Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

ハンク

2023-02-23 | Blues
コロナ以前のこと。
ある日白井さんが、
「近所にウェスタンハット被ってる人が前からいてさ、
この間ちょっと話したら、ハンク◯◯って名前で活動してるんだって。
いるんだよなー、そういうの」
と楽しそうです。

白井さんが若い頃からハンク・ウィリアムズに心酔して、歌う時の衣装や革製品などコレクションされているのを知ったのは、お付き合いが始まってしばらく経ってからのこと。
それまで色々な人がカバーしたバージョンを聴いたことはあっても本家は聴いたことがありませんでした。
ですから先に聴いたのが白井さんの方で、後から御本家を聴いたわけです。

そういえば藤沢周平さんのエッセイにも、入院中に熱心なハンク・ウィリアムズファンに出会って、退院後に本物を聴くという話がありました。

そのハンク・ウィリアムズの録音の中でも"There'll be no teardrops tonight"だけ他の曲とちょっと歌声が違って聴こえるのですが、鳥の「刷り込み」でしょうか、この曲だけはもう白井さんにしか聴こえません。
もちろん順序が逆で、耳のいい白井さんが寄せていたのもあるでしょう、とにかく似てます。



ウェスタンハットは持ってませんが、比較的早い時期にわかった共通点がありました。
それは他の人からコーディネイトについて尋ねられた時、私も白井さんもたいてい「何でもいいんですよ」と答えてしまうところです。

もちろん、何でもいいなんてことはありません。
むしろまったく逆で、何でもいいどころか直感的にではありますがかなり選んでいます。
それは質問があまりに茫漠とし過ぎていてどこから語ったらいいのか手のつけようがないし、何時間あっても説明し切れないというのが一番当たっているかもしれません。

小さな石だと思って掘ってみたら、実は全体は大きかったというのに似ていて、ちょうど「何でもいい」というのが地表に出ている小さな部分。

基本がわかっていれば「何でもいい」、理にかなっていれば「何でもいい」。

では基本や理にかなっていればOKかと言われれば、それだけでは物足りないし寂しい。
陽射しを確認し、その日の予定と気分を擦り合わせ、出来上がった組み合わせで本人もまわりの人の目も快適...
でありたいと思います。

という訳で核心は「ちゃんとコーディネイト出来れば、何でもいいんですよ」
という参考にならないお話なんですね。
「出来るんだったら、はなから聞いてないよ!」と怒られそうです。

たまに探究心が優っている面白い人がいるとやはりそういう方は「何でもいい」に納得しないのでさらに突っ込んだ質問をしてくれますが、一般にコーディネイトがあまり顧みられないことを白井さんと嘆くことがしばしばありました。
文句ない生地でどんなに作りが良い服があっても半完成品みたいなもので、合わせが上手くいってないとその服の良さは生きません。

それはファッションの本場の男性でも変わらないようで、これはというコーディネイトにSNS上では未だ巡り会いませんが、逆に一番すごいと思う人で毎回自分の着ているものを投稿している紳士服を扱う店の人がいます。
着ているものそれぞれが見事にまったく合っていない、というか「そう見えるこちらの眼に問題があるのか」と不安を覚えるくらい合っていません。
あえて合わせないよう計算してるのか、どういう発想で合わないようにしているのか、あるいは合っているように見えているのか聞いてみたい衝動にかられるくらいです。
また同系色のグラデーションに固執したりするのも、合っているようでちょっと違います。

老婆心ながらこんな時にふさわしい、いつも引用する古の言葉。
「一着の服や一つのアクセサリー、それ自体はエレガンスを物語りはしない。
 エレガンスはそのコンビネーションにあるのだから」






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Sweet Little Angel

2021-04-11 | Blues
I've got a sweet little angel
I love the way she spread her wings
Yes got a sweet little angel
I love the way she spread her wings
Yes, when she spreads her wings around me
I get joy, and everything

