つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

三寒四温

2015-02-28 13:37:37 | ジャズ


  暖かく春めいた日もあれば、冷たい雨が降ったり真冬に逆もどりしたような日もある

 でもそれは確実に 春になる兆し・・・


  寒い中でも、モミジの芽がすっかりあからんできた。

  小さな茶色の衣を着たエノキの芽もふくらみ、柳の芽は しなやかな枝に埋めこまれた形になって、くすんだ紅色をしている。

 
  それぞれの木の芽はそれぞれの色と形と大きさで、「光の春」をさぐっている・・・



  今日聴いたジャズ・・・



  SCOTT HAMILTON・・・「NOCTURNES&SERENADES」



  本作は、1954年9月12日生まれ、アメリカ、ロードアイランド州 プロヴィデンス出身のジャズ・テナーサックス奏者、


  スコット・ハミルトンのリーダー作。フュージョン全盛70年代後半から、オールドスタイルのテナー・サックス奏者として、

 
  高く評価されている。


  ベテランのジョン・ピアース(p)、デイヴ・グリーン(b)、若手のスティーヴ・ブラウン(ds)をサポート陣に迎えた、

  
  ワン・ホーン、カルテット編成。滋味あふれる豊潤なテナー・サウンドによる哀愁漂うアメリカン・ポピュラー・ソング集。


  全10曲をスタンダードで固めた、珠玉のバラッド、、バラードの極地を聴かせる内容になっている。


  ”ノクターン & セレナーデ”というタイトルどうり、アップテンポの曲は一曲もなく、ハミルトンの肩の力がぬけた、

  味わい深いテナー・サウンドが聴ける一枚。


  あまりハミルトンを聴いていないけれど、本盤はとてもいいアルバムだと思う。


  夜、灯りを落として聴くと、何ともいえないよさがある。



1・MAN WITH A HORN・・・2・AUTUMN NOCTURNE・・・3・FLAMINGO・・・4・I’M GLAD THERE IS YOU・・・5・SERENADE
 IN BLUE・・・6・ISN’T IT A PITY・・・7・YOU GO MY HEAD・・・8・CHELSEA BRIDGE・・・9・BY THE RIVER
 SAINTE MARIE・・・10・A POTRAIT OF JENNY・・・




    スコット・ハミルトン(ts)
    ジョン・ピアース(p)
    デイヴ・グリーン(b)
    スティーヴ・ブラウン(ds)



   2005年3月14、15日 イギリスにて録音・・・




  
  

馬酔木(あせび)

2015-02-25 12:54:48 | ジャズ


  歌人吉井勇は生涯の最も苦しい時期に、土佐の猪野々の里にいおりを結び、

  庭に馬酔木の木を植えたという・・・


 ” 寂しければ垣に馬酔木を植ゑにけり棄て酒あらばここに灌(そそ)がむ ”


 ” 炉辺の酒垣は馬酔木の花もよしこよひも酔いて安く眠らむ ”


   暖かな風にさそわれて、今年も馬酔木が咲きはじめた・・・



   今聴いているジャズ・・・


  井上信平・・・「DREAMIN’」
         (HEARTBEAT)


  井上信平さんのお父様が描かれた絵だそうです(ジャケット)↑


  本作は、海外に誇る、日本のフルート奏者、井上信平のリーダー作。


  山口武(g)、荒玉哲郎(b)という強力メンバーを起用した、変則トリオ編成。


  全11曲、ミシェル・ルグラン、ホレス・シルバー、バート・バラック、ウェス・モンゴメリー、ルイス・アントニオ、


  A・C・ジョビン、スティービー・ワンダー、ジョン・アバークロンビーたちの代表曲に加え、山口武のオリジナル2曲(2、7)


