ヒイラギの花がかすかな香りを放っている。ヤツデの花も咲いている。晩秋から初冬にかけての花の多くは、ひたすらひかえめに、
地味に、そしてけなげに咲く。茶の花などは、「ぼつぼつ花のつもりの茶の木哉」と一茶にからかわれるほど、めだたない。
家から駅に向かう道筋のあちこちにサザンカが咲いている。白い花、薄紅色の花、一重、八重、とあるがこれもそうはなやかな花とは
いえない。「冬の日の寒さに咲ける哀れさと師は申されし、さざんかの花」(網野菊)。師とは、志賀直哉である。
花の少ない、寒い季節に懸命に咲くサザンカを見て、「哀れだな」と志賀さんがつぶやいた。その時の歌らしい。
サザンカが咲き始めると、木の葉が散る。紅葉が空に舞い、黄葉が音をたてて舗道走る姿に「哀れ」を感じ、転変、凋落の時を想う。
落葉は厳寒を迎えるための冬じたくなんだろう・・・
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今日聴いたジャズ・・・
バルネ・ウィラン・・・「バルネ」
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本作は1937年3月4日生れ、フランスのジャズ・テナー・ソプラノサックス奏者、作曲家、バルネ・ウィランのリーダーアルバム。
バルネ・ウィラン、ケニー・ドーハム、デューク・ジョーダンの歴史的共演盤。
ウィランが映画のサウンドトラックでの分野でとても印象的な仕事をしていた時期の真っ只中に吹き込まれたもの。
舞台は、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの名ライヴでもよく知られるパリの老舗『クラブ・サンジェルマン』。
トランペットにはマイルスの後を継いでチャーリー・パーカー・クインテットにも籍を置いたケニー・ドーハム、ピアノには
単身渡仏してきたばかりの名手デューク・ジョーダンといった正真正銘、第一線の大物が迎えられている。
アルバムは幻の名盤に未発表4曲が加えられている。#1の”ベサメムーチョ”からジョーダンの力強いプレイが聴ける名演と
なっている。続いてベニー・ゴルソンの”スティブルメイツ”、デューク・ジョーダンの代表曲である ”ジョードゥ”、タッド・
デメロンの名曲 ”レディ・バード”と続く。オリジナル・アルバムに収められていたのが、この4曲まで。
それ以下の4曲が本作の発売に際して新たに収録されたもの。
とくに、ケニー・ドーハム自身による ”ロータス・ブロッサム”映画『彼奴らを殺せ』からのタイトル曲などは興味深い。
”エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー”と”彼奴らを殺せ”ではウィランはソプラノ・サックスを吹いている。
本作でのウィランの演奏はハード・バッパーとして実力がまさしく第一級のものであることが証明されていると思う。
味わいのある音色、スインギーなフレージング、どれをとっても22歳になったばかりの演奏とは思えないほど風格を備えている。
1・ベサメ・ムーチョ・・2・ステイブルメイツ・・3・ジョードゥ・・4・レディ・バード・・5・ロータス・ブロッサム・・
6・エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー・・7・四月の想い出・・8・彼奴らを殺せ・・・
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バルネ・ウィラン(ts ss)
ケニー・ドーハム(tp)
デューク・ジョーダン(p)
ポール・ロヴェール(b)
ダニエル・ユメール(ds)
1959年4月24、25日 クラブ・サンジェルマン、パリでの録音。
バルネ・ウィラン:
1937年3月4日、フランス・ニース生まれ。1957年、サウンド・トラックであるマイルス・デイヴィス「死刑台のエレベーター」
で共演し知られるようになった。1959年ケニー・クラークと共に、サウンドトラックである「UN TEMOIN DAS LA VILLE」、
「JAZZ SUR SCENE」を作曲した。2年後、映画「危険な関係」のサウンドトラックの作曲をセロニアス・モンクと共にした。
1980年代、1990年代、フランス映画の作曲に励む。1960年代半ばから後半にロックに興味を持ちロックのアルバムを録音
した。1990年にジャズに回帰する以前にパンクロックのミュージシャンと共に仕事をした。
1996年に死去するまでモダンジャズのミュージシャンと共演した。
1996年5月25日、59歳で他界・・・
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