ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

2015年度超個人的映画映画BEST-10 & WORST-3(Part-2)

2016-01-09 17:18:40 | 映画
また更新が遅くなりました(自嘲)
早速ですがTop-5とworst-3を紹介します!


第5位:『ワイルド・スピード SKY MISSION』



正直、ここまで面白くなるとは?!
もう限界を超えて、更なる別次元にいってしまった作品。
あまりの凄さに「人間サイズの怪獣映画」にまで昇華されていた(笑)
シリーズの売りであった車とか、そんなの関係なくてエグかった。
そして、こんなにも愛に溢れた作品は観た事がない…。
もう故ポール・ウォーカーへの、製作陣・出演者からの愛が凄かった。
あのラスト、反則かと思うけど映画史に残る名シーンやと思う。
文句無しでシリーズ最高傑作!!


第4位:『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』



映画人として、トム・クルーズという人の凄さを思い知った作品。
この人の「とにかく面白い映画を作ろう」、「観に来たお客さんを驚かしたい」と言う欲求は実に貪欲。
それを己の肉体を駆使(酷使)して、実現させてしまうのは素晴らしい。
監督のクリストファー・マッカリーとの相性の良さも発揮され、トムの良き相棒となり続篇もそのまま起用と言うのも納得。
間違いなく本作もシリーズ最高傑作、でも次回作への期待も充分に高い。
スパイ映画の当たり年だった昨年、その中でもずば抜けて面白くて完成度が高かったのも本作。
余談ながら、本作の「ヒロイン」が誰か?って視点で観ても最高に楽しい。
ラスト・シーンの爽快感は、本作が最高だったと思う。


第3位:『ジュラッシク・ワールド』



本作は…全てクライマックスにある。
終盤の展開は、観ていて正直鳥肌が立ち震えた。
そして猛烈に感動した。
それは自分がシリーズ第1作を初めて観た時の興奮と感動を思い出した。
単なるノスタルジーではなく、あのクライマックスの展開によってシリーズとして新たな生命力を得た。
あと本作は何より「怪獣映画」として傑作!
至る所に仕込まれた、確信犯的な怪獣映画へのオマージュの数々も最高だった。
クリス・プラット、良い俳優になった。
ワイルドながら知性的で、ユーモアを忘れない優しい笑顔とカッコ良さは実に印象的。
続篇も楽しみ!!


第2位:『マッドマックス:怒りのデス・ロード』



もう言葉は要らない。
本作は正に驚異的な「映像革命」を体感出来る作品。
物語はいたってシンプル、それがこんなにもドラマチックに観る側の魂に揺さぶる作品となる。
本作を完成させるまで、様々な障害があったが結果的にそれは本作の完成度を上げる結果となった。
監督のジョージ・ミラーの執念と、揺るぎない信念の前にひれ伏すのみ。
何もかも過剰、全てが狂っている、しかし美しい。
こんな映画、もう登場しないのでは?とすら思った。
映画史に残る傑作、本作を劇場で観た事を後に自慢出来ると思う。



第1位:『スターウォー/フォースの覚醒』



もう個人的な完全な思い入れ(笑)
本作を観終わった後、涙腺が決壊する程に号泣していた。
映画館であんなに泣いたのは初めてだろう…。
自分が今の様な映画好きになったのは、初めて劇場で観たのが『SW』だった。
あの時、自分の中で全てが変わる程の衝撃を受けた。
あれから30年以上経った今、また同じ様な衝撃と感動を味わえるとは思ってはいなかった。
自分自身に何度も「過度に期待するな」と言い聞かせていた(苦笑)
しかし、結果として自分の予想を遥かに超越した作品を観る事になった。
「自分が観たかったのは、こんなSWだ」と思った。
次のEP-8・9が今から楽しみで仕方ない。
映画が好きで良かった、自分が幸福だと思える作品でした。


さて、続きましてはWorst-3。
結果として「日本での公開」と言うテーマに括られます。


Worst-3:『チャッピー』



作品は傑作だった。
前作でやらかしたニール・プロムカンプ、本作で見事に復活した。
ただ、日本での劇場公開の在り方は怒りすら感じた。
監督に了承を得たと嘘までつき、日本で勝手に編集したヴァージョンを公開した。
これは作品やファンを侮辱する行為だ。
抗議の意味を込めて、僕は劇場で本作を観る事はなかった。
今後、こう言った形の日本公開が無くなる事を願います。



Worst-2:『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦(劇場公開版)』



最初に本作を観た時に面白いと思った。
しかし、後でディレクターズ・カット版が存在し公開される事を知って落胆した。
ましてや、そのディレクターズ・カット版は傑作だった(苦笑)
思った、「何故最初からこっちで公開しない?!」と。
約30分近くもカットしていたなんて、もはや別の作品としか言えない。
映画会社側の売り方かと思うが、結果敵的にこんな阿漕な公開方式は作品の評価を下げる。
作品は良かっただけに、この様な公開方式がファンとして悲しかった。



Worst-1:『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』



コレも公開の仕方…。
もともと1本の作品を、強引に2部構成にしたのは大失敗。
映画会社側の興行成績を水増しを狙った策略だと思うが、作品を台無しにしたと思う。
本来なら、日本映画の常識を凌駕する作品が誕生していたかもしれない。
しかし、それは映画会社の思惑によって潰された。
この後篇に関して、作品として良くない部分も目立つのは痛い。
もし1本の作品のままなら、起承転結を踏まえて疾風怒濤の勢いによって気にならなかっただろう。
水増ししようが、物語の盛り上がるはずのクライマックスだけで作品が成立する筈はない。
個人的には嫌いではないし、大好きな作品だ(苦笑)
だから余計に残念であり、悲しい。


って訳で『2015年度超個人的映画映画BEST-10 & WORST-3』でした。
かなり個人的な趣味が反映され、偏った結果かと思います。
特に『進撃~』の評価に関して、時間が経った今まだまだ言いたい事があります(苦笑)
今年も昨年以上の勢いで、凄い映画がドンドンと公開されます。
今年も一杯映画を観ます。
出来れば、このブログでこの偏った視点で作品を語りたいと思います。
今年もよろしくお願い致します!!