  タイトルチューンの”DREAMIN’”(自己のアルバム、「LOVER MAN」に収録)、、MOJITO(ザ・トリオ)に収録)が収められている。


  ボサノバ、サンバ、ジャズ、ポップスなどオールジャンルを極めた、爽やかですがすがしく、素敵な一枚。


  選曲、曲順ともによく、心地よい雰囲気で愉しめる。中でも、山口武のオリジナルは目を見張るものがある。


 とくに”MOJITO”は個人的にも大好きな曲。井上信平のアルバムでは、以前書いた”FIRST TAKE”がお気に入りでよく聴いていたけれど

 
 本盤はまた趣も違って、リラックスタイムによく聴いている。




1・おもいでの夏・・・2・MOJITO・・・3・WILLOW WEEP FOR ME・・・4・SONG FOR MY FATHER・・・5・CLOSE TO YOU
6・FULL HOUSE・・・7・DREAMIN’・・・8・SING SONG・・・9・MENINA MOCA・・・10・COMINHOS CRUZADOS
11・BIRD OF BEAUTY・・・




     山口武(g)
     井上信平(fl)
     荒玉哲郎(b)



     2014年6月10、11日録音・・・



馬酔木  



  


 

春淡し

2015-02-22 11:53:45 | ジャズ


  立春から雨水にかけての今ごろの季節は、冬でもないし春でもないという、どっちつかずの時期であり、

  冬と春の間におかれた季節の句読点であり、季節と季節の間(ま)だといっていい。

  春浅し、春きざす、春寒し、、さらに「春淡し」という季語もある。

  枯れ葉色の冬景色が一日一日と淡い春の色に染まってゆく季節の微妙な移り変わりを、

  春淡しという言葉はみごとにいいあてている・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  HANNAH SVENSSON・・・「EACH LITTLE MOMENT」



  本作は、スウェーデンの人気ギタリスト、イーヴァン・スヴェンソンのお嬢さんであるヴォーカリスト、

  ハンナ・スヴェンソンのリーダー作。


  ヤン・ラングレン(p)、イーヴァン・スヴェンソン(g)、モーテン・ラムスボル(b)、クリスチャン・レス(ds)

  4人の強力サポートをバックに、愛らしく芳醇に歌う11曲。


  曲は、ヴィクター・ヤング、ビリー・ホリデイ、リチャード・ロジャース、ジョージ・ガーシュウィンたちの名曲を採りあげている。


 どちらかといえば、弾んで歌う曲が多い中、”MY FOOLISH HEART”、”TOO LATE NOW”、”IT’S EASY TO REMEMBER”


 などスローにしっとり歌う曲もエモーショナルでいい。


 本盤では、とくに、ヤン・ラングレン、イーヴァン・スヴェンソンのサポートによるところが大きいことは言うまでもなく、


 アルバム一枚がクオリティの高いものに仕上がっている。


 


 ハンナはピアノ、ギターも得意とするらしく、カーメン・マクレイ、ジミ・ヘンドリック、フランク・シナトラといった、

 
 ミュージシャンを好んでいるとのこと。



1・WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO・・・2・IS YOU IS OR YOU AIN’T MY BABY・・・3・MY FOOLISH HEART
4・EV’RYTHING I’VE・・・5・FINE AND MELLOW・・・6・THEM THERE EYES・・・7・TOO LATE NOW
8・LOVER、COME BACK TO ME・・・9・A FOGGY DAY・・・10・IT’S EASY REMEMBER・・・11・I GOT RHYTHM・・・




     HANNA SVENSSON(vo)
     JAN LUNDGREN(p)
     EWAN SVENSSON(g)
     MORTEN RAMSBOL(b)
     KRISTIAN LETH(ds)



    2013年11月16-17日 コペンハーゲンにて録音・・・

雪ぐ(そそぐ)