全盛期のB.B キングが観客に向けてこう歌い出す時、女性客の歓声は最高潮に達したそうですが、B.Bがお気に入りのロバート・ナイトホーク"Black Angel Blues"が元歌でした。

これからのシーズン、駅のホームや信号待ちで立っているとジャケットのラペルが生き物のようにパタパタすることがあります。
軽い生地に軽くて返りの良い芯の組み合わせは、車輌の風圧にさえ反応してラペルが小鳥が羽ばたくような動きを見せるので、本来の意味はちょっと違うかも知れませんが、その度R. ナイトホークのバージョンを思い出します。



しばらく前、異業種の方お二人と飲んでいた時のこと。
AさんがBさんに、
「そのジャケット、肩の辺りとかその辺り(前のボタンのラペルが返るあたり)が何か柔らかそうに見えますね」
と仰いました。
洋服屋さんだって興味ないと気づきませんから、そういう眼や感覚を持っていることが素晴らしいと思います。
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来たかチョーさん、待ってたドン

2013-05-10 | Blues
 滅多にありませんが、突然のドシャ降りみたいに忙しく追いまくられる日があります。
バスター・キートンの、ハチャメチャな映画みたいです。
うまく対応できたかどうかで、自分がどの程度大丈夫か測れる気もします。

その日が偶然そんな日で、夕方には快い達成感に満たされておりましたが、そうもしていられませんで急ぎ横浜へ向かいました。



その晩行ってみると、私以外は貫禄たっぷりの6地区のドンが、一同に会して食事みたいな図になっていました。
ドン・ジョヴァンニとか、ドン・ウォズとか、ドン・ガバチョみたいですが、とにかく皆さん見た目がドンです。
しばらくすると、これだけきちんとしたカッコの方々と一緒に食事する場面って、意外にないなぁと気づきました。

以前、優しい牧島さんがよくネタを提供してくれたみたいに、その席で皆さんが面白い話をいくつも聴かせてくれて、これ次回使えるんじゃないのと大いに盛り上がります。

運動後のお酒や御飯が美味しくなってしまうせいか、自転車では痩せないと豪語するメカタ・デ・ドン○○さんが私に何枚も座布団をくれるので、バランスを失ってコケました。

お蔭様で、翌日にはきれいさっぱり忘れ、面白おかしかったということだけが鮮明に残ってます。


ドンというより、シニアとジュニアか。

ドンも若いが、ブルースの息子も若い。
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Magic Sam

2013-01-14 | Blues
 スイスからいらしたという方と話をしていたら、日本の方が体感的に寒いと言います。
空気中にふくまれる湿気が多い感じがするそうです。
冬はあんなに寒そうなイメージの国より寒いっていうのですから、困ったものです。

すぐ後に神戸からいらした方も、今年は早くから寒くなってねぇ、と仰います。
うちが出かける頃は、和らいでいて欲しいです。

先週天気予報を見ていたら、北海道全体が-27℃くらいにおおわれている日がありました。
寒いのを通り越して、危険な感じがします。
しかしどんなに外が寒くても、その分暖房が完備されていますからとスイスの人も言ってました。
東北の人も、「関東の家は断熱材みたいなものが薄く感じるけど、むこうはもっと寒さに対応した構造」と言います。

去年、どこかの教授みたいな人が「地球は温暖化でなく、もっと永いスパンでみれば冷えつつある」と語っていました。
こう書いているだけで、寒くなってきます。



今年最初に聴いたのは、年末に波平君が忙しい中くれたマジック・サムのライブ盤です。
1969年12月に亡くなる、五カ月前の演奏だと書いてありました。
ライナーに「This night, he was on fire.」とあるように、鷹の爪団なら「キレキレのピュルンピュルン」だと言いそうな出来です。

フレディ・キング、ジュニア・パーカー、B・Bキング、ボビー・ブランドの持ち歌を交え、昔出たアン・アーバーでのライブでもやっていたものも多いですが、とてもギターが一人とは思えない所が何箇所もあって、波平君が言うようにどちらかといえばジミヘンです。

