つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

樫の木

2015-07-30 12:48:41 | ジャズ



   何年か前、真夏のころ高尾山に行ったことを思い出す


   歩いていくと、一本の樫の木に出会った


   根元のあたりは皮が無残にもはがれていたけれど、樫の木は堂々とたっていた



   伊藤静雄に「野にひともとの樫立つ」という詩がある



   往き還りその傍らをすぎるとき /  あかるい悲哀と / ものしづかな勇気が / ひとの古い想ひの内にひゞく



   年老い、傷ついてなお堂々と立つ樫は、ひとにそういう想いを与えてくれる




   今日聴いたジャズ・・・



   ARNOLD KLOS・・・「PEACE PIECE」




   澤野工房を代表するピアニストの一人、アーノルド・クロスの3年ぶりの作品。


   13曲中、クロスのオリジナルを3曲はさみ全編ビル・エヴァンスの演奏で知られる曲でつづられている。


   エヴァンスに傾倒し、敬愛してきたアーティストは多い。中でもクロスはこれまでのアルバム・・・


   「APPRECIATIONS」、「HEARTSTRINGS」、「ONE TO GET HER 」、「BEAUTIFUL LOVE」、「ELZA」でも エヴァンスへの敬愛をこめて、


   エヴァンスの愛奏曲を慈しむかのように演奏し続けてきた。


   「ONE TO GET HER」では、エヴァンスからの脱皮も感じつつ、クロス自身のアイデンティティを確立したかのように思える。


   本作を聴いてみても、同じように感じた。エヴァンスを聴くときは一種の緊張感があるのに対し、クロスはそれを感じさせない。


   それが物足りない人がいるかも知れないけれど、クロスには彼のよさが存分にあるのだから、心地よく聴けばいいと思う。



1・枯葉・・・2・DETOUR HEAD・・・3・ISRAEL・・・4・PENSATIVA・・・5・ALL BLUES・・・6・いそしぎ・・・7・OPENER
8・I・O・U・・・9・PEACE PIECE・・・10・NIGHT AND DAY・・・11・VIA SOLARIS・・・12・LIKE A BAND
13・HOW DEEP IS THE OCEAN・・・




    ARNOLD KLOS(p)
    JOS MACHTEL(b)
    ERIC INEKE(ds)



     2011年11月14日録音


キハギ

風のながれ

2015-07-28 13:16:18 | ジャズ



   熱帯夜がつづく・・・


   真夏の光をあびて、キョウチクトウの花が咲いている


   かたわらの空き地で、エノコログサやイヌビエが風にゆれている


   道ばたの草は、吹くか吹かぬかの風のけはいを、鋭く感じとっているように思える


  ” 風は草の実のひとつを妊ませ /  たくさんな花をさかす・・・・風は見えぬ花のひとつにも口ぶれ /  


    ふるえる蔓のひとつとも握手する ”  (川路柳虹)


    エノコログサ






    今日聴いたジャズ・・・



    BASS TALK・・・「DANCING LUNA」




   1946年3月21日生まれ、日本を代表するベーシスト、作曲家の一人、鈴木良雄(チンさん)率いるBASS TALKのセカンドアルバム。


   本作で結成11年目になる。



   全10曲、オリジナルによるヒューマンな響きと、野力奏一のイマジネイティヴなアレンジが光る一枚。


   ノスタルジックなフレーズもあれば、明るく軽快な曲調、また時には幻想的なフレーズもある。



   BASS TALKのメンバーは、四人それぞれが気さくで穏やかな人柄、、それは作品によく表れている。


   だいぶ前に解散してしまった「EAST BOUNCE」、、鈴木良雄(b)、藤岡雅裕(sax)、大石学(p)、セシル・モンロー(ds)


   を併せて聴いてみるとさらに愉しめる。(アルバムによっては、ピアノが野力奏一に代わっているものもある)




1・サンテ・ミリオン・・・2・NEW YORK BLUE・・・3・DANCING LUNA・・・4・セウ・アズール・・・5・FAIRY’S TALK
6・WINTER’S TALE・・・7・HAPPY ANNIVERSARY・・・8・TOKYO BAY・・・9・CECIL・・・10・TOUCH OF SPRING・・




    野力奏一(p arr)
    井上信平(fl)
    岡部洋一(perc)
    鈴木良雄(b)
  




      2012年3月録音・・


   


    

なごみのいちまい

2015-07-26 19:19:55 | ジャズ



    みなさま今晩は


   猛暑日がつづいていますがいかがお過ごしでしょうか?


   夕暮れどきを過ぎ、辺りはすっかり暗くなりました


   

   今宵最初のアルバムに選んだいちまい・・・



   THIERRY LANG・・・「ECHOES OF SILENCE」




   スイスを代表するジャズピアニスト、ティエリー・ラングのソロアルバムです


   三年ほど前に、ようやく中古で入手した作品。。。


   全8曲、4曲(1、4、7、8)がティエリー・ラングのオリジナル、、ほかは、ビル・エヴァンス、ジェローム・カーン、、


   ビリー・ストレイホーンたちの代表曲でつづられています。


   ティエリー・ラングのピアノは、まさしく ” ティエリー・ラングの世界 ”ほかに類をみないほどの美しさがあります



1・ECHOES nr、1・・・2・TIME REMEMBERED・・・3・ALL THE THINGS YOU ARE・・・4・ECHOES nr・2・・・5・AUTUMN LEAVES
6・TAKE THE A TRAIN・・・7・ROUND ABOUT BLUES・・・8・ECHOES nr・3・・・