2015-02-20 12:29:33 | ジャズ


  「雪」には白い色から高潔、けがれを清めるの意味もあり、

  「雪ぐ」という言葉があります。

   「雪辱(せつじょく)」、「雪恥(せっち)」は汚名を除き払う意味。

   雪には何かもやもやしたものを、「振り出し」に戻してくれる高貴な存在に見えてくることがあります・・・



   今日聴いたジャズ・・・


   OLIVIER ANTUNES TRIO・・・「THEME FROM ELVIRA MADIGAN」
                 (みじかくも美しく燃え)





   本作は、1973年 パリに生まれ 現在はデンマークに住み活躍しているピアニスト、オリヴィエ・アントゥネスのリーダー作。

   同じくデンマークのマッズ・ヴィンディング(b)、アレックス・リール(ds)、二人の強力布陣を起用したトリオ編成。

  プロデュースは木全 信(きまたまこと)氏による。


   全10曲、タイトルチューンのモーツァルトの曲、グリークの(7)などのクラシカルな曲の中に、エンリコ・モリコーネの2、

   ナット・アダレイの3、エルトン・ジョンの9、traditionalの10、他は、馴染み深い曲を織り交ぜて、三人の穏やかで、

   優しい会話を聞いているような上質な作品に仕上がっている。


   #3でみじかめのドラムソロがあるくらいで、ベテラン三人による、そっと寄り添うような一曲一曲が温かく心に沁みる。


   静謐な叙情味ある気持ちの休まるピアノトリオを聴きたいとき、、ぴったりのアルバム。。。



1・いつか王子様が・・・2・CHI MAI(悲しみのアリス)・・・3・THE OLD COUNTRY・・・4・イルカに乗った少年
5・みじかくも美しく燃え・・・6・MY FOOLISH HEART・・・7・ソルヴェイグの歌・・・8・HUSH-AーBYE
9・CAN YOU FEEL THE LOVE TONIGHT(愛を感じて)・・・10・DEN BLA ANEMONE(ブルー・アネモネ)・・・




     OLIVIER ANTUNES(P)
     MADS VINDING(b)
     ALEX RIEL(ds)



     2002年9月11、12日 ニューヨークにて録音・・・


※  ラストの「ブルー・アネモネ」を 惜しくも亡くなった友人に捧げます

   


   

   

黄の花々

2015-02-18 12:17:27 | ジャズ



   ” 春さそう なたね梅雨ふる きさらぎの

    目覚めに 君を 想う朝かな”


    雪が舞ったり 風の冷たい今の時期・・・そんな中でも黒い土から福寿草が姿をあらわし花を開いている。

    黄梅、、マンサクの花も咲いている。


    長塚節は ”春は空から、さうして土からかすかに動く ”といった。

    木や花の姿は、心せわしきわたしに常に無言の教えを語りかけてくれる・・・



   今日聴いたジャズ・・・


   OSCAR PETERSON・・・「MOTIONS&EMOTIONS」



   本作は、オスカー・ピーターソンがクラウス・オガーマン指揮、アレンジのオーケストラと共演した1969年の作品。


   膨大なピーターソンのアルバムは、とうていすべてを聴いてはいないけれど、今まで聴いた中ではどの作品よりも

   一番気に入っている。


   全10曲、ヘンリーマンシーニ、バートバカラック、ビートルズ、ジョビンたちの名曲を選曲して、ピーターソンの若かりし頃の


   みずみずしい演奏が聴ける。オガーマンが手がけた作品にハズレというものがない。

   ピーターソンも彼のことを絶賛しているだけあって、いきいきと愉しそうに演奏しているピーターソンの姿が目に浮かぶ。




1・SALLY’S TOMATO・・・2・SUNNY・・・3・BY THE TIME I GET TO PHOENIX・・・4・WANDERING・・・5・THIS GUY’S
  IN LOVE WITH YOU・・・6・波・・・7・DREAMSVILLE・・・8・YESTERDAY・・・9・ELEANOR RIGBY・・・
10・ODE TO BILLY JOE・・・



   OSCAR PETERSON(p)
   CLAUS OGERMAN(arr、cond)


    1969年録音・・・