2015年度超個人的映画映画BEST-10 & WORST-3(PART-1)

2016-01-04 17:45:57 | 映画
あけましておめでとうございます!

本当に更新が滞ってしまい、放置状態だったブログ。
ヨメからも「Twitterにハマって長文を書けなくなった」と嫌味を言われる始末です(苦笑)
いや、ホンマに書きたい事は一杯あったけど時間が無く書けませんでした…。
しかし、今年も「2015年度超個人的映画映画BEST-10 & WORST-3」はやります!

昨年も沢山映画を観ました。
結論から言うと、間違いなく「豊作」な一年だったと思います。
ここで挙げた10本以外にも、素晴らしい作品は一杯ありました。
あくまでも僕個人の趣味・趣向を反映したランキングです。
我ながら偏っているな…と思います。
あと付け加えるなら、今年は「劇場公開」の在り方を色々考えさせられました。
では早速前半、第10~6位までを紹介します!!



第10位:『ミニオンズ』



はい、実は前から可愛くて大好きでした。
本作を観て、更にミニオンたちの可愛さに更にハマってしまいました(笑)
このシリーズは結構ブラックな笑いと、捻りの効いたストーリーがポイントでした。
晴れて主人公となった本作、それが遺憾無く発揮されていました。
終盤の怪獣映画然とした展開を、笑いに昇華してみせる演出センス。
あと作品の根底に流れるロック史的要素も、作品を生かす隠し味として充分に効いていました。


第9位:『進撃の巨人:ATTACK ON TITAN』



はっきり言って、今年一番期待していた作品でした。
公開前後に起きた関係者やファンを巻き込んだ騒動を含め、賛否両論が付きまとう作品となってしまいました。
ただ個人的には前半の本作に関して、「怪獣映画」として非常に高く評価しています。
あと作り手側に、既成の邦画にある常識をブチ壊してやろう!と言う心意気も感じます。
結果として、非常に硬質でブルータルな「怪獣映画」が出来上がったと思います。
賛否両論なのは理解出来ますし、本作を否定する意見も納得出来ます。
ただ僕個人として、本作は良い意味で新しい日本映画における「怪獣映画」の傑作が登場したと思っています。



第8位:『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦(ディレクターズカット版)』



ある意味、良い意味で期待を裏切られた作品。
押井監督にとって、本作は間違いなく実写映画として最高傑作だと思う。
多分、今の邦画が出来る最良の形が本作だと思います。
極論を言ってしまえば、かの『パトレイバー The Movie 2』の実写版リメイク。
相変わらずの押井節全開ながらも、エンターテインメント要素をしっかり絡めた作品。
あと主人公たちを翻弄する、灰原零と言う怪物めいたキャラも実に魅力的。
低予算だと思うが、作り手側の創意工夫によっていくらでも面白い日本映画は沢山作れる。
そう思わしてくれる、作り手達の熱い思いも伝わる。
もっと評価されて良い作品だと思う。


第7位:『ジョン・ウィック』



正にキアヌ・リーブス完全復活!と言える作品。
また新たなアクション映画としても傑作!!
この人、本当にシーンの今後の基本となるエピック的な作品に出演する。
要は「なめていた相手が実は殺戮兵器でした」モノ。
5年のブランクを経て、殺し屋として復活して行くジョンをキアヌが見事に好演している。
己の復讐の為に黙々と屍体の山を積み上げる、鬼気迫るキアヌがカッコ良い。
細かい所の詰めの甘さはあるが、そんな事は全く気にならない疾風怒濤な作風も痛快。
今後アクション映画は、本作から影響を受けた作品が出て来るのが予想される。
既に続篇の撮影も快調なのも嬉しい。
硬質でザラついた作風ながら、非常に痛快な傑作!!


第6位:『キングスマン』



今年はスパイ映画の当たり年。
古き良きスパイ映画、かつての「007」シリーズへの愛とオマージュ。
英国らしい皮肉とブラックなユーモアに、切れ味の良いアクションを加えて誕生した傑作。
やはりマシュー・ヴォーンは逸材!
本家「007」へのオマージュであり、猛烈なラヴ・レターとも言える作品。
更には『SW』にまで溢れる愛情を捧げてしまっているのも、個人的には大きなポイント。
思いっきり笑えるが、同時に鳥肌が立つ程にカッコ良い作品。
既にシリーズ化も決定。
マシューは日本を舞台にしたいと語っているが果たして?!

ってな訳で第10位~6位まででした。
次はTOP-5とWORST-3を紹介します!!


進撃の巨人:エンド・オブ・ザ・ワールド

2015-09-20 16:14:51 | 映画
前篇公開から1ヶ月。
想像以上の賛否両論が湧き上がり、作品への冷静な評価が出来ない様な状態に陥ったと思う。
実写版『進撃の巨人』。
前作、個人的にはかなり興奮の中で本作を絶賛する形となった。
しかし、僕のような絶賛派はこの実写版『進撃の巨人』においては圧倒的少数派だった(苦笑)
何故なんだろう?



作品云々よりも、公開前に起きた監督や作り手側の問題発言と炎上騒動。
原作コミック&アニメ派からの、猛烈な拒絶反応。
そう言ったモノが一体となって、個人的にはもっと気楽に楽しめる筈だった作品が誤解されている様に感じていた。
前作のレビューの中で、「作品の評価は後篇を観てから」とした。
前篇・後篇揃ってこそ、実写版「進撃の巨人』は成立すると思っていた。
ってな訳で期待に胸を膨らませ、初日に『進撃の巨人 エンド・オブ・ザ・ワールド』を観に行った。






⚪︎警告:これよりネタバレ爆裂!!