冒頭は寒い話でしたが、書いているだけで熱くなってくるような内容です。

ところで名前にマジックと付くので、「マジック・寒」というマジシャンかと勘違いした人がいます。
私のハンカチ芸を見過ぎたせいでしょうか。



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Checkerboard Lounge

2012-09-14 | Blues
 どこの地方都市でもちょっと大きめな街なら、ミュージシャンの誰それが出たとか、○○バンドがアマチュア時代を過ごしたというような、伝説の一つくらいありそうです。

いくつものバンドが入り乱れるような晩には、大いに盛り上がったりもするし、血の気の多いタイプがからむと揉め事の一つや二つ起きたりもします。
すぐ収まることもあるし、こじれてちょっと長引く場合もありました。

またある晩には、普段現れないような名の売れたミュージシャンが遊びに来て、事の他盛り上がったり左程噛み合わなかったりもするのでした。



1981年9月25日から12月19日に行われたローリング・ストーンズの全米ツアーは、「Let's spend the night together」という映画で容易に観る事ができます。
ツアーはウースター~フィラデルフィア~と東部からスタートしました。
後半に折り返し、11月21日にミネソタで公演を終えたメンバーは、23日から三日間イリノイ州ローズモントで行われる公演にむけて移動し、22日の晩はシカゴに遊びに行きます。

場所はCheckerboard Lounge、その晩はマディ・ウォーターズが出演しています。
ストーンズが遊びに来ることが既に分かっていたのか、どういう経緯で映像を残したのかわかりませんが、その夜の様子が正規のDVDとして発売されていました。
作られ過ぎてない映像が逆にリアルなその晩の模様は、興味ある方は既にご覧になっていることでしょう。

ちゃんと撮られたものでないので、出だしはマイクがオフになる部分もあって、しまったかなと思いますが、そのうちぐいぐい引き込まれました。
映画「ラスト・ワルツ」の数年後で、マディはそれなりに加齢による変化があるのは致し方ありません。
しかしマディの横に並ぶと、ミック・ジャガーもコジマヨシオに見えるくらい貫禄が違います。

一度ステージにあがってギターを手にしたキース・リチャーズとロン・ウッドは、ギター小僧にかえったみたいに死んでもギターを離しません。
やはり好きなんでしょうね。
それとも、もう分からなくなっているのかも知れません。

中で面白かったのは、昔の演奏の狂暴さとは正反対で、バディ・ガイがステージ上でも周りに気配りを欠かさないタイプだったことです。
音が前にくるギター同様表情が素晴らしく、きっと疲れきっている時でも、別れ際には笑顔で挨拶を返すような人でしょう。


仮名:ウォルター・ジェイコブズさん  揉め事に巻き込まれたというか、自分から誘発してこんな顔のキズをこしらえたと言われています。


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S.B.W

2012-07-17 | Blues
 サチコさんからのメールに「昨日は幕張プリンスのガーデンプールでCKBしてきました」とありました。

先日、あと少しかと思うと暑いのも我慢できるみたいなことを書きましたが、前言撤回です。
湿度80%近くで、30℃を超えてはもうたまりません。
今家に帰ると、とりあえず一番のごちそうはお風呂です。ビールだって、さっぱりしてこそです。
目の前にプールなんかあったら、鳥じゃなくても水浴びしたいところでしょう。

というわけで、私もAKBじゃなくてBCGじゃなくてATMでもないし、JFKでもIGTでもDOCでもなく、対抗してSBWにしました。



節電アクション応援団のサカナくんを、名前つながりで応援しているかどうか聞き忘れましたが、前々回波平君に会った時、Sonny Boy Williamsonの動画の話を聞きました。
そういう話を聞くと、つい見たくなるのは致し方のないところです。