      1996年2月1、2日 録音


     フジイバラ(富士薔薇)



     

クレマチス

2015-07-25 12:34:06 | ジャズ



    別名 「鉄線花」 「てつせん葛」


    中国原産のキンポウゲ科の蔓性植物



   ” 四月、花を開く。(略) その花、白色の六弁、平らに開きて、蕊(しべ)円く、紫色最も艶美 ”(和漢三才図絵)


逢ふときの風の立ち過ぎ鉄線花   (河野多希女)



    いま我が家では、クレマチスが 美しく咲いています





    今日聴いたジャズ・・・



    木住野佳子・・・「プラハ」




   1960年10月15日生まれ、ジャズ・ピアニスト 木住野佳子のリーダー作。


   プラハ出身のジョージ・ムラーツを迎え、ドラムのズボリルとのトリオを基本に、ストリングスが加わる編成。


   彼女のアルバムはデビュー作の 「FAIRY TALE」から、すべて聴いてきた。



   本作は、アレンジも彼女が手がけ、優しく、やわらかい・・・そして品性のあるピアノが心にしみる。


   ジョージ・ムラーツは、「モルダウの風」、「JUST BEFORE THE LIGHT」、「BLUE IN GREEN」の三曲で短めのソロをとっていて、


   あくまでも、控えめなサポートに徹している。ドラムのズボリルも然り。



   アルバム内容は、1、2のみでやや軽快に展開するものの、ほかは スローテンポで、曲名を見てもわかるとうり、


   情景が目に浮かぶような彼女らしいアレンジで、疲れた心と体を癒してくれる。



   後半に「BLUE IN GREEN」を入れたり、続いて 「SOME OTHER TIME」・・・そしてラスト2曲には、クラシカルなナンバーを持ってきて


   いるところなど、最後まで、静謐で弾きすぎることなく品性を貫き通す、木住野佳子の本作は感動的。。。




1・FOREST RAIN・・・2・モルダウの風・・・3・かげろう・・・4・オアシス・・・5・足音・・・6・JUST BEFORE THE LIGHT
7・おやすみ・・・8・BLUE IN GREEN・・・9・SOME OTHER TIME・・・10・別れの曲・・・11・家路(新世界より)・・・




    木住野佳子(p)
    GEORGE MRAZ(b)
    PAVEL ZBORIL(ds)


    STRINGS SECTION /  STRING QUARTET



    プラハにて録音



   ※ 8月26日発売の 「アンソロジー」は、新旧を織り交ぜて、メンバーのよさにも期待できる作品で楽しみにしている。

大暑

2015-07-23 19:45:43 | ジャズ



   「暦便覧」には、「暑気いたりつまりたるゆへなれば也」とあります


   
     一年で最も気温の高い季節


   蒸し暑さと大雨が降り、夏の土用に入り、「だいしょ」ともいいます





     今日聴いたジャズ・・・



   AL HAIG /  JIMMY RANEY・・・「STRINGS ATTACHED」




   1924年 ニュージャージー州のナット生まれのジャズピアニスト、アル・ヘイグと 1927年8月、ケンタッキールイスビル生まれ、


   ギタリスト、ジミー・レイニーの双頭リーダー的作品。


   ジャミル・ナッサー(b)、フランク・ガント(ds)を起用したカルテット編成。


   
   1940年代のバド・パウエルに次ぐ実力をそなえ、激動のバップシーンを自ら体験したピアニスト、アル・ヘイグ、、同じく同時代に


   チャーリー・クリスチャンの伝統の表現者として活躍したギタリスト、ジミー・レイニーの組み合わせによるセッションで、偉大な二人の


   コンビネーションが愉しめる内容になっている。



   1944年にクラリネット奏者、ジェリーウォルドンのバンドで、リズムセクションのポジションを与えられたのが二人の出会うきっかけに


   なった。本作のセッションは、それから30年ぶりの顔合わせとなる。



   二人のプレイは、リリカルなトーンとスイング感、、ピアノとギターのクールともいえるハーモニー、自己の音楽を貫き信念を持った


   説得力あるプレイ、そして、枯れた味わいは いっそう深みを増している。



   アルバム内容は、ハービー・ハンコックの1、JJジョンソンの2、スタンダードの3、ジョニー・グリフィンの4、エディ・ハリスの5、、


  セロニアス・モンクの6、ミシェル・ルグランの7、コール・ポーターの8、9 と様々なアーティストの曲を取り上げている。



  中には、アル・ヘイグの得意のナンバー、愛奏曲も含まれていて、4曲目では、ジミー・レイニーのご子息、同じくギタリストのダグ・レイニー


  が参加。2本のギターの掛け合いも聴きどころとなっている。




1・DOLPHIN DANCE・・・2・ENIGMA・・・3・INIVITATION・・・4・YOU CAME TO ME FROM OUT OF NOWHERE
5・FREEDOM JAZZ DANCE・・・6・ROUND MIDNIGHT・・・7・WATCH WHAT HAPPENES・・・8・GET OUT OF TOWN・・・9・I LOVE YOU・・





     アル・ヘイグ(p)
     ジミー・レイニー(g)
     ジャミル・ナッサー(b)
     フランク・ガント(ds)



     1975年3月録音



  ※ アル・ヘイグは1982年に、ジミー・レイニーは1995年に それぞれ他界している。

    余談ながら、ヤン・ラングレンは尊敬するピアニストにアル・ヘイグを挙げていることもうれしい。