『進撃の巨人 エンド・オブ・ザ・ワールド』。
率直にカッコ良かったし、面白かった。
しかし、前作の様に魂が震える様な「何か」に決定的に欠けていた。
前作は何だかんだ言っても、上手く原作コミックをアレンジした物語だった。
ただ後篇、まだ未完の原作とは違うオリジナルな展開で結末を迎える事は判っていた。
カッコ良い。
面白い。
でも…何故か観終わった後にスッキリしない。
何故か?
続けて2回、本作を観て判った。
それが本作の致命的な弱点となってしまっている。

ハッキリ言うと…前篇・後篇に分けず1本の作品として公開すべき作品だったと言う事実だ!!

前作が90分、そして今回の後篇が正味80分。
元々は1本の作品として作られた本作。
この分割公開によって、本来作品の持っている衝撃も持ち味も結果的に殺してしまっている。
本作は最初から、1本の『進撃の巨人』という3時間の映画として公開すべきだった。
前作にあった衝撃や興奮は、この後篇のドンデン返し的展開によってより映える流れになっていた筈だ。
原作にはないオリジナルな要素も、1本の映画の中で起きる起承転結の流れを踏まえれば更に衝撃的展開だったと思える。
ドラマとしても、カットしても良いシーンも山程あった。
1本の作品にまとめる事によって、やたらと喚き散らす主人公エレンの心情や彼自身の葛藤やヒーローとしての覚醒と成長が明確だった。




オリジナル要素の謎解きにも唸っただろう。
それにクライマックスの後の結末も、もっと素直に感動出来たと思えて仕方ない。
監督・樋口氏のドラマ演出への批判が多いが、一番の致命傷はこの分割公開によって作品の持つパワーや衝動性が完全に分断されてしまっている。
あまりにテンションが高く、阿鼻叫喚の地獄絵図の様な疾風怒濤さで3時間の作品として公開すべきだった。
もし仮に、1本3時間の極悪非道なグラインド・コアかデス・メタルの如き作品として公開していたら?!
空前絶後のインパクトを誇る傑作となっていたと思えて仕方ない。
だから残念と言う思いを消す事が出来ない…。

人類に仇なす存在として処刑されそうなエレン。
前作のラスト、いきなりの意味深な発言で存在感を発揮したソウダ。
それが本作では、始まって10分もしない内に銃殺されてアッサリ退場(えっ?!:苦笑)。
回想でエレンの父と母が登場。
原作とは違い、父は巨人化の謎を解く事に取り憑かれたマッドサイエンティストだった。
更にはエレンには兄がいる事が判明!!(←キン肉マン的展開にワロタ)



そこに鎧の巨人が乱入。
他の偉いさんや兵団を虐殺してエレンを奪取。
意識が戻ったエレン、そこは「2001年宇宙の旅」の様なハイテクな部屋。
そこにはシキシマ隊長が居て、彼がエレンを救ったと言う。
そんなシキシマはエレンに、この世界の謎を語り始める。
何と巨人は100年以上前の巨人大戦以前に、人類が人類を基に作り出した生物兵器だった事が判明。
それがウィルスか何らかの原因で、一般市民に世界中で感染しパンデミックが発生。
世界は突如巨人が溢れた事により戦争が起き、結果的に人類は自滅する形で滅んだと言う。
ここに本作のオリジナル要素の名シーンとも言える、現代社会における巨人対人類の描写が挿入される。
ある意味、一番インパクトがあったのが監視カメラに映ったコンビニでの女子高生の当然の巨人化はホラー映画的で怖かった。




生き残った一部の人間(巨人にならなかった人類)が、壁を作り自分達の都合の良い様に世界を再構築した。
巨人の恐怖を利用し、支配する側と支配される側を作り偽りの平和を築いたと言う。
シキシマの真の狙いは、現政府転覆を狙ったテロ。
再度、古い体制の世界を壊滅させて新世界を作り上げようとしていた。
シキシマはエレンにも、自分の同志となれと誘いをかけるが…。



その後の展開は、今の日本という社会を思うと痛烈な批判的要素を含んでいる。
大義名分の秩序や平和を振りかざし、単に支配者として君臨したいクバル(演:國村隼)の体制側。
支配する側だけでなく、何もせず与えられた平和にすがり変革を求めない者も一掃しようとするシキシマ率いる革命派。
言われるがままに支配されるのは御免だが、罪もない人々を巻き込んでまでの革命を拒否するエレン。
この3者の主張は、思った以上に政治的ニュアンスを持って効いてくる事に驚いた。
その後は文字通りの巨人大戦に雪崩れ込んでいく。



巨人態エレンと鎧の巨人の肉弾戦は凄まじい。
もうお判りかと思うが、エレンの兄とはシキシマ。
そしてシキシマこそ人類最強の男にして、皮肉にも最強の巨人である事が判明。
ここで巨人と言う異形の存在への変身シーンが、シキシマ自身による巨人への変身によって描かれる。
コミックでもアニメでもない、実写だからこそ出来る悍ましくグロテスクながらも妙に美しい大変印象的な名シーンとなっている。
またエレンの変身は、コミックやアニメの様に自傷行為で起きる訳ではない。
何故か致命傷を受けると変身する、この辺りは「帰ってきたウルトラマン」を彷彿とさせて笑える。
またエレン対鎧の巨人の激闘。
スーツ・ミニチュア・CGI等を巧みに合わせ、今まで観た事のないシーンとなっている。
実にスピーディーに壮絶な肉弾戦を展開しつつ、しっかりと重量感を感じさせる演出は素晴らしい。



からくも鎧の巨人に勝ったエレン。
ミカサやアルミン達と、前作の冒頭に出て来た不発弾を使い壁を塞ぐ作業をしようとする。
その前に立ち塞がるのが、鎧の巨人に惨殺されたと思っていたクバル士官
エレンを引き渡せば、他のメンバーは政府が一生貴族として面倒を見ると勧誘。
アルミンが断ると、銃を乱射しアルミン負傷。
それを見てブチ切れたのが、いつの間にかアルミンと良い仲になっていたサシャ(演:桜庭みなみ)
問答無用でクバルに弓を撃ち込み瞬殺!



