つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

仏の座

2013-01-31 16:05:47 | ジャズ

 キク科のタビラコの別名。正月七日の七草粥に入れて食べるときに
 この名を用いる。春先、田圃などの湿地に蒲公英に似た放射状の葉
 を貼り付け、円座をなしているのでこの名がある。

 葉の色が濃く、暗緑色で蒲公英(タンポポ)より切れ込みが深い。
 七種については諸説があり、時代や地方によっても異なる。

 山間部などでは仏の座を手に入れるのはむずかしく、根菜を主に大根葉や
 冬菜、川で摘んだ芹(せり)などを餅とともに粥に入れるところが
 多かった。

 薺(なずな)を七草と称し、秋のうちに見つけて庭に植え付けておき、
 正月七日に刻んで粥に入れた。

 現在は九州各地のものや、徳島産の春の七草がスーパーなどで、仏の座も
 含め売られているが、地方によっては小松菜、水菜など代用のものを含め
 ている場合がある。

 仏の座という花はもうひとつある。
 シソ科の越年草で、四~六月ごろ紅紫色の唇形をした小花を開く。
 二枚の葉が茎を取り巻く形から仏の座と名づけられた。


 ” たそがれの 花街を抜け 仏の座 ”(渡辺 二三雄)・・・


  今日聴いたジャズ・・・

  MURAT OZTURK TRIO・・・「SOYLE」



  本作は、フランスの俊英ピアニスト、MURAT OZTURKのリーダーアルバム。

  オリジナルを中心に、基本はピアノトリオで、曲によっては、サックス、
  アコーディオンを加えたデビュー作。

  インスピレーションを掻き立てられるような美旋律が浮かんでは消える
  バランス感覚が秀逸。起伏に富んだ緩急自在に流れるような作品。

  一体感のあるトリオの音が複雑に絡み合い、より一層の躍動感が加わり
  洗練されたメロディーが理屈ぬきに心地いい。


1・APOCAL YPSO・・・2・TATE TOPA・・・3・SOYLE・・・4・GOING TO
  OFF MODE!・・・5・EQUILIBRE・・・6・SOHO SONG・・・
7・JE・・・DEMAIN・・・8・OPUS 9 NO2・・・


  MURAT OZTURK(p)
  JACQUES VIDAL(b)
  JEANーMARC ROBBIN(ds)
  ERIC BARRET(sax)
  MARCEL AZZOLA(acc)


   2002年の作品・・・

冬の梅  続き・・・

2013-01-30 00:47:15 | ジャズ

 寒中梅は『万葉集』巻八に大伴家持の ”今日降りし雪に競いて
 わが屋前の冬木の梅は花咲きにけり ”と詠まれ、『古今集』冬にも
 四首の歌がある。

 それ以降の歌集にも「冬梅」の題で数多くの作例がある。
 連俳でも『連理秘抄』『増山の井』に早梅、寒梅は12月と記されている。

 和歌、俳諧の題材として冬の梅は古くからよく詠まれていた。


 ”早梅や 深雪のあとの 夜々の靄(もや)”(増田 龍雨)・・・

 ※冬のある日、大雪が降ったのだろう。春の訪れを告げるかのように、
  靄が立ち込めている。その夜の靄の中に早咲きの梅が花を咲かせている。
  的確な写生と流麗なリズム、詩的陶酔に誘われる一句である。。。


  早咲きの梅をたずねながら山野を逍遥することを「探梅」という。


 今日聴いたジャズ・・・


  ELSIE BIANCHI・・・「THE SWEETEST SOUND」


  本作は、スイスのピアニスト 兼 ヴォーカリスト、エルジー・ビアンキ
  率いるピアノトリオの名作。彼女については、キャリア、生年月日も不詳で
  本作を聴いただけでも、これだけの歌唱力があり、かつピアニストとしても
  高く評価されるべき人ながら、消息も分からない。

  表題曲の”甘き調べ”はもとより、ヘンリー・マンシーニの
  ”ザ・シャドウズ・オブ・パリ”を聴いた時から、すっかり虜になって
  しまった。どのヴォーカリストも敵わない歌唱力を持っている。

  全12曲、ボーカル・ヴァージョンでは珍しい曲もあり、消息、その他、
  諸々の事が不明なだけに、残念でならない。
  もっと沢山のアルバムを残して欲しかった。未聴の方にはこの一枚だけでも
  お聴きになって頂きたいと思う。


1・TEACH ME TONIGHT・・・2・恋に恋して・・・3・LITTLE BIRD・・・
4・A SLEEPIN’BEE・・・5・THE SHADOWS OF PARIS・・・6・屋根の上の
  ヴァイオリン弾き・・・7・甘き調べ・・・8・SPRING CAN REALLY HANG
  YOU UP THE MOST・・・9・MEDITATION・・・10・WHY DID CHOOSE YOU・・
11・LITTLE BLUES・・・12・GUESS WHO I SAW TODAY・・・



