つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

2014-11-30 12:25:19 | ジャズ


  植物は結局「実」のために生きているといえる。

  葉を繁らすのも花を咲かせるのも、結局は子孫を残すのに必要な「種」を作るため。

  実や種は一年間の成果であり珠玉となる。

  それぞれの自信作はいずれも見事な「芸術品」で、単に色名でくくるには、あまりにも美しすぎる・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  KENNY BARRON・・・「A TABLE FOR TWO」




  本作は、1943年 6月9日 ペンシルバニア生まれのジャズ・ピアニスト、ケニー・バロンのリーダー作。


  PETER BARSHAY(b)、LEWIS NASH(ds)、BOB SHEPPARD(sax、fl、bla)、DAVE ELLIS(sax)を従えた

 2ホーン、クインテット編成。

 ケニー・バロン率いるアンサンブルの録音盤。


 一聴してみて、今まで聴いてきたケニー・バロンのリーダー作とは、趣の違った作品だなぁと思った。

 4曲目の「THE VERY THOUGHT OF YOU」、10曲目「BLAME IT ON MY YOUTH」のようにピアノトリオで

 演奏される曲ではピアノを堪能できるけれど、ほかの曲ではサックスが入っていて、BOB SHEPPARD、DAVE ELLISを

 フィーチャーしたアルバムと言ってもいいと思う。

 

 しかしながら、2人はあくまでもサポート陣であり、ケニー・バロンのピアノを邪魔しないように計らっている向きも

 感じられる。ベース、ドラムスは全面的に脇役に徹しており、ベースソロは10曲目で聴ける。

 フリュートをフィーチャーした「ESTATE」も興味深く、唯一、ケニー・バロンのオリジナル「PHANTOMS」は、浮遊感、

 哀愁もありピアノソロが美しい。


 アルバム全体の雰囲気は、ジャケットのようにお洒落で、曲目、曲順ともに申し分のないステキな一枚に仕上がっている。



1・SAY IT OVER AND OVER AGAIN・・・2・STOLEN MOMENTS・・・3・ESTATE・・・4・THE VERY THOUGHT OF YOU
5・ALFIE・・・6、BERCEUSE・・・7・I ONLY HAVE EYES FOR YOU・・・8・PHANTOMS・・・9・VERY EARLY
10・BLAME IT ON MY YOUTH・・・11・IN A SENTIMENTAL MOOD・・・




    KENNY BARRON(p)
    BOB SHEPPARD(sax、fl bla)
    DAVE ELLIS(sax)
    PETER BARSHAY(b)
    LEWIS NASH(ds)



葉落とし

2014-11-29 11:39:48 | ジャズ


  夏葉樹は、冬を迎える前に、葉柄のつけ根の部分に離層という特別の組織を作る。

  葉はまだ枯れていないのに、木と別れを告げる。

  一本の木にとって、それは冬を生き抜くための知恵であり、葉は落ちて、土になり、

  木々の栄養になる。

  葉落としは、生きるための営み。。。


  いくとせの / このはちりつむ / にはかげの / つちのごとくに / われおいにけむ (会津八一)


  木の葉には命がこもっている・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  JODY SANDHAUS・・・「WINTER MOON」



 
  本作は、テキサス州ヒューストン生まれのヴォーカリスト、ジョディ・サンド・ハウスのリーダー作。

  ピート・マリンベルニ(p)、ルーファス・リード(b)、リロイ・ウィリアムス(ds)という魅力的な3人の

  サポートをバックに歌う12曲。バラード中心の作品。

  ジョディは幼いころから、クラシックやミュージカルの音楽に親しみ、カレッジ卒業後にジャズ・シンガーを

  目指した。

  彼女の歌唱には、レイジーでスモーキーな感触があり、本盤は、物憂げなヴォーカルだけでなく、モダン・ジャズ・テイスト

  に溢れた伴奏も存分に聴くことが出来る。

  一貫して、彼女のアルバムは、ピート・マリンベルニ・トリオがサポートしている。

  それというのも、マリンベルニのフェイバリット・シンガーなんだとか・・・

  アルバム内容としては、まず、冒頭の ”NOT IN LOVE”がいい。あれ?この曲 「THE GOOD LIFE」じゃないの?