でも…クバルは何と超大型巨人であり目の前で変身を始めた!!
サシャ、ある意味後半の展開で一番ヒロインぽい存在だったかと思います。
遂に姿を現した超大型巨人。
鎧の巨人との激闘で消耗したエレンは巨人化出来ず(致命傷も負ってないし:苦笑)、立体機動装置でミカサとジャンの3人で戦いを挑む。
でも、活躍しそうでしないままジャン秒殺(合掌)。
必死に抵抗を試みるエレンとミカサ、しかし相手があまりに巨大過ぎる。
そんなピンチを救ったのが、シキシマ率いる調査兵団の武器を持って参上したハンジ(演技:石原さとみ)
ハンジのキ⚪︎ガイすれすれのハイテンション演技は、観る側に賛否分かれるかと思います。



壁に仕込んだ不発弾も激しい戦いで爆発せず、エレンも超大型巨人に捕まり絶体絶命の危機に陥ります。
何とそのピンチを救ったのが、他でもないシキシマ。
初めて兄貴らしく「お前はお前の世界を生きろ」と言います。
再び鎧の巨人に変身し、不発弾を超大型巨人の口に突っ込み共に爆死。
その大爆発により壁は再び塞がり、落ちていくエレンをミカサがキャッチします。



この時、やっとミカサはエレンに対して笑顔を浮かべます。
そして2人で壁の上から、初めて「壁の外」と海を見ます。
「壁の外」は壊滅した都市が広がっていました、捩れた東京タワーらしきモノもあったので、あの世界はやはり「日本」だったと言う事になります。
朝日を浴びながら、エレンは「これからだ…」と呟き本作は終了。
エンド・クレジットの後、またオチがあります。
「猿の惑星」的と言いますか、「メイズ・ランナー」的と言いますか正直蛇足でした。
壁の中で、何者かが兵器として巨人を生んだように実験を継続している事実は衝撃的かもしれませんが。
ネガティヴで批判的な事を言いましたが、やはりスーパー巨人大戦には胸が躍りましたし。
超大型巨人対主人公達のバトルも、スピード感があって良かったと思います。



敢えてキャラ面で不満を言うとミカサ。
後篇では終始暗い表情で何も語らずって感じで、前作で見せた様な圧倒的な強さも感じない。
まぁ~エレンとシキシマの間で、気持ちが揺れ動いていたのかと思います。
最終決戦の時、例のマフラーを首を巻いて「ずっと一緒だった」とエレンに想いを打ち明けます。
「脱走した実験体は2名」と不気味な声の報告通り、エレンとミカサは壁の外に共に出たのかと思われます。
いや~本当に1本の作品にまとめて欲しかった。
本作も持っていたパワーやインパクトは、分割公開で完全に失われてしまった。
もし1本の映画のままなら、例のミカサがエレンをキャッチして笑顔を浮かべるシーンで泣いていたかと思います(苦笑)



ドラマ部分の演出では、樋口氏には足りない部分を感じます。
また例の脚本問題にしても、ベタな内容は予想していたので想定の範囲内(笑)
ただ何度も繰り返されるフラッシュバックは不要、アレは日本映画特有の悪しきクドい演出です。
でも、僕は実写版『進撃の巨人』が大好きです。
前篇は怪獣映画でしたが、後篇はスーパー・ヒーロー映画って感じでしょうか?!
今の時点で言えるのは、僕は前篇の地獄絵図でハイテンションでブルータルに突き進む怪獣映画が好きかな?



余談ですが現在撮影中の『シン・ゴジラ』、今この技術で撮影されるという事実に興奮します。
おまけに総監督に庵野氏がいます、きっと我々が観た事がない怪獣映画が誕生するかと思われます。
何はともあれ、今年一番の期待作だった『進撃の巨人』。
個人的には充分楽しめました。
色々言われていますが、実際に劇場で自分の目で観て判断してみてください。


「天国の奴隷よりも、地獄の自由を選ぶ!!」


PS:今回は主題歌も気に入っています、この終末観はピッタリかと思います。


進撃の巨人:ATTACK ON TITAN

2015-08-02 13:46:17 | 映画
約3ヶ月も放置していたブログ…(苦笑)
ごめんなさい。
久々に更新します!
それは何故か?
そう、遂に『進撃の巨人:ATTACK ON TITAN』を観たから!
自分の中に湧き上がる思いを、このブログにしっかり書き込みます!!



まず僕のこの『進撃の巨人』とのスタンスを説明しておいた方が話が早いでしょう。
ただ、この辺りの事を説明しないとアカンのも本作を語る上で面倒臭く。
また良くも悪くも、この『進撃の巨人』の特殊性を物語ってると思います(苦笑)
原作コミックはかなり早い段階から読んでいて、物凄く衝撃を受けて一発で虜になりました。
アニメ版に関しても、コミックでは良い意味で足りない情報や描写が補完され非常に良く出来たシリーズで大好きです。
そして、今回の実写版ですが…。
当初から、このブログでも注目して追っていました。
中島監督降板→樋口監督起用、実写版再起動に歓喜しました。
多分、僕の中で「進撃の巨人」という作品への解釈が大きく影響しているかと思います。



原作者の諌山創氏も当初から語っていました。
「本作は『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』から絶大な影響を受けている。」と。
無国籍で、本作のファンの多くは本作をある種の「ファンタジーもの」と解釈している方も多いと思います。
しかし僕自身は原作者の諌山氏の発言もあって、本作を「怪獣もの」と解釈していました。
だから巨大な巨人がボリボリと人を貪り喰らい。
成す術を持たない人類は、絶望的な状況の中で必死に対抗策を見つけ戦い続ける。
何故巨人が存在するのか? そもそも壁に囚われた人類とは何か?という謎も物語では重要です。
とは言え、基本本作は「巨人」という人食い怪獣と人類の肉弾戦を描いた作品であると思っています。
その解釈の違いが、この実写版にも大きく影響しているのは間違いないでしょう。



