Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

VR 4

2020-05-29 | 生地
今回は、「春秋にむく紺・ブルー系で、少し面白味があるものを」というリクエスト。
生地は、新型コロナウィルスでロンドンからの物流がストップする直前に間に合いました。

一見、単にきれいな発色の「ブルーにウィンドゥペイン」ですが、近くで見ると引きで見るのとは違う表情が楽しめます。
本来正反対の手触りのモヘアとシルクは表面に若干のツヤを与え、打ち込みのよさが張りを感じさせる以外にも、微妙な手触りを生みます。



耳にある4番目のリネンの混率は3%。
素材自体の性格を左右するものではありませんが、下の画像に見られるとおり、白っぽくかすれたように見える不規則な繊維が表面にほんの少し表情を与えているのがそれです。
均一で整い過ぎて、平板に見える柄や表面感はクラシックなジャケットには今一つ、と以前書きました。
この引っ掻き傷のような麻の使い方は、それを回避する役目を果たしています。

また右下の、生地を折り返した部分をご覧いただくと分かりやすいかも知れませんが、経糸が茶、緯糸がブルーで構成されているために、見る角度によって違う色にも見えます。



紺・ブルー系は年齢を問わず男性を引き立ててくれる色ですが、注文頂いた方のイメージでしょうか、ある程度年齢を重ねた大人の男性に似合いそうなジャケットになりました。



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解除

2020-05-27 |  その他
4月1日以降、撮りためてあった画像を組み合わせてアップしていましたが、休業でそろそろ尽きかけていました。
そんなタイミングでようやく緊急事態宣言解除を迎え、一区切りついてほっとしました。



休業に入る直前、友達に安否確認メール送ったところ音信不通。
二ヶ月近く経って、返したつもりが送信されてなかっただけで元気なことを知り、これまたほっと一安心しました。

解除したらどうしよう、この時期に何を着てたかな、なんて思ったりしていましたが、明けてみると特に変わりない、しかし新しい日常がやって来ることでしょう。
というわけで明日より、少し時間を短縮しながら通常営業させていただきます。
どうぞ宜しくお願い致します。



Comments (2)
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VR 3

2020-05-18 | 生地
今年は、花の時期が少しズレている気がします。
夕方のほの明るい中に宵待草が開くと、それはそれで風情がありますが、そこへキツいジャスミンが漂ってきました。
お茶は好んで飲みますが生花はまた別で、繁殖力が旺盛なのか、ここ数年あちこちの家からキツ過ぎるくらい匂います。

タイド・アップして出かけなくても出かけた気分になれる?VR第3弾。



ウール、シルク、リネンという組成自体は珍しくもありませんが、昔のW.Billのこのシリーズは、無地っぽく見えるものでさえとても複雑な色で構成され、設計していた人のセンスと眼がいかんなく発揮されていました。
この生地も例外ではなく、ルーペを覗くと非常に複雑な色の組み合わせから成っています。
地のトーンは一見したところ和にも通じるようにも見えますが、そのシリーズの中でも異色で、合わせの難しいものの一つでした。







前回と違って、振れ幅の小さな変化の中に微妙な違いを求めていますが、あまり違って見えないかも知れませんね。
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VR 2

2020-05-11 | 生地
分かりやすいことに、5月1日から急に暑くなりました。
連休明けはもう7月並みになっているそうです。
どうりで日中歩くのに、体がやけに薄着をもとめると思いました。

たまに電車乗ろうとマスクしてサングラスして帽子かぶったら、昔見た「透明人間」みたいです。
いずれにしても三つ揃うと怪しまれても仕方ないので一つ削りましたが、間違ってマスクを削ると、今はもっと怖がられますし笑えません。

自粛ももう一息というところで、追加のVR企画。
生地は、少し前にあげたヘンプとシルクの交織素材です。



寸法に適宜補正をほどこした後、服になってからくるいが出ないようザックリした生地のタテヨコの糸を入念に整えてもらって、加湿と放散、加熱しては冷ますことを繰り返しながらもろもろの工程を経て、6週間ほどで上がってきたのがこちらのジャケット。






色柄はもちろん、合わせるものの質感によっても表情が変わりますというお話。
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BC級

2020-05-07 |  その他
既に休業から1ヶ月、いかがお過ごしでしょうか。
ご家族で観るのに「イースター・パレード」いいですよなんて書きましたが、最後の段ちょっと嫉妬心を目覚めさせてしまうというか、植え付けてしまう可能性があるから、女の子のいるお宅にはどうかななんて後から心配になりました。
仮にご家族でご覧になったら、今お子さんに人気だというYouTuberでなく、タップダンサーになりたいと言いだす可能性もゼロとは言えません。

先日ヒマに任せて、そのYouTubeで観たことのない映画を探していたら、アメリカの人たちが上げているいわゆるプログラム・ピクチャーみたいなのがかなりあります。
おそらくB級C級の犯罪・推理映画ですが、順次新しくあげる人がいることを考えると、'30〜'50年代の作品だけでも観きれないかもしれません。
全部が全部お洒落の参考になるわけではありませんが、観はじめると何となく最後まで観てしまうということもありますから、書いておいてなんですが要注意です。

カラー化というより着色と言ったほうがいいような出来の作品がけっこうあって、それがまた雑な仕事で肌色がグレーになったりするので、笑ったりツッこんだりして観ました。



そういうのを観て思い出したのは、この本です。
レイモンド・チャンドラーの作品を読むと、裏のある厄介な感じのナイトクラブ経営者というのがしばしば登場します。
後からフィリップ・マーロウが巻き返して読者の溜飲を下げてくれる、あるいはスパイスとして必要な存在ですが、上の清水俊二さん訳の本を読むと、その出所について触れていました。
実際にチャンドラーの住む西海岸には、そういったタイプの経営者による怪しい店があって、そこからヒントを得たそうです。
それを読んでからも読む前も、頭の中でそのイメージにつながっているのはL.フェロウズの下のイラストです。

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