Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

2019年末

2019-12-30 |  その他
22日は横浜信濃屋さんのクリスマス・パーティーでした。
年に一度そこでしか会わない方も多く、以前「歴女」が話題になった頃、幕末から明治に興味があるというお子さんと一緒に写真を撮ったことがありましたが、高校生になったと聞かされてちょっとビックリ。

高校生といえば、
高校生の藤井さん...と書くと、ここから読んだ人はソータ君を想像するかも知れませんが、数回前に登場の高校生です。
このブログを3周くらい読んでくれたという奇特な方で、白井さんに心酔する早熟ぶりです。
店に来てくれたくれた日は高熱を発していたそうで、連絡した手前キャンセルをためらった、と22日のイベントの後に聞きました。
社会人でも無断で飲食店の予約をキャンセルするようなご時世、ご家族の薫陶がしのばれます。
うちは命がけで来るような所じゃありませんよ、と言っても初対面じゃ分かりませんものね。

その日電車のトラブルで遅れましたが、藤井さんは16時には着いて、おじ様方に優しくしてもらったり記念写真を撮ったり、充実してたそうです。

二次会へも参加して、酔ったおじさんの相手をしてくれました。
気を遣ってもらい地元の銘菓「五家寶」というのをいただいたのに、
「えっ、家系...?」
「家しか合ってないじゃないですか!」
いつものお約束どおり、人の話に突っ込んでいると、
「何で全部まぜっ返すんですか?」
と、さすがの若さで高い順応性を見せ始めてイイ感じになってきた頃、終電もあやうくなりお開きとなりました。

というわけで藤井さん、
年内にリクエストに応えられて、ほっとしてます。
風邪に気をつけて、入試頑張ってください。


(国立市のシューホリック井上さんが、雨に濡れながら撮ってくれました)

今年もご覧頂きまして、ありがとうございました。
皆様お揃いで、どうぞ良い年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。
新年は4日(土)12時より営業致します。
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中村さん

2019-12-27 |  その他
一年半ぶりにSE(シングル・オイラー)佐藤さんに会うと、話題はアフガニスタンで亡くなった中村医師のことでした。
来日中ローマ教皇が語った言葉を実践にうつしたなら、中村さんがやってこられた事とかなりの部分重なるように思います。

ニュースを聞いて以来ずっと何か重い気分でしたが、先日水泳の池江選手が退院されたそうで、久しぶりの明るいニュース。

年末になり今年を総括するような話が多くなっています。
日本を除く世界では、環境問題が今年のメインでした。
永久凍土が溶け始めて数年、もしかしたら後戻り出来ないレベルまで来ているかも知れない、と恐ろしい話です。

私どもの仕事に関連する事柄では、日本で廃棄される服が相当な量という話もあります。
そうでなくても、羊毛生産者が食肉へシフトし始めた(羊の種類が異なる)と言われて数年経ち、環境の変化によっては羊毛の安定供給が危ぶまれないとも限りません。
唯一の救いは、原毛の細さを追い求める人だけでなく、昔からあるしっかりしたウールの価値を見直す傾向が、少し揺り戻しつつある事でしょうか。

ますます流行り廃りと距離をおいて、長く愛着をもってお召しいただける服をと思わずにいられません。
仮にもう着られないくらい傷んで処分されるにしても、一番後回しにしたくなるような服を作りたいと思います。

京都や滋賀を歩いていると「一隅を照らす」という言葉をよく見かけますが、中村さんも最澄のその言葉を引用されていたそうです。
一隅どころか国土を潤すような大事業を成しながら、「良い人もいれば悪い人もいるのが世の中」と周囲の方へ語っていたと聞きますが、それでもやはり、最期に見た景色を想像すると胸が塞がります。
「目先の利益しか見ないで、なんて立派な人を殺してしまったのか」と犯人が改悛する日は来るでしょうか。
ここへ来てIR絡みで逮捕者が出ました。
何という落差。
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Coating Fabrics

2019-12-25 | 生地
Chestnuts roasting on an open fire
Jack Frost nipping at your nose
Yuletide carols being sung by a choir
And folks dressed up like Eskimos

静かな店に、顔はコワイが声は優しいアーロン・ネヴィルのクリスマス・ソングが流れています。

というわけで「寒いですねェ〜」と挨拶して、薄着のエスキモーくらい厚着してますが、全国的には暖冬だそうで、スキー場は雪がなくて悲鳴をあげているそうです。
そう言われたのでは仕方ありません。
ただ年末年始は北から冬将軍がやって来ると言います。
箱根駅伝はどうなることでしょう。



右のようなダイアゴナルで良い色は、最近のものではほとんど見ません。
替わりに、毎度おなじみのヘリンボーンを引っ張ってきました。




忘れていましたが、これは20年くらい前のLoro Pianaのカシミヤ100%生地。
オーソドックスなダイアゴナルに、やはりトーンを抑えたネップが散らしてあります。



投稿するのを忘れていて、後から投稿したものです。
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G.A

2019-12-24 |  その他


ジャンニ・アニェッリのパスポートがなぜあるかと言うと...
筒井さんから、イタリア土産にアニェッリの本を頂いたのでご紹介します。

高校の同級生カズヒサ君という人が、オックスフォード・シャツのカフに時計をしていました。
もしかしたらアニェッリより先だったんじゃないかという興味もあって、このRizzoliから2007年に出た写真集を見てみたいと思ってました。
結論から申しますと、1921年生まれのアニェッリは遅くとも1951年にはカフの上に時計をしていたようです。
私が生まれるずっと前ですから、同級生もまったくかないません。

そうする事で何かメリットがあるの、とたまにシンプルな質問を受けます。
直に時計ベルトが触れないだけなのですが、そうしているともう普通に時計ができないほどです。
ただそうするには以前も書きましたように、シャツの袖丈に6cm以上のゆとりが必要になります。

日本でシャツを買おうとすると、たいてい腕を垂らした状態で裄丈を測ってその数値でサイズを選ぶと思いますが、その長さで腕を上げると手首が剥き出しになりますから、ホーズを履くのと同様に、良い着こなしをしたい方にはもっと長さが必要です。

かと言ってただ袖が長いと手の甲に被り、「長い!」と勘違いして詰めたくなるに違いありません。
あまり顧みられませんが、ご自身の手首の太さに合わせてカフのボタンを移動させる必要があります。
もちろん手首の太さがカフのサイズにぴったりの方はその必要がありません。
またこれはシャツのカフに時計をしなくても必要な長さで、以上はより本格的な着こなしをしたいという方の話です。
間違って、裄丈にゆとりのないシャツの袖口を狭くしてしまうと、腕が上がらないのでご注意下さい。

最近見たシャツ屋さんのパターンメイドの広告では、裄丈を2種類から選ぶというシステムで、長い方でも86cmだったと思います。
そのくらいシャツに対する扱いは変わっていません。

脱線してシャツの話が長くなってしまいました、先を急ぎましょう。





E.フェラーリと


この写真はよく出てきますが、イタリアでは珍しく紡毛系のスーツを着ています。
まだこの頃は、ラペルの雰囲気が後年のものと違います。


幼い頃から犬が好きだったようです。  
黒い噂が絶えなかったアニェッリを、このシベリアン・ハスキーは見抜いているような目で見ています。
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プレゼント

2019-12-23 | 生地
今年は、異業種の方と話していてちょっと為になることがありました。
直接的ではありませんが、こうしたらダメだったとか聞いてると、仕事の外堀を補強してもらったように思えました。

この仕事の醍醐味は、例えば素晴らしい色柄・素晴らしい質感の生地が最適な芯をだいて、見るからに柔らかそうな優雅なロールを描いて出来上がって来た時などがそうです。

同業者と話していたら、「何かいい生地の時に不出来なことがある」なんて聞いて、それはもちろん期待値が高まっていたせいもあるかも知れませんが、良い生地(及び作る人)に敬意をはらっている私だったら泣きますね。
量は少ないですが、私が扱う素材は高い安い関係なく100%良いと思うものですから、適切に扱ってもらえるよう念じます。

そんな風にして、誤差許容範囲±1.0cmなのに0.5cmのことで悩んだり、無駄なことに念を込めて、出来上がってくると今年も素晴らしい瞬間がありました。
そして試着の段になり仕上がりが間違いないことを確認いただくと、安堵とともに単純にお役に立てたかなと思います。
着心地・見映えを実感して頂くのは日常のことになろうかと思いますが、残念ながらその瞬間には立ち会えません。


プレーンなものにも、その良さがあります。
(お客様のご好意により、出来上がりを撮影させて頂きました)

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Loden green

2019-12-17 | 生地
何だか妙に暖かい日がありますが、12月も半ばを過ぎました。
師走という感じは薄くとも、冬らしさは日々増しているように感じます。

冬に思い出すのは、前にも書いたある年のフィレンツェの光景です。
狭い階段を登ってドゥオモの頂上からの眺望に脚をすくませたり、ピッティ宮殿やウフィツィを観たり、中心地をフラフラしていると、顔見知りの商店主もまたよく散歩してるのに出会いました。
「こんにちは、店来ます?」
「じゃ、昼食後に!」
昨日も会ったばかりなのに。



その頃プリンチペのあった場所は、前に少し空間があって、とても寒いのにメリーゴーラウンドがあったように思います。
ドゥオモの方からジッリの前をレプブリカ広場に入ろうとすると、記憶の中では一瞬静止画になったように感じました。

左右から来る男も女も思い思いのコート(膝がかくれる丈)を着て、その中の一割がローデンコートを着ていたイメージですが、実際にはもっと少ないかも知れませんし、ローデンの色も紺やキャメルの人もいます。

グリーンも浅いのや深いのと一様ではありませんが、申し合わせたように真っ赤か黄色で襟元をかため、この時ばかりは装束のように他人と一緒でも気にならない様子でした。

行き交う人の着ているものが調和して、一枚の絵のような光景は一瞬のことで、残念ながら写真がありません。
知り合いの方々がローデンコートを着る季節になると、記憶を反芻します。



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映画「婦系図」

2019-12-09 | 生地
シリアスなのはふだん身体が受けつけないので、すすんでは観ないのですが、先日なぜか三隅研次監督 市川雷蔵・万里昌代主演「婦系図」(1962)というのを観ました。

「オツタ・チカラ」とか、「別れろ切れろは芸者の時にいう言葉」とか、それぞれ聞いたことはありましたが、それが泉鏡花原作のこの話だったのは知りませんでした。
それがまた、とても泣けるんですねぇ。

じゃ観てみようという方がいらっしゃるといけないので、それ以上書けませんが、ご覧になって「なんだ全然泣けないじゃないか」という方もいらっしゃるかもしれません。
通販のCMじゃありませんが「あくまでも個人の感想です」ということで、その時はご容赦ください。

バランスを取ろうという訳ではありませんがちょうど長谷井さんのところで先週末、映画を観て飲んで語り合うという集いがあって、気のおけない方々とのおバカな話で「婦系図」で抱えた不憫さを相殺してもらいました。

もう出来上がった頃、たぶんアストラカンって言いたかったんだと思いますが、誰か若い人が言った造語のようなカタカナの響きがおかしくて、翌朝仕事に向かいながら反芻しましたが、何せ聞いたことのない言葉なので一向に思い出せません。
思い出せたらそれを今日のタイトルにしたかったのですが、残念です。



タイトルと違って男性ばかり。
もちろんその日「婦系図」は映しませんでしたが、無理矢理よせるならば、お蔦役の万里昌代さんは白井さんと同じ生年らしいです。
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日曜日

2019-12-05 |  その他
日曜日の朝の電車で、お父さんが小学校低学年の娘に、
「つぎ鎌倉だよ」と言いました。
「えっ、ここがカマクラ? ダ・マ・サ・レ・タ〜〜」
「何処だと思ってたの?」
「カマクラって雪のやつかと思ってたー」
お母さんが、
「それで昨日、手袋とか言ってたの?何かヘンなこと言ってると思ったのよ」
ホントにカマクラだと思ってたんですねぇ。



改札を抜けて少し行くと、向かいから来る車のドライバーが鼻にティッシュの端だけ詰めて、あとは千切らずそのまま垂らしています。
スズメバチ・ハンターが巣を突き止める為に、一匹捕まえて体にコヨリを結びつけ、それを目印に巣まで追いかける図を連想しました。
鼻血が出ちゃったんでしょうね。
陽だまりの猫を見るような(?)光景です。

初めの画像(既出)はやはり1930年代のEsquire誌からで、"Fabric picture"と呼ばれていたようです。
イラストは服と背景からライフスタイルを喚起させますが、もっと具体的に服そのものに迫れないものか、と当時の人も考えたのでしょうか。


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寒気

2019-12-04 |  その他


今日はとても麗かな陽気です。
こんな日ばかりだったらありがたいですが、11月最終週は上も一桁で1月初旬なみという予報を聞いただけでふるえ、我慢できずオーバーコートを出しました。
気分的にはもう少し後のように思っていましたが、12月も目前でしたから少しズレていただけですね。
毎年のことではありますが、ついこの間まで暑いとか言っていたのが嘘のようです。

上はL.フェロウズの作品の中でも好きなものの一つです。
プレーンなヘリンボーンでしょうか、あるいは人によって、遠目に見えないくらいのネップが入っているのを想像されるかもしれません。

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Brown suit

2019-12-01 | 生地


このイラストのスーツは転載されたものの中にもっとベージュっぽく写っているものもありますが、オリジナルのEsquireではこのような茶色に描かれています。

1935年のキャプション。

『あなたのビジネスが何であれ、すべての人が売り込めるものがありますーそれはあなた自身です。
自分を売り込むにはまずこの絵のような説得力のあるスーツを着てみてはいかがでしょうか?
スマートな服装ですが、嫌味のない程度に抑えたピーク襟の三つボタンのシングルスーツです。
襟は一番上のボタンまで返され、真ん中のボタンでとめるようになっています。
ポケットはフラップなしです。シャツは濃いめの黄褐色で幅広の襟がついています。
ネクタイは黒地に白の水玉、靴は黒のブルーチャー型の一種です。
ついでですが黒と茶のコンビネーションは最近とてもスマートな組み合わせとして好まれています。』



今日のビジネスシーンで見ることの稀な茶のスーツを、キャプションにあるような「説得力」というかどうか分かりませんが、21世紀に入ってあまりに画一的になり過ぎていましたから、自由度の高い立場の方々で好きな方には、トライしていただけたら徐々に景色が変わることでしょう。
この生地はイラストに寄せていますが、茶でも少しグレーのトーンが入った方が違和感なくお召しになれるかもしれません。

また、L.フェロウズが描いた多くのコーディネートは今日でも十分通用する要素を持っていると思いますが、このコーディネートはちょっと普遍性に乏しいと感じます。
描かれた黄褐色のシャツやベージュのシャツは、肌の白い人でも顔色や他のアイテムを必ずしも引き立るとはかぎりません。
茶に黒靴というのも、生地のトーンにグレーの要素がないと難しいと思います。
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