  よく調べていないので、はっきりわからないけど、タイトル違いなのかも知れない。

  何はともあれ、「THE GOOD LIFE」が大好きなわたしにとって、”NOT IN LOVE”はとても嬉しい選曲だった。

  
  ただ、個人的に残念だったのは、タイトルチューンの”WINTER MOON”を聴くと、ベースを伴奏に、終始、陰鬱な

  メロディが漂う。「冬の月」のイメージは、凛として神秘的な輝きを放つものではなかったのかな・・・とすれば、

  この曲は、マリンベルニのピアノを伴奏にクリスタルな趣を持って歌って欲しかった。

  二つ目に、コール・ポーターの"FROM THIS MOMENT ON”・・・せっかく4曲目まで、いい感じでしっとりと聴かせて

  いたのに、がっかりした。コール・ポーターの曲だったら、ほかに適切な曲があるはずなのに。。。

  三つ目は、ラストに”CARAVAN”で締めくくっていたこと。

  バラード中心の作品であれば尚更、ラストにふさわしい曲があった筈。前記した曲が好きな方は多いと思うけれど、

  わたしには残念な選曲だった。



1・NOT IN LOVE・・・2・IT’S A LAZY AFTERNOON・・・3・I SHOULD CARE・・・4・THE BALLADS OF THE
  SAD YOUNG MAN・・・5・FRON MOMENT ON・・・6・YOU ARE THERE・・・7・あなたと夜と音楽と
8・WINTER MOON・・・9・FOR ALL WE KNOW・・・10・LOVE ME OR LEAVE ME・・・11・I WISH I KNOW
12・CARAVAN・・・



    JODY SANDHAUS(vo)
    PETE MALINVERNI(p)
    RUFUS REID(b)
    LEROY WILLIAMS(ds)


     VAN GELDER RECORDING STUDIOにて録音・・・




  

柿の実

2014-11-26 12:21:01 | ジャズ


  初冬の日に映える柿の実は何といったらいいのだろう。

  「四季をこの一瞬にあつめて冷たく光ってゐるこの色」といった人がいる。

  冷たさのある朱色の実には夕暮れ時の光がふさわしい。

  唐木順三氏によると、柿は礼賛の対象になるという。

  ”まことに一顆(か)明珠、あゝ、これが柿だ。柿の実だ。日本の秋だ。生命の充実だ。・・・・・・柿は母の心を

   つたへる。ふるさとの色をつたへる”(飛花落葉)

  エノコログサが枯れ葉色に染まりだしたのに、アカマンマの花はまだ赤い。道端のザクロの木に、

  口を開いたままの実が一つ、ひからびてぶらさがっている。

  師走が近い。



  今日聴いたジャズ・・・



  PETE MALINVERNI TRIO・・・「DON’T BE SHY」



  本作は、レザボア・レーベルを代表するピアニストの一人、ピート・マリンベルニのリーダー作。

  未発表曲2曲 「I LOVE YOU」、「BEAUTIFUL LOVE」を追加した待望のCD化作品。

  メル・ルイス(ds)、デニス・アーウィン(b)を従えたトリオ編成。

  本盤は何年か前に購入して、久しぶりに聴いてみた。

  アルバム内容としては、官能的で繊細なタッチ、偉大なるジャズ・ピアニストたちへの敬意と愛情、そして、三位一体

  という言葉がぴったりするユニット、アンサンブルとしてのまとまりと抜群のスイング感がある。

  帯にもあるように、”最高の曲順と最高の音質”・・・曲順はマリンベルニ自身が検討し、巨匠ルディ・バン・ゲルダー

  のデジタル・リマスタリングを経て蘇ることになった、とある。

  ※ マリンベルニは1957年4月16日、NY州ナイアガラフォールズに生まれ、6歳でピアノを始めた。
    ジャズのメッカ、マンハッタンに進出したのは1982年。1984年からは、レイ・ドラモンド、マイケル・ムーア、
    メジャー・ホリー、デヴィッド・ウィリアムスといったベーシストたちと共演を重ねる。

  マリンベルニは、ホッド・オブライエン、ヤン・ラングレンにも共通する、歌心、ロマンティシズムを持ちながら、

  今一つ、評価されていないように思う。本作を聴いて、音楽そのものが放つ瑞々しさ、鮮やかさを改めて感じた。


1・WHO CARE・・・2・HESTER PRYNNE・・・3・I LOVE YOU・・・4・I FALL IN LOVE TOO EASILY
5・BEAUTIFUL LOVE・・・6・NADIS・・・7・THE STAR-CROSSED LOVERS・・・8・FOR HEAVEN’S SAKE
9・UGLY・・・10・DON’T BE SHY・・・



     PETE MALINVERNI(p)
     MEL LEWIS(ds)
     DENNIS ARWIN(b)