今回の実写版。
作品の内容に関して、公開前から凄まじい賛否両論がありました。
それは予告篇が公開され、謎に包まれていた本作の内容が明らかになるにつれ激しさを増し。
遂に劇場公開となった今、更に激しく意見が対立する結果となってしまいました。
ただ個人的には、原作ファンの僕には「本作は怪獣映画」という基盤がありました。
良くも悪くも、その基盤は作品への興味を更に盛り立てる結果となりました。
例えば、僕の大好きなSF小説として『宇宙の戦士』という名作があります。
それがSFアクション超大作『スターシップ・トゥルーパーズ』となった時、そこには大胆な「映画的アレンジ」が加わっていました。
また昨年、桜坂洋氏の傑作SF小説『ALL YOU NEED IS KILL』がトム・クルーズによってハリウッドで実写映画化されました。
やはりソコにも、大胆な「映画的アレンジ」が加わっていました。
熱心の原作ファンなら激怒しそうなアレンジが加わっていましたが、どちらの作品も圧倒的な面白さに溢れた傑作でした。
『スターシップ~』は、原作から“バグ”という昆虫型宇宙怪獣と人類との激闘に焦点を絞りました。
『ALL YOU NEED~』は、主人公が死んでループする要素を引き出し終わりのないエイリアンとの戦いに焦点を絞りました。
どちらの作品も他に面白い要素や外せないキャラもありましたが、映画化の為に大胆なアレンジを加えて改変し削除しました。
この実写版『進撃の巨人』でも、先に挙げた作品の様に大胆な「映画的アレンジ」が加わっています。
そこが、この実写版『進撃の巨人』を楽しめるか否かに掛かってくると推測しています。








○警告:これ以降ネタバレ爆裂!!











では実写版『進撃の巨人』で加わった映画的アレンジとは?
舞台としては無国籍(欧州?)っぽいですが、「壁」の建造から例の不発弾や各キャラクターの台詞により本作が「今」の社会と地続きである事が判ります。
ファンタジー的要素ではなく、人類の社会と文明は明らかに「退化」した世界である事が明らかになります。
更に作品のメインに、「巨人」という怪獣をメインに置きました。
この「巨人」という怪獣は、情け容赦なく人類を貪り喰らう「恐怖」の対象として描いています。
原作コミック以上に、この「巨人」に無惨に喰われる人類の描写は強烈です。
人類は必死に「巨人」という恐怖に抗おうとしても、まるで寿司でもつまむ様に喰われる描写の連続がもたらす絶望感は半端ではありません。
「巨人」という怪獣を前に、主人公のエレンは原作の様に勇敢に立ち向かう訳でもありません。
目の前で繰り広げられる地獄絵図に、恐怖で足がすくみ何も出来ず自身の一番大切なモノも奪われてしまいます。
己の復讐心だけで立ち上がる主人公ですが、その後に更に過酷な現実を突きつけられ絶望する事になります。
淡い恋心や青春も、「巨人」という圧倒的な恐怖の前に叩き潰されてしまいます。
そう、本作はファンタジーではなく「怪獣映画」なのです。
それも諌山氏が影響を受けた「サンダ対ガイラ」をも凌駕する、残酷で恐怖に満ちた「怪獣映画」なのです。
原作の要素を換骨奪胎し、再構築させたのが実写版と言えます。



己の復讐心から立ち上がったエレン。
彼の前には次々と巨人の恐怖が襲いかかります。
ソレを命からがら生き延びた後、もっと衝撃的な「再会」が彼を待っています。
何もない自分にとって大切な存在だったミカサ。
巨人の襲来によってミカサは喰われてしまったと思っていたエレン。
しかし彼女は生きていた。
再会したミカサはエレンの知るミカサではなく、自分を怒りの目で見つめる冷酷な殺戮兵器へと変貌していた。
この辺りの改変が原作ファンにとって、一番受け入れ難い要素かと思います。
自身のアイデンティティーの喪失、追い打ちを掛ける様に巨人との戦いは激しさを増していく。
自身の虚無感を抱えながら、目の前では何もする事が出来ず仲間が次々と巨人に喰われていく。
何も出来ない無力な自分、正に自身の前で地獄絵図が繰り広げられて自身はその中で地獄巡りを強いられる。
原作のエレンにあった狂気も勇敢さもない、これまた大きな改変要素です。



ミカサと共に、ある男が現れます。
その男こそ、映画版オリジナル・キャラであり「人類最強」と呼ばれるシキシマ隊長。
リヴァイ兵長ではありません(苦笑)
立体機動装置を自在に操り、あっと言う間に巨人達を血祭りにあげるシキシマ。
その傍らには、彼に忠実なミカサが付いている。
シキシマはミカサを鍛えたのは自分だと言い、エレンの心を揺さぶります。
最初からエレンに関心はあった様で、意味有り気な言葉でエレンの心を翻弄します。
まるでシキシマとエレンのやりとりは、「ガンダム」のシャアとアムロのやりとりの様に見えました(笑)
勿体ぶって、気取った口調は池田秀一氏を彷彿とさせます。
最初に圧倒的な強さを見せた後、彼は急に傍観者となります。
その言動に何らかの意図が隠されているのが判ります。




