池波さんの「おとこの秘図」という時代小説の冒頭、めずらしい入り方で、幼少時の写真に写る父親の着ているものについて描写があります。
それによると、綿糸問屋の番頭格だった父君は白麻のスーツに白い靴に帽子と、向田邦子さんの父君同様、戦前までの方々の雰囲気を偲ばせるスタイルだったことが伺われます。
同じく池波さんの「私の夏」というエッセイに......
どこの家の母親も一日中、汗みずくになり、家事におわれていた。
職人の家では、主人の仕事を手つだいながら家事にはげみ、子たちの世話をやく。
そのころの女のひとたちの姿をおもい起こすと、つくづく頭が下がる。
女がいなかったら[家]は持たなかった。
そのことを男たちは、みな、わきまえていた。
夏になると、下着も寝床の敷布も汚れるので、女たちは懸命に洗濯をする。
アイロンこそかけていないが、洗いたての、ごわごわした敷布の上に、これも洗いたての寝間着を着て眠るのは、子供ごころにもこころよい。
石鹸と太陽のにおいを吸い込んだ寝間着や敷布の香りは、夏になるとことさらに強く感じられる。
青い蚊帳の中へ、大人たちより、先へ入って寝床へ横たわり、いつしか眠りにひきこまれてゆく感じを、いまもおぼえている。
というくだりがあります。
何時だったか、噂に聞くイタリアのアイロンかけの話を書きました。
つまり、一度完全に乾いたものに霧を吹いてアイロンをかけるか、生乾きの頃合いを見計らって取り込み、アイロンをかけるかという選択肢です。
ホテルのクリーニングで経験した(シャツの衿腰部分が湿ったままだった)ことによって、実際に生乾き派が存在することを確認しました。
洗濯石鹸のコマーシャルみたいですが池波さんも書いたとおり、私自身はお日様のにおいがほしいので、断然、完全に乾かす派です。
また、プロの方も言っていたかとおもいますが、乾いたものに最小限の湿り気を与え、熱で一気にとばすことがきれいに仕上げるコツかと思います。
生乾きのもので、同じ仕上がりを求めると、もっと高熱で時間的にも長くアイロンをあてる必要があり、せっかくの良い素材をいためる結果にもなります。
そうした理屈をすべて抜きにしても、お日様のにおいには抗えません。
それによると、綿糸問屋の番頭格だった父君は白麻のスーツに白い靴に帽子と、向田邦子さんの父君同様、戦前までの方々の雰囲気を偲ばせるスタイルだったことが伺われます。
同じく池波さんの「私の夏」というエッセイに......
どこの家の母親も一日中、汗みずくになり、家事におわれていた。
職人の家では、主人の仕事を手つだいながら家事にはげみ、子たちの世話をやく。
そのころの女のひとたちの姿をおもい起こすと、つくづく頭が下がる。
女がいなかったら[家]は持たなかった。
そのことを男たちは、みな、わきまえていた。
夏になると、下着も寝床の敷布も汚れるので、女たちは懸命に洗濯をする。
アイロンこそかけていないが、洗いたての、ごわごわした敷布の上に、これも洗いたての寝間着を着て眠るのは、子供ごころにもこころよい。
石鹸と太陽のにおいを吸い込んだ寝間着や敷布の香りは、夏になるとことさらに強く感じられる。
青い蚊帳の中へ、大人たちより、先へ入って寝床へ横たわり、いつしか眠りにひきこまれてゆく感じを、いまもおぼえている。
というくだりがあります。
何時だったか、噂に聞くイタリアのアイロンかけの話を書きました。
つまり、一度完全に乾いたものに霧を吹いてアイロンをかけるか、生乾きの頃合いを見計らって取り込み、アイロンをかけるかという選択肢です。
ホテルのクリーニングで経験した(シャツの衿腰部分が湿ったままだった)ことによって、実際に生乾き派が存在することを確認しました。
洗濯石鹸のコマーシャルみたいですが池波さんも書いたとおり、私自身はお日様のにおいがほしいので、断然、完全に乾かす派です。
また、プロの方も言っていたかとおもいますが、乾いたものに最小限の湿り気を与え、熱で一気にとばすことがきれいに仕上げるコツかと思います。
生乾きのもので、同じ仕上がりを求めると、もっと高熱で時間的にも長くアイロンをあてる必要があり、せっかくの良い素材をいためる結果にもなります。
そうした理屈をすべて抜きにしても、お日様のにおいには抗えません。