DVDを見てみました。
トリュフォーの「柔らかい肌」の主人公が座っていそうな、インテリみたいな感じの人達の前で演奏しています。
発見されたブルースという異文化を鑑賞しに来ました、みたいな雰囲気です。
アメリカ国内で普段の相手にむかって演るのとちがって、客のリアクションが少なくお行儀よすぎるのが居心地悪そうですが、S.B.Wはあくまでクールです。

S.B.Wはブログの二回目からすでに登場してもらいました。
名前だけなら一回目にも出ましたし、何度かふれている気がします。
その頃のミュージシャンによくあるように生年がはっきりせず、1899年をはじめ諸説あります。

マディにしろウルフにしろ、普段の観客にとってアーティストではなくて芸人に近い存在でもあるので、映像の中にその片鱗を見ることができます。
ポール牧直伝の指パッチンでリズムをとって、ハープをたてに咥えて演奏しながらフレームアウトしていきました。
南部に帰るとR・ナイトホークと一緒に演ることもあったそうですが、二人で煽って客を踊らせたり、身悶えせずにおれないようなスローを聴かせたりする映像があったら、きっと鳥肌が立ったことでしょう。


普通こういう話の展開だとYouTubeに接続したりしますが、もちろんつながっていません。


真似しているわけではありませんが、たまに年齢を尋ねられると、つい5歳とか10歳多めに答えてしまう場合があります。
悪気ないんですけど、何だかそのまま言うのも愛想ない感じがしてつい盛ってしまうんですね。
そんなことをしていたら、正確な年齢があやしくなってきました。
そんな時は、電波時計が正確な時刻を取り込むみたいに、同い年の人にそっと確認してみます。

あいにく相手も私と同じような場合があって、普段から記憶があやしいのか一向に要領を得ないで一緒に混乱することがあります。
ちなみに、タニタのインナースキャンというのにのると39歳とでました。


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Oil Spun

2012-02-26 | Blues
 東京マラソン.........歩くけど走ったりしないしなぁ...........
 大学生の落語No.1.....金髪先生の守備範囲だしなぁ.............
久しぶりに連続して作っていたら、話のネタにつまってしまいました。
こういう時、噺家さんなら「きっちりツマったヤニ煙管!」なんて言うかもしれません。



そういえば報道番組で、ホワイトハウスで映画の撮影があったとかいってたように聞きました。
たまたま昨日書いたB・B・キングが映ったと思ったら、オバマ大統領が「Sweet Home Chicago」のさわりを歌っていました。

何を聴いて覚えたのか、ちょっと興味がわきます。
やはりthe Blues Brothersの映画を観てでしょうか。
そういえばオバマさんは、たしかシカゴに住んでいたんですね。
もしかしたら州歌なのか............

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高けりゃ良いってもんでもないです。

2011-05-17 | Blues
 ある年ミラノの中心から少し離れた店で、日本人と話すのは初めてと言われながら一通り商品を見せてもらうと、そこのシャツはB.Dとホリゾンタルだけでした。
理由はよく憶えていませんが、他であまり扱ってないからとか、それがうちのスタイルだからとか言っていたかも知れません。
レジの脇には訪れて来た同業者の名刺が貼られ、特にドイツのものが多かったように思います。



その頃、彼らの着ていたスーツやジャケットのゴージは意外に下がっていて、ホリゾンタルとの相性が今ひとつに見えました。
逆取材を受けて色々感想を聞かれるので、つい思った事を口にしてしまい、下がり気味のゴージとホリゾンタルはバランスとしてどうかと言うと、そんなこと言われたことないと返って来ました。
想定内の言葉で言い争うような話でもありませんので、細かい物を買って帰りました。
数年後、店の前を通り過ぎようとすると、日本の雑誌の取材等ですっかり日本人慣れしたのか、スタッフが片言の日本語で呼びかけてきます。
折角なので久しぶりに一通り見せてもらうと、重衣料ではラ・ヴェラ・サルトリア・ナポレターナとか南のメーカーでゴージ高めの製品など、品揃えは多少変わっていました。

かといって今回の画像のように極端にゴージが高く見えるのは、決して良くありません。
頭の大きさに応じた肩幅の確保による体型補正効果と同じく、仕立て服が普通だった時代には、ゴージの高さも本来着る人の身長により按配されていたそうです。
見上げるほど長身の人がゴージの高い物を着ると、反り返ったように見え、高身長を助長して大巨人になってしまいます。
ですから身長190cmくらいのゲーリー・クーパーのワードローブは、175cmほどのアステアのものより理論上ゴージが下がっていたと思われます。「Dressing the Man」等でご確認いただけるでしょう。

店のオーナーの写真が見つからないので、こんな感じという画像を作ってみましたが、シャツの衿型はもっと水平だったので、極端にいうと衿からゴージが垂直に繋がるイメージでした。



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あと一歩だけ前に進もう 

2011-05-06 | Blues
 「あと一歩だけ前へ進もう......おっ、スガシカオの歌か?こんな所へ書くなんて洒落たことするなー、復興アクションか」と思ってよく見たら、「もう一歩だけ前へ、ご協力ありがとうございます」とあったのは駅のトイレでした。



80・20運動と聞いたアパレルの人なら、この時期ウールとモヘヤの混率かと勘違いしそうですが、「80歳になった時、自分の歯を20本残そう」という運動のことです。

半年毎にお手入れしていても、突然具合悪くなったりするのが歯です。
ヴィスコンティの映画で貴族をあつかった題材のものは、どの作品もみんな歯痛の場面がある印象があります。
もちろんこれは勘違いですが、歯痛は一種の贅沢病だったのでしょうか。

以前書いたように、昔は甘いものを受け付けなかったので心配していませんでしたが、イタリア的な食生活に冒されて以来、甘味に親しむようになって安心してもいられません。
食べたいだけ食べた後は、下のチェスター・バーネット氏、通称ハウリン・ウルフのように積極的に検診を受ける他なさそうです。

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Dimples

2011-04-19 | Blues
 先週、数年振りで中村君にばったり会いました。
結婚前には、一時期毎週のように波平君と中村君と週に数回飲んでました。波平君はギターとジーンズ、中村君は腕時計好きで、私は何好きだったんでしょう。

お父さんになっても、童顔はそのままで、着こなしもぴったりきまっていました。



吉水君にも久しぶりに会って昼をとっていると、彼が以前一緒に仕事していたフランス人の話になりました。
ある日、相手のタイにディンプルが何時もないことを質すと、「あなたこそ、そんなサスペンダーして何ですか。あなたはあなた、私はわたしでしょう」と返された思い出を聞かせてくれました。

なるほど御尤もです。さすがフランチェーゼ、口では敵いません。
「でも時が経てば分かるだろう.......
君は君の、僕は僕の道を行くとき」なんて感じのボブ・ディランの歌を思い出しました。

それでもやはり、趣味は磨かれていかないとなりません。
一歩間違うと、ディンプル作るとネクタイ傷みそうで、なんて言う人と一緒になってしまいます。
拘りに貫かれて「死んでもディンプル作りません」とかいう場合なら、後年のウィンザー公みたいに厚い芯のタイを作らせて遊ぶ余裕でも欲しいところです。

でも一時期より、先のフランス人の言葉に気分が傾くのも事実です。
それは既に数十年前、伊丹十三さんが書いたように、個性的であろうとするつもりが画一的、というパラドックスから抜け出せない現実を見続けた所為かも知れません。

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マナーの掟 Pt.2

2011-02-26 | Blues
 何年か振りに本格的な風邪をひいて、今週は酷い目に遭いました。
暖かい日もありましたがホカロンのお世話になって、ようやく出掛けられる有様で、インフルエンザでなくて助かりました。