ミカサ。
先のシキシマと、ただならぬ関係にあるのは「林檎」を巡る描写で匂わされます。
「世界は残酷」と吐き捨てた彼女。
自身も巨人に食われた、生々しい傷跡をエレンに見せます。
しかし、あれほどの致命傷を負いながら何故今あんなに超人的な強さを発揮出来るのでしょうか?
あの世界には、あれほどの大きな傷を完治させる医療があるとは思えません。
そもそもミカサを助けたのは誰でしょう?
シキシマ?
ますますシキシマという存在が怪しくなって来ますが、後篇の予告篇を観ると妙に納得出来てしまいます(笑)
あとエレンへの想いですが、クライマックスにおいて実に興味深い描写が連続します。
原作でお馴染みの「マフラー」、実写版でもしっかり登場します。
冷酷な殺戮兵器に変貌したようで、ミカサの中にはエレンへの想いがあるのが判ります。
原作では、強さ故に見えないものの実はあまり成長のないキャラ(行動原理はエレンへの執着のみ)でもあるミカサ。
実写版のミカサは、原作以上に複雑な内面を持つキャラに変貌した様です。



さて噂の巨人。
CGIやスーツではなく、特殊メイクを使うのは例のCMで判っていました。
コレは正解だったと思います。
下手すれば滑稽見えてしまう巨人を、禍々しい存在にしているのは「人間」が演っているからでしょう。
ある程度予想はしていましたが、豪快な喰いっぷりによる残酷描写は半端ではない。
観る人にとってはトラウマになるかも?(作り手側の狙い通り:笑)
ただ喰うのでなく、叩き潰し噛み砕いて吐き捨てる。
壮絶な残酷描写の連発は、正直驚きました。
この人(主要キャラも)がゴミみたいに死んでいく描写に、本作のある意味覚悟を感じました。
かねてから邦画のこの手の作品は、良い線まで行きながら「最後の一線」を超える事が出来ないのが実に歯痒かった。
しかし本作は、その「最後の一線」をあっさりと越えてしまっている。
残酷描写やエロ描写は、ある意味人間の「生」の本質とも言える。
そこを逃げずに正面から描いた事に、本作の持つ強烈なインパクトが生きている。
余談だが巨人の中に、女性型でショート・カットで長身の美人型の巨人がいた。
最後まで死んだ様子はないので、後篇にも登場してくるのか興味深い(笑)



そして調査兵団。
実に個性的な面々が揃っていた(笑)
ハンジ役の石原さとみ嬢のハマり方は見事だった。
エレンを誘惑する、エロい未亡人ヒアナ(演:水崎綾女嬢)もあの最期を含めて実に印象的。
ただ武田梨奈ちゃん扮するリル、彼女の身体能力を考えると非常に勿体無いと思ってしまった。
この調査兵団の描写を見ていると、やはり『スターシップ・トゥルーパーズ』を彷彿とさせた。
立体機動装置を使った、巨人との肉弾戦。
意味有り気なキャラや主要キャラが、あっさり食い殺されて退場。
身勝手な行動で、作戦が全て台無しになってしまう。
絶対に『スターシップ~』の影響は絶大だと思えてしまう。



僕が本作を「怪獣映画」と言い続けた理由が、本作のクライマックスにあります。
作戦は失敗、お偉いさんは調査兵団を囮にさっさと逃亡。
その調査兵団の兵士達も、次から次に巨人に喰われ惨殺されてしまう。
主人公エレンも、幼馴染のアルミンを庇って遂に食われてしまう。
その時、原作通り物語は文字取り急展開する。
ここに監督・樋口真嗣の才能が遺憾無く発揮されていた様に感じる。
かの「平成ガメラ3部作」や『ローレライ』では天才と思っていた。
しかし、あの『日本沈没』の失敗以降は正直監督としての樋口氏の才能は枯渇したと思っていた。
だが、そんな僕が再び「やはりこの人は凄い!」と思ったのが『巨神兵東京に現る』だった。
やはり樋口真嗣という映画監督は、怪獣やメカが出てこそナンボって事だろう。
ここまで巨人達によって蹂躙され尽くし、絶望しかけた瞬間に「彼」が覚醒する。
そう、巨人化したエレンだ。
もうクライマックスの壮絶な戦いには、正直言葉が無かった。
あまりの格好良さに鳥肌が立った。



この巨人化エレンのあまりのカッコ良さに圧倒された。
言うてしまえば、ソレはウルトラマンでありエヴァンゲリオンでもある(笑)
これまで一方的に巨人に蹂躙され続けた人類が、その怒りをぶつける様にエレンは巨人以上の残忍さで巨人を叩き潰していく。
一撃で巨人を粉砕、逃げ惑う巨人の顔面を踏み潰して粉砕し、襲いかかる巨人を食い千切って殲滅させていく。
やっている事はエグいが、観る側は「さぁ巨人共を皆殺しにしろ!」と誰も興奮するだろう。
このクライマックスの戦いにこそ、本作の醍醐味が詰め込まれていたと言っても過言ではない。
戦い終えた後、巨人の正体がエレンである事が判明し本作は終了する。
その瞬間、初めて「進撃の巨人」とド~ンとタイトルが出るが興奮で感動してしまった。

エンド・ロールの途中、後半「エンド・オブ・ワールド」の予告篇が入る。
またまたコレを観ると戦慄してしまう。
・猿ぐつわをはめられ裁判にかけられるエレン。
・エレンの両親(?)の登場。
・ハイテクな部屋でワインを持つシキシマ。
・弾頭を抱える巨人化エレン。
・注射器。
・「君の事を待っていた」
・巨人化現象を研究しているエレンの父(?)
・「彼は同志だ。」
・鎧の巨人(?)。
・マシンガンを乱射する何者か。
・RPGを抱え吠えるハンジ。
・「守るものを捨てないと強くなれない」と呟くミカサ。
・「もう誰も置き去りにはしない!」と叫ぶエレン。
・激闘となる巨人化エレン対鎧の巨人。
・超大型巨人出現、立ち向かう調査兵団。
・「壁の外は地獄だ!!」
・「この時を待っていた」と超大型巨人に向かうエレン。
本作だけでも充分に素晴らしい作品だった。
しかし、アイディアを盛り込む事によって物語が膨大となり2部作となった経緯がある。
本作の評価は、次の後篇『エンド・オブ・ワールド』を観てからにしたい。
ただ現時点でかなり興奮し、もう「傑作!」と言いたい(自嘲)
敢えて抑えて今はこう言う、俺はこんな怪獣映画が観たかった!!と…。
作品に関して、怒涛の賛否両論の嵐となっている。
多くのファン、そうでない方々にも本作を劇場で体感して欲しいと願っております。


