Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

Cashmere 100%

2020-09-11 | 生地
だいぶ前のこと、コートに合わせてカシミヤのマフラーを贈ろうと思った時のことです。
気にかけてそれらしい店をこまめにのぞきましたが、なかなかイメージにぴったり合う色が見つかりません。
日は過ぎるし、微妙なニュアンスは諦めて普通に合う色でちょっと妥協してしまおうかと思った時、普段入らないような職場近くのブランドものの店で、思い描いていた色に近いマフラーを見つけました。

安堵と達成感で見落としてましたが、手渡してから、フリンジの中心が針の先くらいではありますが白いのに気づきました。
生機というか白無地のマフラーを大量に用意して、各ブランドから注文が来る度にその色に染めて出すというイタリアのメーカーだったと思われます。
それから何年かして、そのメーカーが作ったマフラーを一度に百本くらい触ったことがありますが、中に数本たいへん手触りの良い品が混じっていました。
とても同一価格とは思えないくらい差があります。
比べた人しか分からないとは思いますが、良いのに当たった人はラッキーだったでしょう。



ロロ・ピアーナのベビーカシミヤとか、アラシャンだとかアルバスだとか、カシミヤにも名の知れたグレードや産地があります。
それを製品にうたっている所もありますが、多くは組成表示だけで特にどうこうありません。
眼と指で判断するしかありませんが、情報に頼りがちだと危ないかも知れません。
同じカシミヤ100%でも、産毛だけと、より表層部に近い毛が混ざったものでは明らかに手触りが違います。
またマフラーなら柔らかい産毛だけの方が首が喜ぶと思いますが、糸に力が必要な服地にはことによると柔らかくて短い産毛より、繊維長のある方がより良いというのが理屈です。



どうでもいいような事を書いてますが、今回は「コーディネートの参考にするから、出来上がったジャケットの画像を使って」とリクエストをいただいたので、揚げさせていただきます。
生地の手触り・着心地をお伝えできないのが残念、と思うようなカシミヤ100%の素晴らしい生地でした。
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神奈川県立歴史博物館 特別展

2020-09-09 |  その他
業界の長い方が、私のやっているようなことを「こんな時代だからこそ、わかる人の需要を得ることができるでしょう」と言って下さったそうで、その兆候はかなりおくゆかしいものですがありがたい事です。

知り合いの仕立屋さんは、仕立服が男性のスタンダードになるようにと願いを込めて、従来より廉価なラインを設定したり仕立服の裾野を広げようと尽力されています。

何かできるというほどのことはありませんが、より自然な、その人に合った趣味の良さというものがあるはずですよ、というイタリアなどで普遍的な服を作る仕立屋のものの見方をお伝えしてるつもりです。
それには私共の眼と仕事を利用して頂くのも、近道だと思っています。



直接服と関係ありませんが、色とスタイルという面からか、ものの切り取り方なのかハッキリしませんが、興味があるものの一つに「新版画」というジャンルがあります。
時々画像で使わせて頂く川瀬巴水さんという人は、それを代表する人でした。

4月に関内・馬車道の神奈川県立歴史博物館で予定されていた特別展「明治錦絵×大正新版画 ー世界が愛した近代の木版画ー」が、復活開催されています。

錦絵は今回ほどまとまった数を見るのは初めてで、ちょっとその極彩色に先入観がありましたが、じっくり見るとその技術というか彫りや摺りの職人さんの手練に引き込まれました。
途中で目が二次元の平板な顔などの表現に慣れ過ぎて、立体的な服を作る世界に戻れなくなるのでは、と不安になったくらいです。

川瀬巴水や土屋光逸の多くは図録で見ていましたが、大戦中も日本にとどまったというフランス人ノエル・ヌエットの作品はまとまって観たのは初めてで、いずれも詩情溢れる作品でした。
帰り、心中ひそかにコレクターやキュレーターに拍手の絵文字を送りました。

9月22日(火)までの開催だそうです。

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優しい町

2020-09-02 |  その他
SNSで繋がってくださっている方が先日たいへん憤っていらっしゃいました。

『鎌倉は道が狭く規制が多い。車はお勧めできません。
路上表示は先行車に追従運転だと見えません。
鎌倉が好きで来てくれた車が、間違えた運転を陰に隠れて取り締まる警察官の姿があります。
気の毒に思えてしかたない。
世の中間違っていませんか?
もっと優しく人々を受け入れなければ、鎌倉の活気は戻らないと思います。
こんな警察に誰がした。なさけない。
観光客が気の毒に思えたいちばんでした。』

止むに止まれぬ思いで、書かれたことと思います。
これが現実なら真っ当なご意見で、こういう意識の方々が町をかろうじて支えて下さっているのかもしれません。



イタリアに10年くらい通った頃一番感じたのは、言葉がよく通じなくても相手のために何かしてあげよう、という外に開かれた姿勢でした。(実際には日本人と同じく、気持ちがあっても上手く表せない内気な人もたくさんいますが)
前にも書きましたように、そういう方はイタリアに限らず三陸の小さな漁村にもいらっしゃいましたし、世界中にいることでしょう。
そういう人こそ、人間的に洗練されている人のように思います。

ご紹介の方が指摘されたような事象は、大昔に逆戻りした村社会を思わせる何だか遣る瀬ない話ですが、残念ながらそれが現実だろうというエピソードも確かにあります。
時節柄、より鮮明にそれがあぶり出されてきたのでしょうか。

日帰りの観光だけでなく泊まって頂けるよう、数年前から地道に活動されている方々もいらっしゃいます。
清廉な市長さんは市民のためにとても頑張っていらっしゃるそうでひそかに応援してますが、先の話を聞くとそれだけではなかなか難しそうです。

同じく繋がってくださる整体師の方が、安眠のためのストレッチを紹介してくれていました。
仰向けに寝て上半身と下半身をそれぞれ逆方向にゆっくり捻るだけだそうですから、腰を痛めている方以外どなたでも出来そうです。
お読みいただいて憤りが伝染してしまったとしたら、ストレスを軽減しておやすみ下さい。
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