   ELSIE BIANCHI(p vo)
   SIRO BIANCHI(b)
   CHARLY ANTOLINI(ds)


   1965年11月25日 録音・・・

冬の梅

2013-01-29 15:56:07 | ジャズ

 梅は早春の花とされているが、冬に咲くものもある。梅には品種
 が多く、早咲き性のものは12月ごろから咲きだす。冬のうちに
 咲く梅を総称して冬の梅といい、寒中に咲くものは寒梅という。

 寒紅梅は紅色、薄紅色で一重と八重がある。冬至のころに花開く
 冬至梅には、白の一重、薄紅色の八重などがある。植木のほか盆栽
 として鑑賞され、いずれも寒中の寒さの中で、気品ある美しい花を
 咲かせる。


 ”わが胸に すむ人ひとり 冬の梅 ”(久保田 万太郎)・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  TETE MONTOLIU・・・「TOOTIE’S TEMPO」



  本作は、盲目のピアニスト、テテ・モントリューのリーダー・アルバム。

  ベースにニールス・ペデルセン、ドラムスにアルバート・ヒース
  <パシー(b)、ジミー(ts)との三兄弟の末弟>を従えて、全7曲、
  スローテンポで演奏されがちな曲も、アップテンポで軽快に演奏されている。

  三人三様、見事なプレイを披露し、ノリのよいピアノトリオ作品に
  仕上がっている。
  #6のみが、モントリューのオリジナルで、コルトレーンの3やJ・J・ジョンソン
  の5、他スタンダードの名曲を取り上げている。

  しみじみとスローテンポで聴かせるスタンダードも良し、本作のように軽快に
  聴かせるスタンダードも聴きごたえがあって楽しい。だいぶ前の録音ながら
  新鮮に感じるところが印象的でもある。


1・INVITATION・・・2・LOVER MAN・・・3・SOME OTHER BLUES・・・
4・TIME FOR LOVE・・・5・LAMENT・・・6・TOOTIE’S TEMPO・・・
7・DARN THAT DREAM・・・


  TETE MONTOLIU(p)
  NIELS-HENNING PEDERSEN(b)
  ALBERT”TOOTIE"HEART(ds)


  1976年2月15&16日録音・・・

御行(おぎょう)

2013-01-28 16:37:44 | ジャズ

 春の七草のひとつで母子草の別名がある。

 春の七種(ななくさ)のひとつとして挙げる場合に用いる。
 キク科の越年草で、畑や野原、路傍などいたるところに生える。

 四、五月ごろにビロードのような感触の葉の上に、淡黄色の花を咲かせる。
 母子草は春の季語であるが、正月の七草粥にこの草を摘んで用いる。
 葉は黄状箆形(へらがた)で縁はやや波状、基部は茎を抱く。
 若い茎や葉は食べられる。

 七草には、春の七草と秋の七草がある。
 秋の七草は野にある草の花、鑑賞する花をいい、春の七草は食べる草をいう。

 七種と書き「ナナクサ」と呼ぶ。
 種は生命のはじまり。物事のもとの意。年の初めに食べると、一年間
 無病息災でいられる民間信仰からきたといわれる。


 ”御行摘む 空は青さを 尽くしけり”(青木まさ子)・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  MAL WALDRON・・・「MY DEAR FAMILY」


  
  本作は、1926年ニューヨーク生まれ、ジャズ・ピアニスト
  マル・ウォルドロンのリーダー・アルバム。

  全8曲、マルのオリジナル2曲(2、8)、ウェイン・ショーターの
  #1、マイルス・デイヴィスの#6、日本の童謡#4、#7など、
  どの曲も聴きごたえのある魅力的な一枚に仕上がっている。

  特筆すべきは、グロヴァー・ワシントン・ジュニアが3曲(1、2、5)
  エディー・ヘンダーソンが6曲(1、3、4、6、7、8)に参加している
  ことで、上質な作品になっていると言っても過言ではないと思う。

  ジャッキー・マクリーンの泣きのアルトが印象的な「LEFT ALONE」では、
  グローヴァーのソプラノがしみじみと聴かせており、マクリーンのアルト
  に匹敵するほどの名曲になっている。(8:18)

  「サクラサクラ」は原曲をだいぶ崩してあるので、一聴しただけでは曲名が
  分からないほど。たぶんマルのアレンジによるものだと思う。
  ここでは、エディ・ヘンダーソンのフリューゲルホーンが光る。(9:03)

