Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

美わしき歳月

2021-01-29 | 映画
「金環蝕」(石川達三原作)という汚職を扱った1975年の映画を観たら、まるで一昨年のニュースを見ているようでした。
何十年経っても変わらないんだな...というか、「浜の真砂は尽きるとも...」といった大昔からという感慨と共に、汚いものは今ちょっと間に合ってますという気分にもなります。
これもコロナのせいか。

口直しに何かないかと観たのが、「美わしき歳月」という1955年の作品。
経営を長男に代わったところ、製品の質を下げていることに気づいた先代が、「黙ってても口をきくのが商品だよ、儲かりゃいいってもんじゃない!」と一喝する場面があって、昔は珍しくなかった言い方かもしれませんが、使い捨ての製品も多い昨今は新鮮に響きます。
それから日をおいて2回観ましたが、なぜか次第に良くなってきました。



そんなことを書いていたら、昨秋TVでやっていた栗のお菓子特集の番組を思い出します。
それぞれ美味しそうでしたが、期待していたのが出て来ません。

ちょっと珍しい名前なのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、「爾比久良(にいくら)」というお菓子です。
以前仕事先の近くで見つけたのが初めで、6個入りでもやけに持ち重りがして、いかにも中身が詰まってそうな感じがしました。
それまで食べた岐阜や長野の栗を使った菓子とも違っていて、一時期「また買ってきたの?」と言われるくらい執心しましたが、しばらくすると、一つを4つに割って口の中でちょうどいいと気づきました。
そのくらい、味にボリュームがあります。

独立してから遠くて買いに行ってませんが、八坂神社階段下いづ重や道頓堀今井のように、最初普通のように感じながらすぐ普通でないことがわかる品で、先の「美わしき歳月」の宗旨をまげない先代でなくとも、自分のところの製品も遜色ないレベルでありたいと思わせるバロメーターのような存在です。

そういえば、例年なら二度年末が味わえるように賑やかな京都の吉田神社や八坂神社の節分祭・紀元祭も、今年はどうなっていることでしょう。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春近し

2021-01-16 |  その他
もう10年くらい海外で暮らす友達からメールをもらいました。

こちらは去年の12月半ば頃からロックダウンが始まり、今月の終わりまで続く予定ですが、ここ最近の感染者数から今後さらに厳しく制限される予定です。
病院と薬屋、スーパー意外は全て閉まっている(短時間営業)のですが、それに付け加え、
自宅から15キロ以内の移動制限が追加されます。

去年の3月から自粛生活を送っていますが、なんだか疲れてきてしまいましたね。
でもこの生活を止めるわけにもいかないので、頑張るしかないのですが…
今年こそは会えるかな?
それまでお互いに元気で頑張りましょう。

会いたいですね!



「それでも春は来るよ」と言ってくれているように、先日ちょっと散歩に出るとチューリップが咲いていました。
まだまだ寒いのに、なんて健気な...
と思ったらオチがあって、冷温貯蔵した球根を植えると春と勘違いして咲くそうです。

今はどこも行けませんが、妄想の中では自由です。
イタリアも日本からの旅客機ではミラノかローマ着ですが、例えばワインならシチーリアから入ってエミリア・ロマーニャも可能ですし、リグーリアからアブルッツォも、トレンティーノ=アルト・アディジェからピエモンテ、ウンブリアからプーリア、ピエモンテからピエモンテでも何でもOKです!
画像はよくあるルートで、カンパーニャからトスカーナ。
でもお母さん、くれぐれも飲み過ぎにはご注意を!


(昨年ある晩、横浜西口トラットリア・フランコにて)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おめでたい話

2021-01-13 |  その他
同じ仕事を三十数年続けている間に、一年間だけよそへ勉強に通ったことがありました。
普段工夫してやってきたつもりでも知らない事はたくさんあるだろうから、せっかく教わるなら長い経験に培われた理論を、と思い師事した先生は当時70代でした。

もちろん勉強になりましたが、バブル期のように忙しかった時期でも自分達が積み重ねてきた仕事がかなり細かく正確だったことも分かりました。
最後お目にかかったのは4~5年前のことで、よそのメーカーの展示会だったと思います。

その先生が技術的なブログをずっと書いていらしたのを発見して、昨年卒寿を迎えられたと知り、ご連絡してみると以前と変わらぬ声の張りで嬉しくなりました。
当時から全国の仕立屋さんの問い合わせに応えていらっしゃいましたが、今も生徒さんを教え、現役の仕立屋としてのキャリアも70年になるそうです。
「これしか知らないから」と謙遜されてましたが、すごいですねぇ。
遅ればせながらお祝いを申し上げ、倍近い年月を思って眩暈がしました。



通っていた間に数回「ご自分でやらないの?」と訊かれましたが、その頃は業界の趨勢を日々実感していましたので、毎回強く否定しました。
昔のことで、先生はそんなことはまったくご記憶でないようなのが助かります。
私も、まさか自分で言ってたことと逆になるとは思ってもみませんでした。
違う意味でおめでたいです。




Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

instagram

2021-01-13 |  その他
インスタグラムを始めて2年ほど経ちました。
既に書きましたが、当初はローレンス・フェロウズやレスリー・サールバーグ等についてもっと詳しい人が見つかるかなとか、イマジネーションを刺激してくれたりインスピレーションを喚起してくれるようなお洒落な人がいるんじゃないかとか思っていましたが、残念ながら海外の人にもL.バルベラのような着こなしの人はまだ一人も発見できません。

世界的にはまだピタピタのスーツを着たような人が多いので、メンズウェア関連のを長く見ていられないのもあるかもしれません。
そんな時、気分を癒してくれるのが犬猫で、ゴールデンレトリバーやバーニーズマウンテンドッグ、サモエド、柴などを見ていると気分がしだいに回復します。

ある日、本人のアカウントは非公開ですが海外の女性がフォローしてくれたことがありました。
フォローし返すと、ミラノのL.バルベラの店で働く人だと分かりました。
しかしいつの間にか店は辞めてしまったようで、リヴィエラ、モンテカルロ界隈で遊ぶ画像が増えてきたり、だんだん困ってきちゃったなぁというふうに、非公開の方がフォローしてくださったのをフォローし返すと、何だかよそのお宅に闖入してしまったような気分になって、次第にいたたまれなくなります。



話は変わりますが、コーディネートの話ではよく花を引き合いに出します。
花は茎や葉、花弁や中心部分のほんの小さな面積にいたるまで、色が合ってないということがほとんどありません。
葉の緑にしても、花弁の色に合わせた明度彩度を選んでいるのではと疑いたくなるようなソツのなさで、地味な茎の色も他の部分を引き立てるという意味で同様です。

漠然と野鳥の羽根の色もそう思っていたのですが、インスタグラムで図鑑以上の種類をクッキリ原色で見せられると、その説は大いに揺らいできました。
きれいな小鳥といえば、中南米やインド周辺など有名ですが、それこそ北欧のように寒そうなところにもいて、各国に特派員がいるかのように美しい鳥の画像をあげています。
すると想像を遥かに超える色の組み合わせが次から次へと現れて、とても自然とは思えない(?)ようなヤツがたくさんいることを知りました。
すごくキレイなのですが、あまりに例外が多過ぎて鳥はちょっと服の話に使えないか、と思う今日このごろです。


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2021 新春

2021-01-07 |  その他
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

親しい方から「年賀状用意するのが大変になってきて」と伺って、電話での挨拶にきり替えて数年たちました。
そうなると、元日はないだろう、三ヶ日は取込んでるんじゃないか、とタイミングをはかるのも意外に勘の働きどころです。
今年は暦の並びがよく、4日月曜日から世の中が動き始めるのでちょうどいいなんて思っていたら、先に元日に頂戴しました。
なかなか読み通り行かないものです。

例によって三が日は駅伝三昧で、3日合わせると選手が300km以上走っているのを観ながらこちらは家を一歩も出ず、100mと歩いてないかもしれません。
箱根駅伝は、9区からアンカーに繋いだ時点で、首位と2位との間には3分以上の開きがありました。
そこでチャンネルを変えたり、出かけた方もいらっしゃったかもしれません。
2位駒澤の監督さんも、10区の選手でさえその時点で追いつくとは思わなかったとレース後語っていますから、観ている方が諦めても仕方ないところです。
しかし、何があるかわかりません。

何があるかわからないと言えば、年末に届くはずの荷が間違って巌流島へ行ってしまいました。
途方にくれていると、佐川の方がこちらの身になって処理してくれた上に、最後「また何かお困りのことがありましたら、いつでもご連絡ください」と気をつかってくれました。
繁忙期で通常業務だけでも忙しかったと思いますが、何度もやり取りしたり、頭のさがる思いです。
そのおかげで良い正月が迎えられたといっても言い過ぎではないくらいです。



駅伝だけでなく、「東京のえくぼ」という1952年の映画も観ました。
後年「ローマの休日」に例えられたりもしたようですが、「ローマの休日」は1953年製作で日本公開は翌年でしたから、それよりもF.キャプラ監督の共にアカデミー賞受賞作品「或る夜の出来事」「オペラハット」を思い出させます。
「オペラハット」のゲイリー・クーパーはチューバで、「東京のえくぼ」ではフレンチホルン。
製作サイドの人々はキャプラもエルンスト・ルビッチも相当好きで、DVDで何度も見返すことも出来ない時代なのによく研究していたことが伺えます。

社長を辞めたい主人公が身をやつすのに、着ていたスーツを古着屋でみすぼらしいスーツに交換してもらって出てくると、その「みすぼらしいスーツ」とは少し前まで流行っていた短い上着に短いパンツの組み合わせ、なんて笑えるところもあります。
今年は良い年になるといいな、と思うようなほのぼのした作品です。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする