つれづれなるままに聴いたジャズ

  よるの雨の音は

さびしい胸にともしびのように

   ともる



 

時鳥(ほととぎす)

2015-05-30 12:45:56 | ジャズ


  ほととぎすは、「春の桜」、「秋の月」、「冬の雪」と並ぶ夏の代表的な風物詩で、


  万葉集では、鶯、雁の69首の倍近い132首も詠まれています。


  清少納言は人より先に鳴き声を聞きたいために、わざわざ徹夜をするほどだったとか。。


  ほとぎすは昼も夜も鳴くようで、深夜の静寂を破る鳴き声は、「月が啼いたか時鳥」といわれる所以です




   今日聴いたジャズ・・・


   MIKE DEL FERRO・・・「MADE IN BRAZIL」
              (~過ぎ去りし夏の日~)





   1965年8月23日、アムステルダム生まれ、オランダ出身のピアニスト、マイク・デル・フェローのリーダー作。


   国内盤としては6年ぶりとなる作品で、マイクが初めて取り組んだブラジリアン・プロジェクト。


   彼は、本作のために2人のMPBで活躍するトップ・ミュージシャンとトリオを結成した。2人とは、、


   アンドレ・ヴァスコンセロス(b)、マルシオ・バイーア(ds)。


   全8曲、エドゥ・ロボの3、ジョビンの4、イヴァン・リンスの5に加え、エンリオ・モリコーネの2、


  マイクのオリジナル1、8・・レモ・ジャレットが書いた曲でポピュラー界でのカヴァーも多いクラシカルな趣のある7、


  など、ヴァラエティ豊かな選曲が特色になっている。



  マイクも ” ぼくが意図したのは大好きなブラジルのスタンダード曲と2つの自作曲やクラシック曲を、
          ブラジリアン / ラテン流に融合することなんだ ”と自ら語っている。



   オリジナル曲やエドゥ・ロボの曲を聴くと確かにマイクの言葉を裏づけるトラックになっている。


   しかしこの中でも、エンリオ・モリコーネ、、ジョビン、、リンスたちの曲は、マイクが自分のものとして、


   独特のサウダージ感覚で表現していることが素晴らしいとおもう。



   ※ マイク・デル・フェローは、トゥーツ・シールマンスのグループでも活躍し、スウェーデン在住の森泰人氏による
     「スカンジナビアン・コネクション」で来日したことで、多くのファンの心をつかんだ。

     これまで共演したミュージシャンは、スコット・ハミルトン、リシャール・ガリアーノ、ジャック・ディジョネット、
     オスカー・カストロ・ネヴィスらのほか、ノーマ・ウインストン、トレインチャ、デボラ・ブラウンといった、
     ヴォーカリストなど。




1・フォラ・マンバ・・・2・ONCE UPON A TIME IN THE WEST・・・3・ウッパ・ネギーニョ・・・4・薔薇に降る雨
5・伝言・・・6・チェロキー・・・7・アルビノーニのアダージョ・・・8・SUTURDAY・・・




       マイク・デル・フェロー(p)
       アンドレ・ヴァスコンセロス(b)
       マルシオ・バイーア(ds)




     2008年6月録音・・・
         


  



   

2015-05-27 11:19:33 | ジャズ


  初夏の薫風に揺れる藤波の風情。藤は古くから日本人に愛されてきた花のひとつです。


  藤の薄紫色は高貴のシンボルとされてきました。


  『万葉集』では花の中で7番目に多い27首詠まれています。


  そういえば『源氏物語』の「藤壺」は、光源氏の理想の女性でしたね




   今日聴いたジャズ・・・



   GENE BERTONCINI・・・「JOBIM-SOMEONE TO LIGHT UP MY LIFE」




   1937年4月6日生まれのギタリスト、ジーン・バートンシーニのリーダー作。A・C・ジョビン集。


   全14曲、冒頭のショパンのプレリュードを含めれば15曲、パーカッションが参加とクレジットされているけれど、


   ほとんど、ギターソロといっても良いと思う。バートンシーニは派手さはないものの、卓越したテクニックと


   アレンジに対するアイデアは見事で上質な品のいいギターを弾くギタリスト。


   アコースティックで訥々と弾くジョビン集、、渋さの極みをゆく好盤。。。


   しばらくの間、彼のギターに耳を傾けてみよう・・・



1・CHOPIN PRELUDE / HOW INSENSITIVE・・・2・DINDI・・・3・CORCOVADO・・・4・SOMEONE TO LISHT UP MY LIFE
5・TRISTE・・・6・DOUBLE RAINBOW・・・7・CROSSROADS・・・8・NO MORE BLUES・・9・ROME MONTAGE
10・SONG OF THE JET・・・11・黒と白の肖像・・・12・ONCE I LOVED・・・13・IF YOU NEVER COME TO ME
14・FELICIDATE・・・



