つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

ご挨拶

2014-12-30 12:21:12 | ジャズ


  今年もまもなく終わろうとしています

  訪問してくださった方々、ありがとうございました


来年はまた、どのような作品に出会えるか分かりませんが

  
  充実した記事が書けるように努めてまいりたいと思います。

  

  

  

  



  
  今年最後に聴くアルバム・・・


  THIERRY LANG TRIO・・・「SERENITY」



  本作は、スイスを代表するベテランピアニストでフランスの美術文化勲章を受章した、ティエリー・ラングのリーダー作。


  HEIRI KAENZIG(b)、ANDI PUPATO(perc)、と組んだピアノトリオ編成。



  全9曲、「ELLEN DAVID」、「SWISS MOUNTAIN SMELL」の2曲を除く7曲はティエリー・ラングの作曲による。


  オープニングの「ELLEN DAVID」は今年の7月11日、76歳で惜しくも亡くなったチャーリー・ヘイデンの曲で、

  本作の録音は2013年なので、ラングが闘病生活を送っていたヘイデンのことを知っていて励ます意味にも感じられるし、

  亡くなることを予感していたようにも思える。

  ヘイデンらしいこの曲を冒頭に演奏されるのは、ラングの温かい人柄を垣間見るようで嬉しい。。

  「SWISS MOUNTAIN SMELL」はベースを担当している、HENRI KAENZIGのオリジナル。

  
※ ダブルベースのHEIRI KAENZIGは90年代に、ART LANDEやKENNY WHEELERとバンドを組み現在も多方面で活躍中。


※ パーカッションのANDI PUPATOは元NIK BARTSCH RONINのコアメンバーとしても知られる。


  アルバム全体の印象は、ラングの作曲家としての実力が如実に感じられる趣向になっている。

  静謐で叙情味溢れるオリジナルの数々は聴き手の心を捉えてはなさない。


「モーツァルトいわく 『作曲とは相思相愛の一音一音を見つけること』」  ティエリー・ラング


  聴いていると3人の姿が、情景が浮かんでくる。



1・ELLEN DAVID・・・2・OVERNIGHT TRAIN・・・3・SERENITY・・・4・WANDERING WORDS・・・5・SWISS MOUNTAIN SMELL
6・MOTHER・・・7・WOUNDS・・・8・PRIVATE GARDEN・・・9・NOVEMBRE・・・



    THIERRY LANG(p)
    HEIRI KAENZIG(b)
    ANDI PUPATO(perc)




    2013年9月9、10日録音・・・



    よいお年をお迎えくださいませ













   

  

