つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

鶯(うぐいす)

2015-04-28 12:34:53 | ジャズ


 当地では、もはや 短くも深い春を過ぎたかのように、真夏のような陽気が続いています。


 桜が満開の地方にお住まいの方々・・・美しい春を満喫なさってください。


 最近では、めっきり聞けなくなった、うぐいすのお話。。。


 「梅に鶯」といいますが、梅が「春告花」なら、鶯は「春告鳥」の別名があります。


  「初音」とは鶯の初鳴きのことで、「ケキョケキョ」と啼く音は「鶯の谷渡り」と呼んで珍重されてきました。

 
 ちなみに夏に啼く鶯を「老鶯」、冬に啼く鶯が「笹鳴き」です・・・




   今日聴いたジャズ・・・


   MIKE MORENO・・・「THIRD WISH」



  本作は、テキサス州ヒューストン出身、ニューヨーク・ジャズ・シーンで活躍するギタリスト、


  マイク・モレーノのリーダー作。クリス・クロス・デビュー作品。


  ケビン・ヘイズ(p)、ダグ・ワイス(b)、ケンドリック・スコット(ds)と綴るカルテット編成。


  アルバム内容は、ハービー・ハンコックの1、ウェイン・ショーターの2、ジョー・ヘンダーソンの3、


  ビリー・ストレイホーンの4、8・・・そしてモレーノのオリジナル5、6、7で構成されている。


  マイク・モレーノのギター・サウンド、メロディアスなアプローチは、パット・メセニー、、カート・ローゼンウィンケル、、


  ジョン・アバークロンビー達に通じるものがある。しかしながら、今一つ知名度が低いというか、知る人ぞ知るギタリスト


  という感じがしてならない。もっと高く評価されてもいいのではないだろうか。。。


  ここで、参加している、ケンドリック・スコット(ds)とは、同郷ということもあって、同じクリス・クロスからの次作、


  「FIRST IN MIND」でも共演している。こちらは、AARON PARKS(p)、MATT BREWER(b)、とメンバーが違っているので、


  本盤と併せて聴いてみるとより愉しめる。



1・I HAVE A DREAM・・・2・CHILDREN OF THE NIGHT・・・3・ISOTOPE・・・4・LUSH LIFE・・・5・THIRD WISH
6・ANOTHER WAY・・・7・STREET LIGHTS・・・8・A FLOWER IS A LOVESOME THING・・・




       MIKE MORENO(g)
       KEVIN HAYS(p、elp)
       DOUG WEISS(b)
       KENDRICK SCOTT(ds)



       2007年10月26日録音・・・


  


  


 

蛙前線

2015-04-24 11:30:30 | ジャズ


  蓮華の咲くころ、田んぼには冬眠から目覚めたカエルたちの声が聞こえてきます。


  「ケーロ」という鳴き声が「カエル」の語源だとか。


  姿勢低くはいずり回る姿から、古代の人はカエルを、地上をどこまでも歩き、


  何でも知っているものとして考えてきました。


  神の使者として殺生しないようにという言い伝えも多いそうです・・・



  今日聴いたジャズ・・・



  EMILIEーCLAIRE BARLOW・・・「BEAT GOES ON」



  
  本作は、1976年6月6日 カナダ・トロント生まれのヴォーカリスト、エミリー・クレア・バーロウのリーダー作。


  通算8枚目のアルバムにあたる作品。


  タイトルでもわかるように、今までの作品と趣が違い、60年代の楽曲を取り上げかっこよくキュートに歌っている。


  楽曲の内容は、バート・バカラック、、ドノ・ファン、、ニール・セダカ、、ボブ・ディラン、、クインシー・ジョーンズ、、


  ナンシー・シナトラ、、バフィー・セントメリー、、キャロル・キング、、スティーヴィー・ワンダー、、セルジオ・メンデス


  など。。。 語学に堪能な彼女らしく、フランス語で歌っている曲もある。


  ラストの”MAS QUE NADA”はボーナス・トラックとして収録されたもので、〆に、この曲があるのは意外でもあり、


  嬉しい。エミリー・クレア・バーロウの守備範囲の広さを思い知らされる作品。



1・RAINDROP KEEP FALLIN ON MY HEAD・・・2・SUNSHINE SUPERMAN・・・3・BREAKING UP IS HARD TO DO
4・DON’T THINK TWICE、IT’S ALRIGHT・・・5・HE THINKS I STILL CARE・・・6・THE BEAT GOES ON/SOUL
  BOSSA NOVA・・・7・THESE BOOTS WERE MADE FOR WALKIN’・・・8・UNTIL IT’S TIME FOR YOU TO GO
9・LITTLE BOAT・・・10・COMME JE CRIE、COMME JE CHANTE・・・11・WILL YOU(STILL)LOVE ME TOMORROW
12・YESTER-ME、YESTER-YOU、YESTERDAY・・・13・T’ES PAS UN AUTRE・・・14・MAS QUE NADA・・・