「駆逐してやる…。」


PS:この歌がキーワードです。



みんな何故気付かないの?
もう、この世界はとっくに終わってしまっているの
貴方が私にさよならと言った瞬間から…


『パトレイバー 首都決戦』、そして…。

2015-05-10 14:45:06 | 映画
『パトレイバー 首都決戦』を観た。

押井監督により実写化された、先の『THE NEXT GENERATION』シリーズに関して。
実は数話してない状態で、それで今回の劇場版を観ても楽しめるのか不安だった。
しかし、そんな心配は杞憂に終わった。
滅茶苦茶面白かった。



面白かったと感じた一方で、ある疑問が脳裏をよぎった。
「アレ? 押井監督はこんな映画を撮る人だったか?!」って事。
90分という時間の中に、実にドラマとアクションをテンポ良く盛り込まれている「判り易い作品」だったからだ。
良くも悪く過剰な自己陶酔的な美意識と、複雑な内面描写とアクション描写のバランスが何とも微妙なのが押井監督。
事前に「今回はエンターテインメントに徹する」的な発言はあった。
しかし、言うても押井守監督。
その「エンターテインメント」という言葉の解釈も、観る側とは当然違ってくるだろうと予感していた。



確かに良くも悪くも「押井ワールド」は全開だったが、それも作品を盛り上げる要素に昇華していた。
物語も良い意味での「説明不足さ」で、後は勢いで押し切る作品になっていた。
作品によって落差の激しい人だが、実写映画として本作は押井監督の最高傑作かと思った。
しかし、後になってこの認識は改める事態になる…。
その事実を知った瞬間、予想はしていたが「やっぱりな」と思ってしまった。
一つの商業作品として、成立させる為に裏では相当な問題が起きていた。



その事について後で触れる。
まず、僕が観た「劇場公開版」について話したい。
先にも言ったが実写シリーズに関して予備知識は無かったが、「パトレイバー」というシリーズへの思い入れはあった。
ハッキリ言ってしまうと、本作は劇場版アニメ1と2を絶対に観ておく必要性がある。
特に押井監督にとって真の最高傑作とも言われる、劇場版「2」に関しては絶対に観ておく必要がある。
言ってみるならば、この「劇場公開版」はその「2」の実写でのリメイクであり、更にはその続篇とも言える作品になっていた。
この辺りに関して、多くのファンから賛否両論を呼ぶ結果となったと推測出来てしまう。



11年前に柘植とそのグループが起こした「幻のクーデター」。
甚大な被害を出しながらも、特車二課の“超法規的活躍”によって事件は解決された。
しかし、自衛隊から盗まれた最新鋭の戦闘ヘリ「ゴースト」によって再びレインボー・ブリッジは破壊された。
人々の脳裏をよぎるのは、他でもなく柘植達の起こした「幻のクーデター」。
あの時以上の悪夢を生まない為に、人々は柘植の意志を受け継いだテロ・グループの摘発に躍起になる。
そこには「日本」という社会の抱える矛盾や、権力者達のエゴや思惑が複雑に絡み合っていた…。



その辺りの社会批判、又は思想的なやりとりはマイルドに包まれている。
事件を追う公安の高畑警部と二課の後藤田隊長との会話、首都・東京を彷徨う情景によって語られる。
台詞回しや、都市という実は孤独な空間を彷徨う描写に押井監督の持ち味が生きている。
本作ではオリジナルの初代を「先代」と称し、偉大な存在として崇めている傾向が非常に強い。
それは本作の主人公となる、「無能」と呼ばれる現在の二課の面々との対比として明確になっているのもある。
しかし、「先代」を必要以上に有能…と言うよりも「脅威」として描いているのは他にもある。
ソレが事件の鍵となる存在として、他でもなく南雲しのぶが登場するからだ。
南雲の存在と彼女の発言は、本作の真の主人公とも言える後藤田隊長に大きな葛藤を呼び起こす。
それと同時に、権力側である警察内部にとっては柘植以上の脅威として描かれる。
そして状況の悪化と共に、後藤田隊長は「二課の遺産」と言う呪いと向き合い決断を下す。



ドラマとして「静」の展開が多い、従来の押井作品ならここで唐突にクライマックスに突入しただろう。
この「劇場公開版」が今までの押井作品と異なるのは、随所でしっかり「動」のアクションを絡めている事だ。
小野寺率いる決起隊による襲撃、そしてレイバー無しでの二課の決起隊アジト突入。
更には後半、謎のヒロイン・灰原零操る「ゴースト」による都市破壊。
または空自の戦闘機や戦闘ヘリとの空中戦を描く事によって、作品が実に判り易い形で緩急が付いていて観やすい。
自衛隊の協力を得ての撮影なので、ゴーストによって戦闘機が派手に撃墜される事はなかった(苦笑)



ただ元同僚達の乗る戦闘ヘリとの空中戦では、しっかりと一機だけとは言え撃墜して都市に墜とす展開は良かった。
小野寺率いる決起隊、そして灰原に関する描写が少なかった。
テロリスト集団なので、詳細に描く必要はないのかもしれない。
ただ柘植に心酔し、その意志を引き継ぐ形で決起隊を組織した小野寺。
素性は語られないが、小野寺も多分自衛官でしょ?
他の隊員も素人ではない訳だし、彼らに関してもっと突っ込んだ描写があっても良かった。
最後の最後まで謎に包まれた、得体の知れない不気味な殺戮マシーンである灰原(劇場版1の帆場に通じる)。
非常に良いキャラだったので、もう少し何らかの情報を描いても良かったのでは?と思った。