雪明り

2014-12-27 11:36:04 | ジャズ


  新しい年が近づいてきました。

  お正月まで指折り数えるころで 「雪近」、「節近」とも書き換えられます。

  この時期、月のない夜、山里に黄色い光の行列を見ることがあります。

  発光虫や光の異常屈折ともいわれ、「狐火」、「狐の提灯」の名があります。

  空気が深々とした冬の夜に美しく輝いて見える光です。

  たとえ闇夜でも雪があればほのかに明るく、情緒もかもしだしてくれるのです・・・




   今日聴いたジャズ・・・



   GRACE MAHYA・・・「POINCIANA」



   本作は、2006年に発売されたファースト・アルバム、「THE LOOK OF LOVE」から2008年のイパネマの娘まで、

   コンスタントにリリースを重ねてきたヴォーカリスト、グレース・マーヤの2011年 録音盤にあたる作品。


   彼女については、これまでに書いてきたように、名プロデューサー、伊藤八十八氏にスカウトされてデビューした。

   子供のころから、インターナショナルスクールに通い、大学はドイツのフライブルグの国立音大にトップの成績で入学、

   大学院にも籍を置いたという才媛。


   全11曲、表題曲の「POINCIANA」はピアニストの鬼才、アーマッド・ジャマールの演奏で知られている。


   サポート陣には、デビュー当時から彼女を支えてきた、宮川純(p)、荻原亮(g)、安カ川大樹(b)。。

   スタンダードを中心に、ハスキーでハートフルな歌声、、そして随所随所で、ピアノ、ギター、ベースのサポートが光る。

アレンジは宮川純が6曲(1、2、3、4、6、9)、荻原亮が一曲(5)、グレース・マーヤが3曲(8、10、11)を担当。


   「POINCIANA」をオープニングに、ラストには、ジョニ・ミッチェルの「A CASE OF YOU」で締めくくられている。


   ジャケットを見ると、全曲弾き語りなのかな、、と思ったけれど、弾き語りはラストの「A CASE OF YOU」のみ。

  強いていえば、 個人的白眉は「BUT BEAUTIFUL」・・・


  次作はどんな作品をリリースしてくれるのだろう・・楽しみでならない。



1・POINCIANA・・・2・SAVE THE LAST DANCE FOR ME・・・3・GOOD MORNING HEARTACHE・・・4・IT MIGHT AS WELL
  BE SPRING・・・5・BUT BEAUTIFUL・・・6・ALL OR NOTHING・・・7・SAVE YOUR LOVE FOR ME
8・POLKA DOTS AND MOONBEAMS・・・9・SKYLARK・・・10・LOVER MAN・・・11・A CASE OF YOU・・・





      グレース・マーヤ(vo、p)
      荻原亮(g)
      宮川純(p)
      安カ川大樹(b)




      2011年10月2、3日録音・・・

メリー・クリスマス!!

2014-12-24 13:37:49 | ジャズ



    みなさま クリスマス・イブの今日、如何お過ごしでしょうか

    年末ということもあり、ご多忙をきわめていらっしゃるのではないでしょうか・・

    聖なる夜に、ちょっと手を休めて、温かな愛情のこもったアルバムに耳を傾けてください



    DIANA PANTON・・・「WINTER KISS」
              ~わたしのホリデイ~




    カナダのオンタリオ州西部、首都トロントとナイアガラの滝の中間に位置する都市ハミルトン出身で

    現在もここで音楽活動を行いながら、フランス語の教師としても働いている、歌姫、ダイアナ・パントンの5作目となる、

    クリスマス・アルバム。

    全16曲、2曲のオリジナルと13曲のカヴァー、そして1曲のボーナス・トラック「SNOW」で構成されている。

    サポートするのは、お馴染みドン・トンプソン(p、b、vib)、、レグ・シュワガー(g)に加えて2曲目の”外は寒いよ”

    では男性ヴォーカリストのハリソン・ケネディ(ダイアナ・パントンとのデュオ)、、3曲(6、8、15)では、

    ギド・バッソがトランペット、フリューゲルホーン、コルネットで参加、作品に華を添えている。

    更にうれしいのは、”HAVE YOURSELF A MERRY CHRISTMAS”、”SNOWBOUND”ではドン・トンプソンのヴィブラホーンが

    聴ける。

    上品で伸びやかなダイアナ・パントンの歌声・・優しくて寛げる、まさしく極上のクリスマス・アルバム。



1・KISSING BY THE MISTLETOE・・・2・外は寒いよ・・・3・CHRISTMAS KISS・・・4・WINTER WEATHER
5・C’EST NOEL CHERI・・・6・WINTER WONDERLAND・・・7・HAVE YOURSELF A MERRY CHRISTMAS・・・8・DECEMBER
9・SNOW・・・10・SNOWBOUND・・・11・WINTER WARM・・・12・THE CHRISTMAS WALTZ・・・13・CHRISTMAS TIME IS HERE
14・LET IT SNOW!・・・15・IMAGE OF CHRISTMAS・・・16・きよしこの夜・・・



     ダイアナ・パントン(vo)
     ドン・トンプソン(p、b、vib)
     レグ・シュワガー(g)
     ギド・バッソ(tp、flh、コルネット)
     ハリソン・ケネディ(vo 2)



      2011年8月 トロント・カナダにて録音・・・




    


   

黙示(もくし)