最寄りのスーパーマーケットで、従業員の方が裏に行くのにドアの前で一礼しているのを見掛けて、こんな所にも変な習慣が拡がっているのかと思いました。

気持ちを形に表すのにやぶさかではありませんが、形式的なのはいささか抵抗があります。それが、他所もやってるから風な所が垣間見えると、更に違和感があります。

そのスーパーでは先日、乳製品の棚の前で屈んで作業する従業員に、管理職らしき人が指示を与えていました。
そこに立ち止まったお客さんに気づきながら、その上長は尚も話し続けて、よけるふうもありません。
だよなー、とある意味判り易い話で関心しました。

ドアの前で一礼なんかしなくても誰も困りませんし、出来れば見たくない。
それより、買物してる人に最低限の気遣いが出来る精神構造の方が必要です。
危ないから目の前を横切らないとか、当たり前のことを当たり前に遵守するだけでいいではありませんか。

先日も一緒に飲んでいた人が、「そういう所って力入れる所を完全に間違ってますよね」と言っていました。
私だったら、もっと勉強してもらって品揃えを考えてもらいたいところです。
例えば、リーズナブルなふたば乳業の発酵バター(ポンド)を置くとか、中国産以外のハチミツの種類をふやすとか.......

何だかまだ熱があるのでしょうか、TBSのノムさんみたいに二日続けてボヤいてしまいました。

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鷹の爪 -マナーの掟-

2011-02-25 | Blues
 今日は日較差が大きく、昼は19℃くらいまで上がり朝晩は10℃前後という気温だったようです。しかし特に朝は風があり、体感温度はもっと寒く感じていました。明日はもう下がってしまうそうですが、揺すぶられて徐々に暖かくなっていくのでしょう。



私も一応音楽を聴いたりしますが、歩いていたり電車乗ってる時に他の音を聴こうとは思いません。カザルスではありませんが、鳥の声など様々なもので間に合っています。

昔、電車内での音漏れが騒がれて一時期少なくなっていたように感じていましたが、スマートフォンの拡大に同調しているのか他の原因か、最近かなりモレモレの人が多いように感じます。

何事も使い方しだいですが、自己顕示欲なのか、「Play it loud」と表示のあるものを聴いているのか、そういう人に機器が使われると諸人が迷惑することになります。

タバコの吸い過ぎに注意しましょうとあるのと同じように、作った側はあとは関知しないという距離感なのか、本人の自覚任せで結局野放し状態が続くのでしょうか。

朝、隣に座って来たダウンジャケットの20代の男性がマンガに飽きて寝始め、寄りかかって来てもモレ具合は静かだったので苦になりません。
同じ日の夕方、隣になったおじさんは、誰か判りませんがワン・ホーンのジャズがかなりモレて、読書の障りになりました。

以前何かで、耳の近くに音源があり続けると聴覚障害というか、要は耳が遠くなるという報道を聞いたことがあります。だとしたら.......恐ろしいことにもっとボリュームを上げ続けるのでしょうか。



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良い趣味と対極のもの

2011-02-18 | Blues
 昨夜は一晩中すごい風雨でした。気温は暖房がいらないほどで、春が近いことを思わせる嵐なのかとうつらうつらしながら考えました。
しかし夕方には気温がだいぶ下がって、明日はさらに下がる予報です。



以前書いたような着こなしの良い方々に共通する事の一つに、トラディショナルなテイストをあげることが出来ます。ブリティシュとかアメリカンとか狭義な意味でなく、伝統的なものに対する憧憬や理解と言い換えてもいいかも知れません。
素材や仕立て、合わせにいたるまで身につける物に一貫して感じられるテイストに、そのレベルの方々は今日性も抜かりなく加味されています。

今秋冬の大手ラニフィーチョのバンチを見返していたら、妙に光沢を付与された生地が多いように感じました。趣味の良いと言われる人々が決して手を出さない種類のもので、その光沢はたいてい細番手のウールにシルクを加えて作られているようです。

