つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

はずむ

2015-03-31 11:34:39 | ジャズ


  温暖な陽光、植物は芽吹き、いきものが伸びをする春は、自然が再生するとき。


  「蘇生」のとき。


  蘇生は失っていた活力を取り戻して 「蘇る」こと。


  「甦る」とも書く「よみ」とは、「黄泉」(冥土)のこと。死後、魂が行くという所。

 
  一説には「闇」の転化した言葉だそうです。死にかかったものが生き返るのは「復活」。


  「春野」は再び軽やかにはずむとき(スプリング)を迎えます・・・・




    今日聴いたジャズ・・・


    GEORGE MRAZ・・・「MY FOOLISH HEART」



    
    本作は、1944年9月9日生まれ、チェコ人 ジャズベーシスト、ジョージ・ムラーツのリーダー作。


    現在活躍するジャズベーシストの中でも、優れた技巧を誇り 特にクラシック音楽を学んだ音感の良さとアルコ弾き(弓弾き)


    の技術は高く評価されている。


    ジョージ・ムラーツ(b)、リッチー・バイラーク(p)、ビリー・ハート(ds)・・ベテラン三人で綴る10曲。


    リッチー・バイラークのオリジナル(2)、ジョージ・ムラーツのオリジナル(3、5、8)、ビリー・ストレイホーン、セロニアス

    
    モンク、マイルス・デイヴィス達の曲に加えて、スタンダードが3曲(1、9、10)ちりばめられている。


    アルバム全体の印象は、三人が一体となり、非常に調和のとれた作品に仕上がっている。


    バイラークは自己のオリジナル「SUNDAY’S SONG」で彼らしい美しいタッチを聴かせ、スローで穏やかな曲調がとてもいい。


    ビリー・ハートは一枚をとうして叩き過ぎることがないけれど「PICTURESQUE」では、ドラマーとしての実力を存分に発揮している。


    リーダーであるムラーツの「PASSION FLOWER」、「ICCLES」、「ASK ME NOW」で聴けるアルコは、ムラーツのベースのみならず、

   
    とくにベースに関心のある方には興味深いものだと思う。


    最後になってしまったけれど、タイトルチューンの「MY FOOLISH HEART」は9:53という長尺のトラックになっており、


    しみじみとしたこの曲では、三人それぞれのプレイが味わい深い。ラストに「HAUNTED HEART」で締めくくっているところなど、


    なんともいえず趣味のよさを感じてしまった。




1・ALICE IN WONDERLAND・・・2・SUNDAY’S SONG・・・3・PICTURESQUE・・・4・PASSION FLOWER・・・5・ICICLES
6・ASK ME NOW・・・7・BLUE IN GREEN・・・8・ROBO BOP・・・9・MY FOOLISH HEART・・・10・HAUNTED HEART・・・




        GEORGE MRAZ(b)
        RICHIE BEIRACH(p)
        BILLY HART(ds)



        1995年6月11、12日 ニューヨークにて録音・・・









    


母らしき愛

2015-03-28 12:23:55 | ジャズ


  生まれたものの弱々しさと、生きようとする意志の不敵なひらめきが同居する季節。


  なのに春になっても慎重な草花たちがいます。

 
  それぞれに「頃合」というものがあるのでしょう。


  それでものんびりしすぎている「生」あるものに対しては、日の光や地のぬるみが「もういいよ」・・と


  再生ボタンを押すように合図を送ります。ようやく草花たちは承知したのか、枯れ葉の衣を破って萌えはじめます。


  その無言の開花合図を「母らしき愛」というそうです・・・



  今日聴いたジャズ・・・



  MONICA BORRFORS ・・・「REMEMBERING BILLIE」
              (featuring SWEET JAZZ TRIO)




  本作は、スウェーデンのベテラン・ヴォーカリスト、モニカ・ボーフォースがビリー・ホリデイを歌った作品。


  サポート陣は、前回書いた、”A CERTAIN SADNESS”と同じくスウェーデンを拠点に活動する、スイート・ジャズ・トリオ(SJT)。


  SJTに関しては説明することもないと思うけれど、ラッセ・トゥークヴィスト(コルネット)、、マッツ・ラーション(ギター)、、


  ハンス・ハッケンルース(ベース)の三人からなる変則トリオ。


  モニカとSJTの共演第2弾が、本作の ”REMEMBERING BILLIE”・・ビリー・ホリデイ作品集ということになる。


  大好きなアーティスト同士の共演ということもあって、期待を裏切らない極上のトリビュート作品に仕上がっている。


  ビリー・ホリデイを偲ぶアルバムといえば、カーメン・マクレェ、、ニーナ・シモン、、アニタ・オディなどいくつかの作品がある。


  ビリー・ホリデイとモニカ・ボーフォースとは、声質や発音、スタイルは異なるけれど、美しいメロディと好み、歌詞の魅力を


  大切に歌うことでは、似ていると思う。


  全13曲、ビリー・ホリデイが何回も録音し、ステージでもしばしば歌ったスタンダードを選曲している。


  モニカの歌唱はいうまでもなく、コルネット、ギター、ベースが更により魅力的な作品にしていることは特筆に値する。



1・MY MAN・・・2・THEM THERE EYES・・・3・IT’S EASY TO REMEMBER・・・4・思い出の砂浜・・・5・我が愛はここに
6・BUT BEAUTIFUL・・・7・GOD BLESS THE CHILD・・・8・I SHOULD CARE・・・9・GOOD MORNING HEARTACHE
10・恋の終わり・・・11・あなたは恋を知らない・・・12・恋人よ我に帰れ・・・13・君の面影・・・




       MONICA BORRFORS(vo)

       LASSE TORNQVIST(cornet)
       MATS LARSON(g)
       HANS BACKENNORTH(b)




      2004年5月24、25日録音・・・・






  


  



  

桜がくし

2015-03-25 12:48:27 | ジャズ


  桜が満開になろうかという時、急に思い立ったように春の雪が降ることがあります。


  北海道でも、リラが咲くころに雪が降ることがあります。


  この春の雪を新潟では「桜がくし」といい、3月の大雪を青森では「棚はずし」、


  秋田県の一部では「鶴子落とし」、兵庫県の一部では「小鳥殺し」と呼ぶそうです・・・・




  今日聴いたジャズ・・・



  ROBERT LAKATOS TRIO・・・「BUT NOT FOR ME」



  本作は、澤野工房を代表するピアニストの一人、ロバート・ラカトシュのリーダー作。


  CHRISTIAN LAKATOS(b)、DRE PALLEMAERTS(ds)と共に綴るトリオ編成。


  全12曲、レノン&マッカートニー、、ジョージ・ガーシュウィン(表題曲)、ディジー・ガレスビー、、シダー・ウオルトン、、


  セロニアス・モンク、、オーネット・コールマン達の曲に加え、自己のオリジナル3曲(3、7、8)で構成されている。


  これまで聴いてきたトリオ編成のアルバムもそれぞれに良さがあったけれど、本盤も一曲一曲がよく練れたものに仕上がっている。


  スローテンポ、アップテンポと様々な曲調を織り交ぜつつ、どのようなスタイルにも適応できるピアニストだということを


  改めて感じた。オリジナル曲では「SZAKCISSIMO」がとりわけ琴線に触れる曲で、ロマンティシズム溢れ、静謐感漂う、深みのある


  美しいバラード。また、スタンダードの「YOUNG AND FOOLISH」では、キースっぽさを感じるフレーズもあって、モンクの、


  「’ROUND MIDNIGHT」と共に選曲の良さを感じた。


  また、本作品のプロデュースを手掛ける予定だった、クラウス・ヴァイス(惜しくも亡くなったドイツ人ドラマー)への追悼曲

  
  となってしまった、オリジナルの「L・T・」は軽快に演奏されている。


  いうまでもなく、ベース、ドラムスの好演も聴きどころとなっている一枚。。。




1・HERE、THERE AND EVERYWHERE・・・2・BUT NOT FOR ME・・・3・SZAKCISSIMO・・・4・BOLIVIA
5・YOUNG AND FOOLISH・・・6・WOODY ’N YOU・・・7・HALF PRINCE・・・8・L・T・・・・9・’ROUND MIDNIGHT
10・CONFIRMATION・・・11・CON ALMA・・・12・GIGGIN’・・・・



    ROBERT LAKATOS(p)
    CHRISTIAN LAKATOS(b)
    DRE PALLEMAERTS(ds)



    2008年12月13、14日録音・・・・



春分

2015-03-22 12:04:47 | ジャズ


  「暦便覧」には「日天の中を行て昼夜等分の時也」とあります。


  太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜の時間がほぼ等しくなります。


  春分の日とは「自然を賛え、生物を慈しむ日」。


  煩悩の比岸から知恵の彼岸へ。


  それをめざして精一杯生きるのが波羅密多の意味だそうです・・・・



  今日聴いたジャズ・・・


  MANFRED FEST・・・「COMECAR DE NOVO」
            (TO BEGIN AGAIN)