  ※ ジーン・バートンシーニは、その甘くふくよかなタッチからジャズギターのSEGOVIAとも呼ばれる。
    バディ・リッチ、マイク・マイニエリ、ポール・ウインター、ナンシー・ウィルソンら多くのアーティストとの共演で
    磨かれた年輪は、ギターファンにとってもかけがえのない財産。

    チャーリー・バードやローリンド・アルメイダがそうであったように、メロウなガットギターはボッサとも相性がいい。
    クラシカルなジャズからラテンまで、幅広い音楽を手掛けてリスナーを楽しませてくれる。



    GENE BERTONCINI(g)
    JOHN ARRUCCI、JON BATES(perc)



    1995年10月16、20日、11月2日録音・・・


   

芽の色

2015-05-24 11:30:57 | ジャズ


  かつて「緑」は眼を癒すものとして考えられ、目がやすまる色としてきました。


  緑の語源は「ソニドリ」(緑色の鳥 / カワセミ)。


  「みどり児」とは「生まれたて」の意味で、「緑なす黒髪」とは若々しくつやつやした髪のこと。


  「緑」は生まれたてでつやつやした芽の色のことなのだそうです



   今日聴いたジャズ・・・


   MILT JACKSON・・・「SUNFLOWER」



   ミルト・ジャクソン(ニックネーム:バグス)は1923年1月1日 ミシガン・デトロイト生まれのヴァイブラホーン


   奏者。本作は、アメリカのレコードプロデューサーの中で、最もジャズメンの生活を豊かにした人といわれる、


   クリード・テイラーの下でリリースしたCTIでの初リーダー作品。


   更に、アレンジ・指揮はドン・セベスキーであり、脇を固めている錚々たるメンバーが集結しての貴重な名盤といえる。


   全4曲、収録時間、34分と短めながら、この中にはメンバーの持ち味が遺憾なく発揮されていて、


   特に、フレディ・ハバード、、ハービー・ハンコックの味わい深いプレイは特筆に値する。


   72年の録音なので半世紀前の作品ということになる。ここでミルト・ジャクソンについて少し触れておくと・・・


   ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)、ミルト・ジャクソン(vibs)からなる、

  
   モダンジャズ・カルテット(MJQ)についてはだれもが知るところであり、ここでもミルトは花形ソリストとして


   世界的なものになった。ヴァイブという楽器でバップを弾いた最初の人であると共に、モダン・ヴァイブのスタイルを


   確立した偉大な存在なのである。



   来日したアレンジャーのクインシー・ジョーンズはミルト・ジャクソンと一緒に仕事をした時にこういったとのこと。



   ” バグスが仕事を終わってスタジオから出てゆく時、スタジオの中に充ちていたソウルまで出て行ってしまうようだ。
     まさにソウルそのものの彼がCTIで開いた新境地、これは歴史に残るアルバムなのである ”



1・FOR SOMEONE I LOVE(ミルト・ジャクソン)・・・2・これからの人生・・・3・PEAPLE MAKE THE WORLD GO ROUND
4・SUNFLOWER(フレディ・ハバード)・・・



      ドン・セベスキー(arr、cond)
      クリード・テイラー(produce)


      MILT JACKSON(vibs)
      HERBIE HANCOCK(p)
      RON CARTER(b)
      BILLY COBHAM(ds)
      FREDDIE HUBBARD(tp、flh)
      PHIL BODNER(fl、afl、piccolo、english horn)


      and others


    1972年12月12、13日 ルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオにて録音・・・




   