      BILL MCBIRNIE(fl)
      DAVIDE DINENZO(ds)
      JANSON LOGUE(tp)
      JOHN JOHNSON(sax)
      REG SCWAGAR(g) 他


  
   

穀雨

2015-04-21 12:08:36 | ジャズ


  「暦便覧」には「春雨降りて百穀を生化すれば也」とあります。


  穀雨とは百穀を潤す春雨のこと。


  準備が整った田畑を浸す雨は穀物の生長に効果をもたらします。


  雨の恵みを受けた黒い土からは、


  「春の汗」を誘う陽炎がたちのぼる頃です・・・・・



   今日聴いたジャズ・・・



   ROBERT MAJEWSKI・・・「MY ONE AND ONLY LOVE」



   本作は、ポーランドのトランペット、フリューゲルホーン奏者、ロバート・マジェウスキーのリーダー作。


   ボボ・ステンソン(p)、パレダニエルソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)という、もはや多言を要さないベテランを

  
   起用したワン・ホーン・カルテット作品。


   2011年に「ポーランドのグラミー」と呼ばれる FRYDERYKアワードにおいて、「ジャズ・アルバム・オブ・ザ・イヤー」


   に選ばれた バラードアルバムの傑作&名盤。


   前記したとうり、本盤は全9曲、バラードの名曲で綴られている。


   一枚をとうして聴いいてみると、マジェウスキーは全曲でフリューゲルホーンを使用しており、メンバーがそっと寄り添い、


   自己主張することなく、終始穏やかで、熟練されたテクニック、リリカルな世界が描かれている。


  シンプルながらも高度に洗練された知的な演奏は、とぎすまされた美意識を持つ彼らしかなしえない極上の作品だと思う。




1・WHEN I FALL IN LOVE・・・2・BODY AND SOUL・・・3・MY ONE AND ONLY LOVE・・・4・A CHILD IS BORN
5・THE NEARNESS OF YOU・・・6・BALLAD FOR BERNT・・・7・星影のステラ・・・8・NIE BUDZCIE MNIE
9・NEVER LET ME GO・・・




      ROBERT MAJEWSKI(flh)
      BOBO STENSON(p)
      PALLE DANIELSSON(b)
      JOEY BARON(ds)



      2010年録音・・・


  

囀り(さえずり)

2015-04-18 14:03:35 | ジャズ


  朝靄(あさもや)をぬって聞こえてくる鳥たちのおしゃべり。

  空を覆う梢から間断なく「囀り」の音が目立ちはじめたら春本番。

  
  冬を越した喜びを歌い上げて、なごやかな時候を声で演出してくれます。


  うららかな声の囀りを「清囀(せいてん)」といいます。


  「地鳴(じなき)」は日常の鳴き声、「吟哢(ぎんろう)」ともいいます・・・




   今日聴いたジャズ・・・



   DENA DEROSE・・・「WE WON’T FORGET YOU・・・」
            (AN HOMEGE TO SHIRLEY HORN)




   本作は、ニューヨーク出身のヴォーカリスト、ディナ・デローズのリーダー作。

   ディナがシャーリー・ホーンに捧げた作品。


   弾き語りによるスタイルや滋味あふれる風合いとバラードの美しさにおいて、シャーリー・ホーンの系譜に連なる


   アーティスト、、本格的なヴォーカリストと言われる。


   MARTIN WIND(b)、MATT WILSON(ds)に加え、ゲストに、ERIC ALEXANDER(ts 1、11)、JEREMY PELT(tp 4、6、11)、


   GARY SMULYAN(bs 8)が参加している。


   ディナは全曲でヴォーカルはもとより、ピアノ、6、8の2曲ではB3オルガンを使用。


   軽快な曲調のものもあれば、しみじみと聴かせる曲などを織り交ぜて終始飽きさせない魅力的一枚に仕上がっている。


   また、ゲストの巧さがよりディナの歌唱を盛り上げているところも特筆に値すべき点だと思う。


   一曲だけの参加だけれど、バリトンサックス奏者のGARY SMULYANが”BIG CITY”ではなかなかいかしたフレーズを聴かせる。


   エリック・アレキサンダーは冒頭とラストの2曲だけではなく、あと2、3曲に参加して欲しかった。


   何はともあれ、本盤は素敵なヴォーカル作品、、愛聴盤の中の一枚。。。




1・YOU STEPPED OUT OF A DREAM・・・2・SUNDAY IN NEW YORK・・・3・QUIETLY THERE・・・4・A TIME FOR LOVE
5・DON’T BE ON THE OUTSIDE・・・6・YOU WON’T FORGET ME・・・7・I JUST FOUND OUT ABOUT LOVE
8・BIG CITY・・・9・YOU’RE NEAR・・・10・WILD IS LOVE・・・11・THE GREAT CITY・・・