2014-12-20 12:23:27 | ジャズ


  「黙示」とは、明確にはしないで、暗黙の中に意思を示すこと。


   鈍色(にびいろ)の空の下、あるいは鉛色の雲の下、

   寂しげに薄く影を落とす「冬木」の姿は、口を閉ざしながらも冬の静けさを黙示しています・・・



   今日聴いたジャズ・・・


   福田重男トリオ・・・「MEMORIES」



   本作は、フェイバリット・ジャズ・ピアニスト、日本のピアニストを代表する一人である、福田重男さんのリーダー作。

   リーダー作で言えば、1998年の「BLESSING」、、2002年の「INNER VIEWS」の2枚だけで、いずれも、

   ロン・カーター、アル・フォスター他、アメリカのビッグアーティストとの共演盤だった。

   参加アルバムでは、市原康をリーダーとする「TRIO’」、藤陵雅裕4、布川俊樹とのデュオなどがあり、ライブでも共演者

   が多く活躍がめざましい。しかしながら、何故かリーダー作がなかった。

   
   今回、オリジナル・メンバーとして5年もの間、活動を共にしてきた、福田重男(p)、上村信(b)、奥平真吾(ds)、

   の3人を「福田重男トリオ」として、待望のアルバムが今月17日に発売された。


   全9曲、幅広い選曲で、それぞれの曲が福田氏の「MEMORIES(記憶)」にある大切な思い出深いものだということ。。。

   2曲(1、3)のオリジナルを除いて、ポール・マッカートニー、ジョー・ザヴィエル、ジャコ・パトリシアス、

   ジョビン、バカラック、ハービー・ハンコック、そしてラストには、フランク・シナトラの歌唱で有名なジミー・ヴァン・ヒューゼン

   たちの名曲が収められている。


   アルバム一枚をとうして聴いてみると、三人が一体となり、一人だけが際立っていることもなく、とても調和のとれた、

   上質な作品に仕上がっている。

   この中で、唯一、知らなかったハービー・ハンコックのメランコリックでメロウな曲調の「SONRISA」、、”THE PIANO”に

   収められているらしく、探すけれどまだ見つかっていない。


   福田重男さんらしい作品、、お奨めのアルバムです。



1・MEMORIES・・・2・DAY TRIPPER・・・3・YOU CAN TAKE・・、YOU CAN GIVE・・・4・MIDNIGHT MOOD・・・5・HAVONA
6・INUTIL PAISAGEM(意味のない風景)・・・7・THIS GUY’S IN LOVE WITH YOU・・・8・SONRISA・・・9・ALL THE WAY・・・




    今年の5月27日、このトリオで毎月出演しているボディ&ソウルの当日が、たまたま去年亡くなった
    母の命日で、その日の朝思い立って書いた母へのオマージュ。
    
    当初、この日一日だけのパーフォマンスのつもりで書いたのでタイトルも『MEMORY』でしたが、好評につき後に何度か
    演奏する機会を得、タイトルも複数形にして【MEMORIES】となりました(笑)。


    ライナーノーツより・・・・・



     福田重男(p、steinway)
     上村信(b)
     奥平真吾(ds)


    2014年10月2、3日録音・・・


   

   

   
 

   

調う(ととのう)

2014-12-17 11:14:51 | ジャズ



   「麗しい」は「美しい」と同義語になっていますが、本来は整っていて立派であるさまを褒めたたえる言葉なのだそうです。

   万葉集では「美しい」といえば、憐れみや慈悲の意味でした。

   やがて小さく可憐なものを「うつくし」というようになり、室町時代になって美そのものを表現するように移り変わって

   いきました。

   「美は無言の天使」という言葉があります。

   端正に調うとは、欠けるところのなく、あたりに調和して落ちのないようにきちんと用意をするさまです・・・



   今日聴いたジャズ・・・


   BOBO MORENO・・・「DREAMSVILLE」



   本作は、デンマークのヴォーカリスト、北欧ナンバーワン、男性ヴォーカリストといわれる、ボボ・モレーノのリーダー作。

   前作の”恋人と別れる50の方法”でも参加していた、オーレ・コック・ハンセン(p)、父親である、ボー・スティーフ(b)、

   今回は、ニューヨークのベテラン・ドラマー、アダム・ナスバウムが新たに加わり、ジャズ、ソウル、ポップスの数々を

   パワフルに歌っている、ご機嫌な一枚。


   全10曲、モレーノのオリジナル「BAD TIMING」、、「裏切り者のテーマ」として知られる「BACK STABBERS」のほかは、

   ガーシュウィン、マンシーニ(表題曲)、ルグラン、ジェームス・テイラーたちの名曲を採りあげている。

   また、ピアノ、ベース、ドラムスがバランスよく、フィーチャーされているところも聴きどころ。


   「ESTATE」で始まり「SPEAK LOW」で終わっているのもよい選曲だと思う。


   デンマーク・ジャズの「STUNT RECORDS」よりリリース。


1・ESTATE・・・2・ON A CLEAR DAY・・・3・DREAMSVILLE・・・4・ANOTHER GREY MORNING(悲しい朝)
5・DON’T LET ME BE LONELY・・・6・BAD TIMING・・・7・ONCE UPON A SUMMERTIME・・・8・BACK STABBERS
9・忍びよる恋・・・10・SPEAK LOW・・・



    ボボ・モレーノ(vo)
    オーレ・コック・ハンセン(b)
    ボー・スティーフ(b)
    アダム・ナスバウム(ds)



    2013年3月5、6日 コペンハーゲンにて録音・・・