小満

2015-05-22 12:13:35 | ジャズ


  「暦便覧」には「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」とあります。

 
  万物しだいに長じて天地に満ち始めるという意味です。


  蚕が眠りからさめて桑を食すようになり、


  麦の穂が伸びて田植えの準備に忙しくなる時節。


  そろそろ梅雨が地に恵みを与える頃でもあります・・・



   今日聴いたジャズ・・・



   ADAM ROGERS・・・「SIGHT」



   本作は、1965年 ニューヨーク生まれのギタリスト、アダム・ロジャーズのリーダー作。


   クリスクロス5作目にあたる作品。


   ジョン・パティトゥィチ(b)、クラレンス・ペン(ds)を起用し、変則フォーマットでのぞんだアルバム。


   全10曲、自己のオリジナル4曲(1、3、5、7)、、スタンダードの名曲(2、4、9)、、


   セロニアス・モンクの6、ウッディショウの8、チャーリー・パーカーの10、、で構成されている。


   アダム・ロジャーズについては、前回、”TIME AND THE INFINITE”でも触れたように、本作でも、スタイルは変わらない。


   マイケル・ブレッカー、、クリス・ポッターとの共演などを経て、人気、実力ともに上昇中のギタリスト。


   ベース、ドラムスは控え目なサポートに徹しており、あくまでもギターを際立たせているけれども、しっかりした仕事を


   こなしている。ベテランに限って多々、そうであるかのように。。。


   アルバムの構成については、”TIME AND THE INFINITE ”によく似ていることからも分かるとうり、彼の好きな構成


  なんだろうと思う。高度なレベルを持ち、難解なフレーズを弾きこなすアダム・ロジャーズの作品は聴き手を飽きなせない


  魅力がある。



1・SIGHT・・・2・I HEAR A RHAPSODY・・・3・KALEIDOSCOPE・・・4・YESTERDAYS・・・5・MEMORY’S TRANSLUCENCE
6・LET’S COOL ONE・・・7・HOURGLASS・・・8・THE MOONTRANE・・・9・BEAUTIFUL LOVE・・・10・DEXTERITY・・・




      ADAM ROGERS(g)
      JOHN PATITUCCI(b)
      CLARENCE PENN(ds)



      2008年12月19日録音・・・


   

叶う(かなう)

2015-05-19 11:17:27 | ジャズ


  「叶」の漢字の成り立ちは、十人の意見が一つに合う意味を表しています。


  力を合わせて望みどうりになることを教えてくれる文字です




   今日聴いたジャズ・・・



   秋田慎治・・・「MOMENTS IN LIFE」



   本作は、1972年9月13日生まれ、奈良県出身のジャズピアニスト、作曲家、編曲家でもある秋田慎治の


   ファースト・アルバム。


   鳥越啓介(b)、小松伸之(ds)とのピアノトリオをメインに、ゲストに鈴木央紹(ts)が2曲(2、7)、


   スティーブ・サックス(fl)が3曲(3、8、9)に参加、2管クインテット作品。


   全13曲、” SUMMERTIME ” ” LOVE FOR SALE ”のスタンダードのほかはオリジナルで綴られていて、


   静謐感のある曲もあれば、アグレッシブな曲、また、力強くもロマンティシズム溢れる曲、、オリジナルでも、


   さまざまな表情を見せる。


   スタンダードの解釈はユニークで斬新。鈴木央紹が参加している「SUMMERTIME」はアグレッシブでピアノ、ベース、ドラムス


   ともに力強いプレイを聴かせる。オリジナルでは「HAHRENHEIT」が同じ雰囲気でドラムソロが炸裂、、また、


   7「DIVISION OF THE VIEW」も鈴木央紹の参加でアグレッシブに展開している。


   ただ、他の曲に関していえば、スティーブ・サックスの参加している、「BLUE ON YOU」、「INTRODUCTION」、


   「JUST LIKE IT」、それに、「MY WISH YOUR WISH」、、ピアノソロでの「WTC」、「SOLITAIRE」、


   は穏やかで個人的にも気に入っている。


   ファーストアルバムでこれだけ聴き応えのある作品に仕上がっているのも、ほかならぬ、秋田慎治の実力であり、


   起用した、それぞれのメンバーによるところが大きいと思う。



1・SPREAD TO THE SKY・・・2・SUMMERTIME・・・3・BLUE ON YOU・・・4・LOVE FOR SALE・・・5・MY WISH
  YOUR WISH・・・6・I’VE WAITED FOR YOU・・・7・DIVISION OF THE VIEW・・・8・INTRODUCTION
9・JUST LIKE IT・・・10・ROAD TO THE LOAD・・・11・FAHRENHEIT・・・12・WTC・・・13・SOLITAIRE・・・




      秋田慎治(p)
      鳥越啓介(b)
      小松伸之(ds)

      鈴木央紹(ts)
      スティーブ・サックス(fl)