Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

Tyrolean

2017-02-28 |  その他
7月ハンブルクでG20首脳会議が開かれる前段階として、3月はバーデンバーデンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれるそうです。
その有名な温泉保養地の名で思い出すのは.....

1830年代フランスで賭博禁止令が出ると、カジノ経営者たちは次にドイツの温泉保養地に目をつけました。
鄙びた村に出現したカジノは.....と書くと、時事ネタみたいになって来ますがそうではありません。

それらは一種の社交場としてヨーロッパ中の有閑階級が出入りし、各地のカジノを渡り歩く遊び人の金さんみたいな人達も周辺を取り巻いていたことでしょう。

そうした人々が帰国する時携えて帰ったものの中に、地元の農夫や猟師などが被っていたスタイルの帽子があったそうです。
その一つがチロリアン・タイプのもので、もう一つは洗練をへた後にホンブルグと呼ばれるスタイルでした。

1960年代に男性の頭から徐々に帽子が消えていくと、普段被るものでは最もドレッシーとされたホンブルグが真っ先に希少種となったのは容易に想像がつきます。
一方、カジュアルとしての地位を築いたチロリアン・タイプの帽子は学生などにも裾野を広げ、ホンブルグより多少命を長らえました。



チロリアンをモディファイ(当時の話)したこの画像のタイプは、ブランド、素材、仕様など様々ですが型はほぼ同じで、作っていたのも北米では殆んど同じメーカーでした。



前々回「絹の靴下」のイラストで右の男性の帽子もそうですが、1930年代のEsquireからチロリアン・スタイルの影響が解説されています。
典型的なローデンコートも、この時代には既に選択肢にあったことが分かります。

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Joseph Christian Leyendecker

2017-02-26 |  その他
昔日本版の画集の出ていたNorman RockwellやMaxfield Parrishに比べ、日本では知名度が低いと思われるイラストレーターでJ.C Leyendecker(1874~1951)という人がいます。シャツの広告「アロー・カラー・マン」を描いた人と言えば、思い出す方もいらっしゃるかも知れません。
本国では画集も数種出ていますし、ノーマン・ロックウェルが心の師と仰いでいたというくらいの人ですが、今日話題になることは滅多にありません。

と9月にそこまで書いておいたら、翌月に翻訳版が出ていたそうです。
タイムリーというか.....

手元にある本は同じかどうか分かりませんが、画は豊富で、記事の内容にも誤りがという話もあります。
順序から言えばこの人を先に挙げるはずだったのですが、つい後回しになってしまったのも人物にまで深く興味を持っているわけではないので、記事はあまり気にならないのでした。









日本版が出たと知ったのは15(水)のこと。
その日初めてお話した画伯の話の中で、「ちゃんとしたカッコの男性と飲みたい」という俄かに信じられない需要のあることを伺いました。
その本を購入される方々の一部はそういう方だそうです、クリビツ!
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絹の靴下

2017-02-18 |  その他
確かめたい事があって、久しぶりに「絹の靴下」を見ました。
夏木マリさんでなく、アステアですね。
一箇所さがして見るだけでよかったんですが、ついその後も、それに折角だから冒頭の足元を追うところも見たりして結局ほとんど見ることになります。
「足ながおじさん」もそうですが、アステアの足元を追うだけで絵になるのを撮る側もその頃から分かっていたし、実際軽快な足の運びと裾の動きだけでも見飽きません。



G・ガルボ主演「ニノチカ」のミュージカル化という話の筋は別に何ということもありませんが、当時(1957年製作)大ヒットしたそうです。
アステアとは1953年の「バンド・ワゴン」以来の共演で、それにしてもシド・シャリースは何と美しかったことでしょう。
DVDでの本編の後には、そのシャリースが数十年後に撮影時の思い出を語るオマケが付いていています。
面変わりし過ぎていて、初めて見た時は軽いショックを受けました。
避けていたその部分を久しぶりに見ると、免疫があったせいか初回のようなことはありません。

昔の有名ホテルやレストランには、その歴史を辿った出版物のあることが珍しくありませんが、ハリウッドの「Brown Derby Restaurant」の本でもオーナーが顧客だったスターの写真と共に思い出を記しています。
シド・シャリースについて「Cyd is classically trained in ballet and one of Hollywood's best dressed woman」 と書いており、この映画の中では役柄から一見質素に見える衣装がほとんどですが、計算されたシンプルなラインはエレガントな身のこなしを更に際立たせるのに効果を上げています。



シルクのストッキングは持ってないので、画は話と関係ありません。
寒いと、同じアステアの「スイング・タイム」雪の場面を思い出しました。
上の画像は'30年代のスポーツ観戦スタイルをつくるアイテムを並べています。
下もEsquireの別の記事からで、それらを合わせたようなイラストです。
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ネクタイ

2017-02-14 |  その他
ネクタイは知らないうちに増えます.......なんて他人事みたいに書くと家族に叱られそうですが.....
場所をふさぐという物理的な理由からしばらく買い控えていたのですが、気がつくと一年くらい前から以前と同じように探し始めていました。