      1987年録音・・・



2014-11-23 11:46:39 | ジャズ


  「おもむき」とは風情のある姿にひたすら心がひきつられて、ほのかに浮かびあがってくる情景に

  「味わい」や「おもしろみ」をつくづく感じること。

   深く心にしみて心が動いたり、心の向きが変わるような「しみじみ」とした感慨に浸ることができるかどうか。

  それは目にした人、心に感じた人によって違うでしょう。

   趣の情感は誰でも心の奥に棲んでいます・・・



   今日聴いたジャズ・・・


   DAIANA PANTON LIVE・・・「MY HEART SINGS」



   本作は、カナダの歌姫、数多くいるカナダのヴォーカリストの中でもナンバーワンの人気を誇る、ダイアナ・パントンの

   リーダー作。2013年8月20日、台北でのコンサートをCD化した作品。

   ドン・トンプソン(p、b)、レグ・シュワガー(g)、、デビュー当時から彼女を支え、見守ってきている2人の

   温かい伴奏で愛らしく穏やかに歌う14曲。

   アルバム内容は、これまでリリースしてきた、”RED”と”WINTER KISS”をのぞく4枚の中から10曲を選曲し、

   曲間には、馴染みのある曲や、エラ・フィッツジェラルド、テレサ・テンの歌でヒットした曲を織り交ぜて

   途中、彼女の曲紹介などもあり、なごやかで夢のようなコンサートに聴き入っている聴衆の姿が浮かんでくるような

   ライブ盤。

   曲を紹介すると、”ピンク”より2曲(8、10)、昨日の私より2曲(7、9)、私が愛したブラジルより1曲(4)、

   月と星の歌より5曲(1、2、3、11、14)。。。

   それに、”SMILE”、”IF”、エラフィッツ・ジェラルドのナンバー ”AーTISKET-TASKET”、、1979年に

   テレサ・テンの歌で台湾でヒットしたポピュラー・ソング”TIAN MI MI(夢の中の幸せ)、の14曲で構成されている。

   また、”IF”と”MOON RIVER”はヴォーカルとピアノとのデュオ、”アラバマに星落ちて”はヴォーカルとベースの

   デュオで綴られている。

   緑の中で透きとうるように白い肌にピンクのドレスをまとったダイアナ・パントン・・・

   彼女の雰囲気にぴったり。。本作には、DVDも付いていて、コンサートの模様が観れる嬉しいアルバムになっている。

   お兄さんのような、レグ・シュワガー、、お父さんのようなドン・トンプソンに感謝したい。

   いつまでも、彼女を見守っていてあげてください。。



1・I’VE TOLD EV’RY LITTLE STAR・・・2・CORCOVADO / QUIET NIGHTS OF QUIET STARS・・・3・DESTINATION
  MOON・・・4・黒いオルフェ・・・5・2人でお茶を・・・6・SMILE・・・7・PLUS JE T’EMBRASSE・・・8・IF
9・アラバマに星落ちて・・・10・WOUNDN’T IT BE LOVERLY・・・11・MOON RIVER・・・12・AーTISKET-Aー
  TASKET・・・13・夢の中の幸せ・・・14・FLY ME TO THE MOON・・・


    DVD:

1・コンサート・ハイライト・・・2・アラバマに星落ちて・・・3・夢の中の幸せ・・・4・ディスコグラフィー



        ダイアナ・パントン(vo)
        ドン・トンプソン(p、b)
        レグ・シュワガー(g)


      2013年8月20日 ノーヴェル・ホール台北にて録音・・・




   

つらつら

2014-11-19 11:07:54 | ジャズ


  「つれづれなるままに」は、『徒然草』の序段の冒頭に出てくる言葉。

  何かをしたいのに、特別することもなくて退屈な様子。

  「つれづれ」には、「しんみり」と物思いに耽るさま。

  ぼんやりと「つらなる」のつらにつながる言葉。

  「つらつら」とは順番につぶさに見入ること。「つくづく」「よくよく」と同義です・・・



   今日聴いたジャズ・・・

  
   DAVID FRIESEN TRIO・・・「THE NAME OF A WOMAN」



   本作は、ジョーヘンダーソン・グループ、ビリー・ハーパー・クインテット参加~山本邦山や佐藤允彦との

   共演でもしられる、ワシントン出身のベーシスト、デヴィッド・フリーゼンのリーダー作。

   ランディ・ポーター(p)、アラン・ジョーンズ(ds)を起用したトリオ編成。

   作品全体は、”ベアトリーチェ”に始まる女性の名前に関した作品を集め、お馴染みのバラード・スタンダードを

   曲間に配したオシャレなアルバムに仕上がっている。

   優雅で繊細な味わいとロマンティックな響きを共有する珍しい作品。


   サイドメンの貢献もめまぐるしく、しっかり録音されたフリーゼンのベースの音とサイドの2人のアコースティックな

   響きがかみ合ったピアノトリオの名盤。


   フリーゼンのベースの音がまるで、ライブを聴いているように、リアルに伝わってくる。


   バラード、スタンダードを聴いても、ありきたりの演奏に終わらず、個性的なアレンジで・・それでいて、

   魅力的な曲に仕上がっている。凡庸なピノトリオに飽食したら、本作を聴いてみると3人が綴る曲の数々のよさが


   聴けば聴くほど、うなずけると思う。


   CD1

1・I LOVE YOU・・・2・BEATRICE・・・3・DELORES・・・4・IN THE WEE SMALL HOURS・・・5、VERY EARLY
6・I HAVE DREAMED・・・7・ELSA・・・8・CEORA


   CD2

1・MY ONE AND ONLY LOVE・・・2・KIRSTEN・・・3・MY FUNNY VALENTINE・・・4・RACHEL・・・5・EMILY
6・AUDREY・・・7・MY FOOLISH HEART・・・



      DAVID FRIESEN(b)
      RANDY PORTER(p)
      ALAN JONES(ds)


    1999年、2000年録音・・・