  本作は、ブラジル出身の盲目のピアニスト、マンフレッド・フェストのリーダー作。


  PAUL SOCOLOW(b)、PORTINHO(ds)に加え、PHIL FEST(g)、HENDRIK MAURKENS(harmonina)が参加した作品。


  全12曲、マンフレッドのオリジナル(6、10)、PHIL FESTのオリジナル(4)、、カルロス・リラ、ミシェル・ルグラン、


  ビリー・ストレイホーン、クレア・フィッシャー、ミルトン・ナシメント、アントニオ・カルロス・ジョビンそして、表題曲は、

  
  イヴァン・リンスの曲、、と多彩なミュージシャンの代表曲を採りあげている。


  


  アルバム全体の雰囲気は、アップテンポで賑やか、基本的にはブラジルテイストながら、スタンダードも入っている。


 ベースをフィーチャーしている「YOU MUST BELIEVE IN SPRING」、ハーモニカをフィーチャーしている「BONITA」などは、


 一味違った趣があって面白い。ギター、ハーモニカが前面に出ている本盤のようなアルバムを一枚持っていると楽しい。。。




1・FETTUCINI MANFRED・・・2・VOCE E EU・・・3・YOU MUST BELIEVE IN SPRING・・・4・WHERE’S MONTGOMERY?
5・BONITA・・・6・SERETA・・・7・LUSH LIFE・・・8・MORNING・・・9・HOW INSENSITIVE・・・10・BRAZILIAN DIVERTIMENTO
  #2・・・11・COMECAR DE NOVO・・・12・VERA CRUZ・・・



      MANFREDO FEST(p)
      PAUL SOCOLOW(b)
      PORTINHO(ds)

      PHIL FEST(eg 1、2、4、6、8、10、12 ag 5、9)
      HENDRIK MAURKENS(harmonica 1、5、6、8、10、12)




       1995年1月12、13日 ニューヨークにて録音・・・






 

柳舞い

2015-03-19 11:38:36 | ジャズ


  春の訪れを乱暴に告げる春雷は、夏の入道雲が鳴らすものと違って、

  悪天の時に轟くことが多いそうです。

  初雷が啓蟄のころに多いことから、「虫出しの雷」ともいいます。

  初雷の合図を待っていたかのように緑の芽を吹きだすのが枝垂柳。

  桜はまだつぼみのまま。

  紀伊半島や四国南部では2月末に発芽し、大阪、名古屋、東京が3月10日前後。

  長野や東北地方南部はやや遅れて4月上旬です・・・・




   今日聴いたジャズ・・・


  JACINTHA・・・「THE GIRL FROM BOSSA NOVA」



  本作は、シンガポールを拠点に活動を続けるヴォーカリスト、ジャシンタのリーダー作。ボサノヴァ・アルバム。


  メンバーには、ジャシンタのアルバムでもお馴染みの、ビル・カンリフ(p、arr)、ハリー・アレン(ts)、

 
  を初めとして、パーカッション、ベース、ドラム、ギターが、よいサポートをしている。


  全10曲、ボサノヴァの作品では馴染み深いナンバーで構成されている。


  ジャシンタの他の作品でも感じるように、淡々として穏やかな気負いのない曲調のものが多い。


  ジャシンタらしいボサノヴァ・アルバムといえる。


  その淡々とした中にも味わい深いサポート陣のプレイが光る。特に好きなのは、”コルコバード”、”ONCE I LOVED”。。


  ここでは、ハリー・アレンが全面に出ていてジャシンタのヴォーカルとよく合っている。



1・O GRANSO・・・2・SO DANSO SAMBA・・・3・DINDI・・・4・ONCE I LOVED・・・5・DESAFINADO・・・6・SO NICE
7・波・・・8・HOW INSENSITIVE・・・9・CORCOVADO・・・10・三月の水・・・



    JACINTHA(vo)
    BILL CUNLIFFE(p、arr)
    HARRY ALLEN(ts)
    PAULINHO DA COSTA(perc)
    JOHN PISANO(g)
    DAREK OLEZKIEWICZ(b)
    TIM PLEASANT(ds)




     2004年2月19、20日録音・・・