外国人に「あなたのカッコは違うようだが、日本人は流行のものが好きと聞いている」と言われたように、生地バンチも自分達が使うことのない目先の変わったものを集積しているなんてこともあるかも知れません。
また作っている人のセンスが、必ずしも盲信するほどのものでないことも周知のとおりです。

そこから製品を作れば、あまり趣味が良いとは言えないものが並ぶのは当然の結果です。
シルクは特性上摩擦に弱く、体型的なこともあるかと思いますが、内股に穴があいてしまったり薄くなったものを幾度か見ました。
また濃色では表面が白っぽく見えるようになる場合もあります。
残念ながら経年変化を楽しむ前に、寿命をむかえる場合も少なくありません。

もちろんシルクに罪があるわけでなく、これからのシーズン、シルクを上手く使ったジャケットは季節感もあり、たいへん重宝します。要は使い方の問題でしょう。



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袖の形状

2011-02-04 | Blues
 日常、食べる物と着る物くらいには季節感が欲しいと人並みに願っています。
長引く不況とトレンドのせいでしょうか、ここ何年もずっと黒っぽい・薄いものばかり目立つ所が多いように感じます。
フランネルやツィードっぽい物はもうしばらく出番がないのかと思ったら、他所でやっていないから面白いように売れたという所があって、アンテナの問題かとも思いました。



上着の袖の形状がズドーンと太いままというのも、あまり格好が良くありません。
特にサイズが小さいと当然袖も短くなり、筒っぽい感じが助長されます。

イタリアにも男性的な上腕をすこし強調した袖の形状をもつ既製品はありますが、袖口にむかって程よく先細りになっていたり、バランスを感じさせます。

余程の完成型でない限り少しづつマイナーチェンジを繰り返し、理想型に近づけようと進化させることも必要です。
そこにはアームホールの形状・大きさの調整がセットでついてきますが、多分、昔と違って手本となる既製品もあり、理解も深まっているはずです。
勘違いしてただ細いだけだと、着づらい事この上ありません。

何十年も前のゲーリー・クーパーの袖をご覧ください。
むろん腕も長いし仕立服ですが、袖は今ならBoglioli K. Jacketのような形状に見えます。



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インテルヴィスタ

2011-01-29 | Blues
 アジア杯サッカー日本戦の後、韓国代表監督のインタビューはたいへん気持ちの良いものでした。準備の段階で失敗があったとすればPKの練習をしすぎた事、というコメントも真顔で語っていましたが洒落が利いています。
同じくパク・チソン選手をはじめ選手のプレイも、主審の笛に翻弄されながら賞賛に値する内容でした。
今夜決勝を迎えますが、もしかすると大会終了後、最も印象に残っているのはこの一戦になるかもしれません。

今日の一枚は、1996年日本公演中で来日中、客死したジョニー・ギター・ワトソン。



TVで観るかぎり比較的好印象だったパティシエが、最近何か雰囲気が変わったなんて恵比寿の店の前を話しながら歩いていると、何か鬱屈したものがあるのかもしれないと想像しました。
スポーツ選手でも各人イメージがあるのか、マイクを向けられて素っ気なさを装う人もあれば、サービス精神に溢れた人もいます。
また石川遼君でさえ日によって気分のムラは避けられないので、もちろん他の人においてをや、と立派な大人たちも言われかねません。

ザッケローニ監督の気持ち良いインタビューを聞くと、バランスのとれた常識的な人柄にお見受けします。マスコミへの不満もあったかも知れませんが、よく不機嫌そうに受けて、そそくさと立ち去っていた前監督のインタビューでは、未成熟な、社会性の足りなさを感じました。

中崎タツヤさんに、最初感じ悪くしておいて後から愛想よくした方がその逆より最終的に好印象、という話があって笑いましたが、うがった見方のようで一面の真理を突いていて困りものです。
昔仕事で出会ったもっと上級者は、然るべき立場でも愛想だけで何もしないというタイプでしょうか。

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