     DENA DEROSE(vo p organ)
     ERIC ALEXANDER(ts)
     JEREMY PELT(tp)
     GARY SMULYAN(bs)
     MARTIN WIND(b)
     MATT WILSON(ds)



     2014年1月12、13日録音・・・

春の水

2015-04-15 12:24:23 | ジャズ

 
  春の水は「雪消(ゆきげ)」の恵み。


  地を緩ませ、冷気を払う陽射しによって山の積雪がとけて「雪代水(ゆきしろみず)」となり、


  春のみなぎる力の源となって川に流れ、重要な水資源となります。

  
  氷解したことを「雪解け」といいます。


  すべてを水に流して、新しい秩序や絆を作っていこうという気持ちは、


  冬を清算して心新たにする春だからこそ強まるようです・・・




   今日聴いたジャズ・・・


   PAT MARTINO・・・「CONSCIOUSNESS」



   本作は、1944年8月25日生まれ、アメリカ合衆国のジャズ・ギタリスト、パット・マルティーノのリーダー作。


   エディ・グリーン(elp、perc)、タイロン・ブラウン(b)、シャーマン・ファーガソン(ds)を従えたカルテット編成。


   1974年の録音なので、”WE’LL BE TOGETHER AGAIN”より2年ほど前にリリースされた作品になる。


   いうまでもなく、マルティーノは1980年に脳動脈瘤を患い、記憶喪失になり過酷で長いリハビリを経て、奇跡的にも、


   87年にNYでのライブ盤 『THE RETURN』で復帰を果たしている。


   本盤は全8曲、自己のオリジナル3曲(3、5、6)に加え、コルトレーン(1)、ベニー・ゴルソン(4、8)たちの名曲


   を織り交ぜた構成になっている。


   アルバム内容としては、冒頭の「IMPRESSIONS」からマルティーノらしい、というより彼ならではの超絶技巧が堪能できる。


   続くタイトルチューンの「コンシャスネス」も緊迫感のあるギター、、エレクトリック・ピアノソロ、ベースソロ、


   を聴いているとマイルス時代のチック・コリアを想起させるものがある。


   続く3、「PASSATA ON GUITAR」は、趣が変わって優しさがあふれ、美しい旋律を持つギターソロ。ラルフ・タウナーやメセニー、

   
   あるいはアバーークロンビーに通じる繊細さを感じる曲になっている。


   ベニーゴルソン作の4、「ALONG CAME BETTY」はサンバ風で軽快に演奏され、マルティーノの長いフレーズ、彼の典型的な


   奏法が聴ける。マルティーノのオリジナル5、「WILLOW」はピアノレスでオクターブ奏法を織り交ぜたギターがひときわ冴えわたる


   曲に仕上がっている。続く6、「ON THE STAIRS」もまた、超絶技巧、速いパッセージのギターには度胆を抜かれる思い。


   絡むドラミングも聴きどころ。つづく7、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」では短めながらも優しく、このような優しさを

   
   持つ曲も意外性があって面白い選曲だと思う。


   ラストは「ALONG CAME BETTY」の別テイク。アップテンポで展開されている。


   






   ※ パット・マルティーノは18歳でデビュー。「イースト」、「ライブ」、「イグジット」、「ジョイアス・レイク」などの
     名盤を発表。前述したように、1980年に病に倒れ、両親の手厚い看病のもと、87年に「THE RETURN」で復帰したかの
     ようにみえたものの、今度は両親の健康状態が悪化し、マルティーノは看病の為に再び引退生活を余儀なくされた。

     その後、両親が相次ぎ他界、喪失感にさいなまれて、フィラデルフィアの自宅にこもっていた92年のある日、
     ふと街の小さなクラブでピアノを弾いていた、無名のピアニスト、ジム・ドリルに出会い彼の演奏に心打たれた。
     二人の友情が始まった瞬間だった。
     マルティーノとジム・ドリルのデュオ盤は「NEXUS」としてリリースされている。

     彼の演奏スタイルの特徴としては、”マシンガン”と呼ばれる超絶技法、ワン・アンド・オンリーの美しい音色、
     そして、ウエスへの敬愛を感じさせるオクターヴ奏法によるところも大きな特徴といえる。



1・IMPRESSIONS・・・2・CONSCIOUSNESS・・・3・PASSATA ON GUITAR・・・4・ALONG CAME BETTY・・・5・WILLOW
6・ON THE STAIRS・・・7・青春の光と影・・・8・ALONG CAME BETTY(別テイク)・・・




      PAT MARTINO(g)
      EDDIE GREEN(elp、perc)
      TYRONE BROWN(b)
      SHEMAN FERGUSON(ds)



      1974年10月4、7日録音・・・