すると一箇所にまとまっていることは稀ですが、こちらに5本、あちらに色違いで2本という具合に、根気強く探すととても良いものが見つかります。
その作業が何かに似てるなと思ったら、砂金採りでした。
川砂をさらった中から、僅かに光るものを選り分ける感じですね。

自分の好みに合った良いタイはイメージを喚起して、即座に複数のコーディネートを可能にしてくれます。

イメージの物を探して東欧の品やアラスカからコートなんて事もありましたが、例外を除けば無い所には無いので、次は時間を遡ります。
需要と供給の摂理に従うのでしょう、アイテムによって過去にピークを迎えたものがあって、分かり易い例では昔殆んどの男性が被っていた時代の帽子などがそうです。
オーバーコートとか靴も既製品でそれが完成された時代があって、素材もそれに見合っていましたから、今日それを凌ぐ質を求めるととても難しいことがわかってきます。

それに比べネクタイは、新しく良い物が作られる可能性が最も高いアイテムだと感じます。
作りの面白い物を集めたこともありましたが、今なら基本的な作りで色柄・素材が好みに合っていれば十分です。


(Wool tie, Cashmere tie 一部Alpaca等)

春のネクタイを探しに行こうみたいな気分で書き始めたのに、画像は新しいネクタイではありません。
そろそろ陽射しが明るくなりつつあり、冬にお世話になったタイも出番が終わります。
でも、ある晴れた日に.....という話ではなかったと思いますが.....
まだ春には早い季節、麻のジャケットにフラノのパンツ、落ち着いた色のカシミア・タイを合わせ、その先の季節に思いを馳せるというようなことをL.バルベラが書いていたのを思い出しました。
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梅見

2017-02-12 |  その他
年末のうちから菜の花が出回り、鹿児島の空豆も少し前から並びはじめました。
千葉県民や四国の人に負けないくらい菜の花を食べますが、空豆はビールとセットのイメージなので風の冷たいこの時期は少し早いかなと我慢します。



1月31日に出かけると四分咲きでしたから、翌週は梅見に最適だったと思います。
もちろんその分人出は少なくて、ゆっくり見て廻れましたが。





陽射しはあるし、紅白の梅を見ていると春の近いことを感じます。
ふとピンクを配したネクタイを思い浮かべたり、昼はもう重いものがそぐわないように思えたのに、帰りに日が落ちると凍えるのでした。
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Edward Penfield

2017-02-10 |  その他
Edward Penfield(1866~1925)も、前回に引き続き同じスタイル・ブックの中の画家です。
数年後ちょっと違うタッチで一人で全て描いている号もあり、この分野では他に帽子メーカーのパンフレットや雑誌もあって、当時たいへん評価が高かった人だそうです。

他での仕事はロートレック(1864~1901)のポスターのようだったり、この画風とは異なるものも多く、'20年代前半の作品なので晩年に近い仕事となりました。









みんなペンフィールドを見てたんでしょうか?
一歩間違えると少し前にあった膝下ストレートになってしまうところを踏み止まって、三人の中では最も現実離れして脚を細く描いているので今時の若い人みたいにも見えます。
まぁ、上着の丈が違いますが.....

そういえば老婆心というかロー爺心というか、前々回の伊丹さんの話のタイトル「誰もソックスをはかない」は、今時の人が首や手首を覆う季節にも足首だけ出しているのを肯定しているという話とは違います。
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John E. Sheridan

2017-02-08 |  その他
'20年代Hart Schaffner & Marxのシーズン毎の案内は、複数の画家が起用されているものと、一人の画家が描いている号とがあります。

今回のJohn Sheridan(1880~1948)の画は、前回のHerbert Pausが描いている同じ号の中で一緒に並んでいる作品です。
本国ではシェリダン・アートという言葉があるくらい名の通った画家だそうですが、紳士服を描いた仕事は残念ながら他にあまり見ません。











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Herbert Paus

2017-02-06 |  その他
数回前にJay Hyde Barnumの画を取り上げましたが、今回はやはり日本であまり馴染みのない名前かと思いますがHerbert Paus(1880〜1946)という画家です。
パリッシュ・ブルーで有名なMaxfield Parrishより10才若く部分的にその影響らしいものも感じます。
仕事のフィールドも似ていて、雑誌の表紙も多く描きました。
以下は全てHart Schaffner & Marxの'20年代前半のものです。













100年近く前のスタイルを描いているのに、例えば1970年代などよりずっと違和感がありません。
これらは” For Men, Young Men & Boys”向けの商品だそうですが、コートのライン等は時代の波に洗われても鮮度が損なわれず、現在のトレンドより完成されたバランスを保っているように思います。

また、パンツのラインが今日とあまり変わらないことに驚かされます。
伊丹十三さんは「ソックスを誰もはかない」という話の中で、
「こんなことをタダで教えるのは惜しいようなもんだけど、男のお洒落のポイントはズボン、女はスカートと足もとです。このシルエットさえすっきりさせれば、後は大して問題じゃないくらいのものです。逆にいえば、他がどんなによくても、このポイントを外せば絶対にダメなのです。それほどまでに左様なのです」

と強調しています。
アステアの映画をよくご覧の方ならお分かりかと思いますが、細い細くないの問題でなくて、テーパードのバランスの問題ですね。
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