   日本の童謡を2曲取り上げたところは日本贔屓であるマルらしさを感じる。

   もう一曲、マイルスの80年代のカムバック後の逸品である
   「ウィ・ウォント・マイルス」から#6「ジャン・ピエール」を選曲したのは
   エディー・ヘンダーソンの申し入れがあったのかも知れない。

  今は無き、マル・ウォルドロン、グロヴァー・ワシントン・ジュニアの名演
  を聴ける貴重盤としても大切にしている一枚。


1・FOOT PRINTS・・・2・LEFT ALONE・・・3・SASSY・・・4・SAKURA SAKURA・・
5・HERE’S THAT RAINY DAY・・・6・JEANN PIERRE・・・7・RED SHOES・・
8・MY DEAR FAMILY・・・


  MAL WALDRON(p)
  GROVER WASHINGTON Jr(ss on1、2、5)
  EDDIE HENDERSON(tp flh on1、3、4、6、7、8)
  REFFIE WORKMAN(b)
  PHEERON AKLAFF(ds)


  1993年9月23、24日ニューヨークにて録音・・・


  マル・ウォルドロン:

  ’54年から’56年にかけてチャールス・ミンガスのピアニストとして
  活躍。’57年からはビリーホリディの伴奏者となり’59年に彼女が他界
  するまでその役を務めた。
  ’61年から’62年にはエリック・ドルフィー、ブッカー・リトルのコンボに
  参加し、ファイヴ・スポットでの歴史的ライブ録音を残した。その後’65年に
  渡米し、ヨーロッパ、日本を中心に演奏活動を行い、特に日本での人気が高く、
  国内制作のアルバムも残している。


  レジー・ワークマン(b):

  マルが最も信頼するベーシストで、”サティ・アルバム”を始め、数多くの作品で
  共演している。手堅いサポートと、”サクラ サクラ”など随所で聴かれる冴え
  渡ったソロも彼ならではのもの。

  フェローン・アクラフ(ds):

  来日ツアーにも同行したN・Y・出身の精鋭で、その実力は山下洋輔N・Y・トリオ
  でも高く評価されている。

冬桜

2013-01-27 16:28:55 | ジャズ

 冬桜は山桜と藤桜の雑種といわれる桜の一種で、12月から翌年1月
 にかけて花を開く。一般の桜より樹形は小形で、花も小さく、梅に似て
 いていかにも冬の花らしい。

 白色一重咲きで、花梗が短く、冬に咲く健気さが好まれる。春になると
 ふたたび花を咲かせるが、花の数は少ない。

 群馬県鬼石町の桜山公園は冬桜が天然記念物に指定されている名所だが、
 ここには3000本の冬桜がある。

 また、飛騨萩原村には、古く冬桜があったといわれ、つぎのような文書が
 残されている。

 ”明和年間、萩原村の桜洞の江月庵に冬桜あり、庵主は今井与六、俳号を
  古江と呼べり。この桜、冬季開花の特性ありて人の参観するもの少なから
  ざれば、古江は広く当時俳人、歌人の詠草をもとめその数400余りに
  達せりといふ ”と。

 
  寒桜は正しくは緋寒桜のことで、九州、沖縄などの暖地に咲く。彼岸桜の
  変種で、寒中緋色の花を咲かせる。


 ”冬さくら 人の匂ひの 無くて立つ ”(神蔵 器)・・・


  今日聴いたジャズ・・・


  HERB DRURY TRIO・・・「QUINTESSENCE」


  本作は、ジャズ・ピアニスト、ハーブ・ドゥルリーのリーダー・アルバム。

  全11曲。表題曲はクインシー・ジョーンズの美しいメロディーの曲。
  ジョビンの(4、8)、エヴァンスの(5)、クレア・フィッシャーの(6)
  クリフォード・ブラウンの(9)他、スタンダードで構成されている。

  アルバム全体は、軽快で明快な語り口・・ピアノ、ベース、ドラムそれぞれが
  実力を遺憾なく発揮し、三人がうまく絡み合い、楽しい作品に仕上がっている。

  特に、個人的にうれしいのは、ピアノトリオでは珍しいジョビンの「モハーヴェ」
  をワルツで哀愁たっぷりに美しく語られているところ。。

  ハーブ・ドゥルリーのプロフィールが分からないのが残念。
  ベーシストもドラマーも知る人ぞ知るベテランらしい。

1・ONE MORNING IN MAY・・・2・QUINTESSENCE・・・3・EVERYTHING HAPPENS
  TO ME・・・4・TRISTE・・・5・VERY EARLY・・・6・MORNING・・・
7・OUR LOVE IS HERE TO STAY・・・8・MOJAVE・・・9・DAAHOUD・・・
10・ONCE IN A WHILE・・・11・YOURS IS MY HEART ALONE・・・


  HERB DRURY(p)
  JERRY CHERRY(b)
  GEORGE MARSH(ds)・・・