれるものではないだろうか」と結びます。
これこそクラシックといわれる装いのエッセンスだろうと、やはり性急に結ぶ正月でした。

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一年の計は元旦にあり

2013-01-04 | Others
 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い致します。

クリスマスには伝統に則ってイタリアから来たパネットーネを食べましたが、1kgもあるので年末まで毎朝食べ続けなければなりませんでした。
そこへ健康診断の結果が晦日に届き、師走の食生活を思ってはらはらしながら開くと、「体内年齢37才」とありました。
良いのか悪いのか分かりません。



一年の内に何度か、風呂の湯加減が絶妙な感じなところにめぐり合います。
気温や気分によるので、一年中一定というわけではありませんが、それだけで、他愛なく嬉しい気持ちになれます。

以前書きましたようにネクタイを選ぶのも、何気なく選んだ一本が合ってるような合ってないような、でも何となく合ってるか、というのが今のところ自分のイメージする状態です。
しかし昨年一年だけとっても、そういう日は片手で納まってしまうかもしれません。
その日にぴったりの風呂の温度にあたる頻度のほうが、まだしも多いようです。

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