ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

Winger/WINGER

2009-09-23 10:45:19 | 音楽
“あの娘は、まだ17歳…。”

WINGERのリーダーであるキップ・ウィンガー(Vo.B)が、“Seventeen”のPVで挑発的に唄ってから、もう20年と言う歳月が流れた…。
そもそもWINGERというバンドは、昨今急激に再評価が進む「80'Sメタル」の中にあっては、今にしても異形かつ特殊の存在であったと言える。



今、WINGERの衝撃のデビュー・アルバム『Winger』を聴いても、その異形かつ特殊性は更に強烈に浮き彫りになる。

もし、彼らが今デビューして、あのアルバムを発表したら、ファンやマスコミは「驚異の新人登場!」と騒ぐだろう。
それ程までに、WINGERのデビュー・アルバムは衝撃的であり、20年と言う歳月が流れても全く色褪せる事が無い。

では、一体何がそんなに異形で特殊だったのか?!

それは彼らのルックスと、ミュージシャン・シップにあると断言しても良いだろう。

80年代と言う時代もあるが、キップ・ウィンガーという男はあまりにフロント・マンとして魅力的過ぎた。



その美しいルックス、バレー仕込みの華麗で派手なアクション、そして鍛え上げられた肉体…彼はアッと言う間に時代の「セックス・シンボル」へと登りつめる。

同時に、キップと言う男はミュージシャン/ソングライターとしても非常に優秀だった。

元々はアリス・クーパーのバック・バンドからキャリアをスタートさせ、そこで出会ったポール・テイラー(Key.G)と意気投合した事により、「WINGER」というバンドはその歴史をスタートさせた。
その後、すぐにスタジオ・ミュージシャンとして、腕利きと評判だったレブ・ビーチ(G)が参加。
それから、DIXIE DREGSからのセッション参加だった筈のロッド・モーゲンステイン(Dr)を正式加入させ、WINGERというプロジェクトから完全なバンドが誕生する。

メンバー全員の華やかなルックスに加えて、当時としては珍しいテクニシャン集団である事を全面に打ち出していた。
デビュー時、「新たなDOKKEN」とも言われる事が多かったが、ポップでキャッチーながら実は高度なテクニックを必要とする楽曲をプレイしていた事を思うと、今ならば「ポップで難解ではないDREAM THEATER」と言っても決して過言ではないだろう。

この『Winger』を聴いてもらえば判るが、バラエティー豊富な楽曲、バンドの演奏力、ボー・ヒルのプロデュース(RATTとは一味違う音作り)による見事なサウンド、どれも超一級品であり、デビュー・アルバムがいきなり傑作と言う凄さはあまり無い。



個人的には、そのあまりに滑らかな指使いによるメロディアスな速弾きや、タッピングを多様するレブ・ビーチのギターに驚いた。
彼のギター・ヒーローとしての地位は、この『Winger』における凄まじいプレイによって確立された。

あと忘れてならないのが、バンドの大黒柱であるロッド“鉄人”モーゲンステインのドラム。



比較的シンプルにリズムを刻んでいるかと思うと、実は変拍子を多様したり、音数・手数の多いプレイは、正にプログレ的である。
実は、このバンドの本質はプログレッシブな要素と、キャッチーなメロディーの同居にあったと言える。

一方、自身のキャラを最大限に生かしながら、それまでの取り扱われ方が単にアイドルかセックス・シンボル的なだけと言われる事に抵抗と不満(実はまともにベースが弾けないんだろと随分と批判された)を持ったキップは、常に自分はミュージシャンであり、ソングライターであると主張する様になる。



そんなファンやマスコミに対して、一つの解答となったのは“Headed For A Heartbreak”という名曲のシングルでの大ヒットだろう。

(名曲「Headed For A Heartbreak」の傑作PVはコチラ!)

当時としては異例の長尺で、プログレッシブな展開を持った楽曲と、メンバーによる高度なプレイは、WINGERがルックスだけのバンドでは無いと言う認識を持つようになる。

アルバムをリリースする毎に、華やかな要素は減少し、よりミュージシャン・シップの高さが強調される様になる。
だが、90年代の暗黒時代への突入し、当のキップ自身がソングライターとして「違う可能性」を追い始め、それが結果的にバンドの失速(ポール・テイラーの脱退も致命的な打撃だった)につながったのは残念だ。

WINGER以降、DREAM THEATERとその亜種の登場はあったものの、この「一見華やかなルックス、キャッチーながら楽曲、実はプログレッシブ」と言うバンドは他に登場していない。
それだけWINGERと言うバンドが異形の存在であり、特殊であったかの証明でもある。

最近、再結成を果たし、近々ニュー・アルバムをリリースと言うWINGER。
WINGERというバンドにとって「最高傑作」と誉れ高い、このデビュー・アルバムを越えるのは無理としても、全盛期の「匂い」を感じるアルバムに仕上がっているのを期待している。


あの娘はまだ17歳
パパはまだ若過ぎる言うけれど
そんな事はない
俺よりも、もう充分に“大人”って感じがするぜ









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