本作の秀逸なポイントとして、ありがちな「日本映画だから…」とガッカリする描写が少なかった。
予算や制約は一杯あったかと思うが、実に上手くやっていたと思う。
実物大のイングラムだけでなく、本作ではゴーストまで製作した事。
先にも上げた都市破壊や自衛隊機との空中戦。
あと銃器の使い方や、対人アクション描写の巧さにも唸った。
特に中盤のハイライト、決起隊アジトへのレイバー無しでの二課突撃のシーンだ。
一連の銃撃戦や、カーシャを演じた太田莉菜嬢の格闘術と銃器の扱い方は見事だった。



蘊蓄をたれるのは良いが、実際に「画」にすると間抜けになってしまう事が日本映画では多かった。
要は監督やスタッフがガン・マニアってのもあるが、アクション演出にマニアックさだけでは難しい。
撮り方やカット割り、アクション自体の見せ方を含めてセンスが物を言う。
早過ぎてしまうと何やってるか判らないし、これ見よがしに「凄い事やってます!」とやると観る側の鼻に付く(苦笑)
無駄なく、実にスマートな実戦的なアクション描写はアクション監督の園村健介氏のセンス。
あとアクション素人だったという、太田嬢の頑張りによってもたらされた賜物かと思う。
はい、私は太田莉菜嬢に心を奪われました(笑)
あとカーシャだけでなく、ゴーストのコクピット内で何の躊躇も無く唇を笑の形に歪めて殺戮を繰り広げる灰原(「排除する」という台詞が怖い)。
ユーモアを見せながらもテロリストへの非情さ見せる高畑警部、天性の勘を生かして一撃必殺の戦いを挑む泉野。
そして事件の中心にありながら、後藤田隊長に「本当に酷い人だ」と言われる南雲。
この作品に登場する女性は皆強くて美しい、コレも押井監督の趣味全開ではないでしょうか?!



そして訪れる怒涛のクライマックス。
シゲさんが「しっかり稼働出来るのは3分だけ!」とフォローを入れています。
観る側も、ここで『パシフィック・リム』的なロボット・アクションは期待はしていません。
だって監督が押井さんだから(笑)
その証拠に2号機はあっさりゴーストに破壊され、橋から転げ落ちて退場してしまいます(苦笑)
しかしアニメの劇場版「2」よりも、本作の方がしっかりロボット・アクションしてました。
稼働停止したイングラムを外部から緊急稼働させ、モーショントレーサーを使っての一撃必殺の戦いへ。



おまけにカーシャだけでなく、高畑警部まで機関銃を持ってゴーストを撃墜しようとするのです。
もうコレだけで燃えないでしょうか?(自嘲)
そして彼らはチームとして、怪物のようなゴーストと灰原に一先ず勝利を得る事が出来ます。
この時に見せる、各キャラの笑顔が印象的でした。
個人的には後藤田隊長にメガネを取って、笑顔を浮かべながら敬礼する高畑警部の姿が胸に焼き付きました。
事件を解決したのは二課という事となり、これでまた「遺産」により二課の解散は免れるのかと思います。
しかし物語は不穏な要素を残したまま、エンディングを迎えますが…。



凄く面白かったです。
確かに「一見さん、御断り」の要素は非常に強いです。
でも僕は凄く本作を楽しめました。
「パトレイバー」云々を抜きにして、日本映画特有のガッカリさが無かったのも大きいです。
予算や制約の多い中で、よくここまでの作品が撮れたと思います。
細部に関して、もう一度良く堪能したくてまた劇場に通うつもりでしたが…。
ネットでは既に噂になってましたが、昨日正式に「未開の27分のシーンを追加したディレクターズ・カット版」の公開が発表されました。
まだ本作が公開中なのに…。
てっきり僕はソフト化された時、その「ディレクターズ・カット版」も一緒にソフトに収録されるかと思ってました。
おまけに27分もの未公開シーンって?
何ソレ!?
10分追加するだけで、作品の印象がガラッと変わってしまうのに。
約30分もの追加となると、僕が観た『パトレイバー 首都決戦』とは全く異なる作品になる可能性も高い訳です。



まだ本作が公開中に、ディレクターズ・カット版の10月10日公開発表はマズいと思う。
これから行こうと思っている人も多い訳だが、10月にディレクターズ・カット版の公開があると判ると興行にも影響があるだろう。
ましてや僕みたいに数回観よう、また既に数回本作を観た人にとっても厳しい。
押井監督は悪びれもせず「プロデューサーと揉めた」と言うが、先に言った様に本作が実にテンポ良く小気味好い作品に仕上がっていたのは…と疑いたくなる。
押井監督の本来作りたかった『パトレイバー 首都決戦』とは何なのか?!
パンフレットを見れば本編に登場していないシーンもあるし、アクション・シーンに関しても尺の都合で泣く泣くカットしたとある。
間違いなく熱海への慰安旅行、そこでのチンピラとの大ゲンカ。
二課と整備班の日常描写と食事シーン。
高畑警部と後藤田隊長の会話シーン。
決起隊アジトへの突撃シーンでのアクション・シーン。
またバッサリと省かれている印象を受けた、小野寺率いる決起隊。
そして灰原のシーン等の追加は期待出来るし楽しみでもある(苦笑)。



しかし、まだ本作上映中にこの様な事態は観る側を完全になめていると思う。
こんな事をしていては、結果的に劇場に人は来ない。
最終的にはソフトを売りたいのかもしれないが、高い代金を払って90分の予告編を観た事になってしまう。
結局「ディレクターズ・カット版」も10月に観に行くのかと思う(自嘲)
これは先の「劇場公開版」である、『パトレイバー 首都決戦』を楽しんだ者としては残念としか言えない。
こんな興行スタイルは健全ではない、いずれ大きなしっぺ返しを喰らうと思う。
御大ジョン・カーペンターの言葉が重く響く。
「劇場公開版こそ、ディレクターズ・カット版である。」
非常に複雑な気持ちになった、作品が面白かっただけにまだ整理が出来ない自分がいる…。

「本当にヒドい人だ…。」