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ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

電人ザボーガー

2011-10-22 20:32:36 | 映画
遂に『電人ザボーガー』を観ました!

子どもの頃に大好きだった作品であり、観る前より思い入れの激しさと期待でパンパンに腫れ上がってました。

逆に思い入れや期待が激しくて強い故に、観た作品を冷静に観れなかったり、又は期待を裏切るような作品だったらどうしよう?…という不安も抱いてました。
様々な複雑な思いを抱いたまま劇場に行った訳だが…。



何の事はない、コレは間違いなく素晴らしい傑作でした!
子どもの頃に大好きだった作品が、その古さを内包しつつ新たな時代に見事に再構築された事に素直に素晴らしいと感じました。





(基本的にはネタバレ御免!!)





新世紀に生まれ変わった『ザボーガー』は前半が70年代を舞台にした「青年期」、そして現代に舞台を移した「熟年期」の2部構成。

観る前はどちらかと言うと、あの板尾創路を主人公・大門豊に迎えた「熟年期」がメインになると思ってました。
しかし、実際に本作を観ると前半・後半のバランスが見事に均一だったので驚きました。



前半の「青年期」。
もうコレが見事なまでに、70年代のTVシリーズを完全かつ忠実に再現しているのもポイント。
それは非常に感動的でもあったエンド・ロールを観れば一目瞭然、ある意味偏執的なまでのオリジナルへの愛とリスペクトを感じます。



古原靖久くん演じる青年期・大門を観て「やり過ぎだろう」と感じるかもしれない。
でもアレは、忠実にオリジナルの故・山口暁氏のハイテンションな演技とアクションを忠実にコピー(あの怪鳥音と視線のやり方は凄い!)している。
前半をこの時代遅れの熱血直情バカ主人公をメインにして、実は正統派の語り口で大真面目にヒーロー活劇にしているのが効果的。

だからこその後半。
失意により無気力と化した熟年期・大門の、あまりのダメな落ちぶれ方からの復活がより感動的に描かれていく。
板尾さんが大門を演じる事により、確かにコント臭を感じて笑いを誘う。
しかし無気力で脱け殻となっていた大門が、ヒーローとして力と輝きを取り戻していく終盤の展開が更に際立つ巧みさに唸ってしまう。



ここに監督・井口昇の凄さを感じた。
思えばスカトロ・変態系監督である彼が、今や日本映画のメジャー配給でヒーロー大作を撮った事も素晴らしい事でもある。
製作側の「より幅広い層へのアピール(家族で観れる作品)」という意図もあるが、随所にこの人特有の毒々しいブルータルさは散りばめられている。
ただ敢えて言わしてもらうと、もう少しエログロ&残酷描写が効いていた方が個人的には良かった。
まぁ~コレは個人の好みの問題でありますが…(自嘲)。

あと個人的に最も印象的だったのが、山崎真美嬢が演じたミスボーグ。
山崎嬢の可憐さと見事なスタイルにより、映画版のミスボーグはオリジナルよりも圧倒的に美しくエロいキャラクターに変貌している。



女性の撮り方が美しくて秀逸なのも、自身の内面に屈折した「少女性」を持つ井口監督らしさでもあります。
親子で観に来ていると気まずくなる要素を多分に孕んでいるが、それが良いとも言える(笑)。



例のキス&ラヴ・シーン(触手プレイ→それが娘にもメモリーとして引き継がれている!)も強烈。
それ以上に刺激的だったのは、悪ノ宮博士に折檻されるシーンの生々しいエロさは井口監督の本領発揮とも言える。
井口演出もインパクト充分だが、山崎嬢の女優魂を感じる気合いも天晴れ。

更に本作は、とにかくキャストの熱演が素晴らしい。
よく本作に出演したと思える、名優・柄本明氏の大怪演(クライマックスでクンフー・アクションまで決める)。
巨大殺戮兵器となる運命を背負った、ヒロイン・AKIKO役の佐津川愛美ちゃん(ほぼ半裸で巨大ロボ化して大暴れ)も実に秀逸。



個人的には新田・中野・松江の元刑事たちが、解雇されて落ちぶれ全てを失った末に結成した「ニコニコ同盟」。
そんな彼らがクライマックスにおこす、あの“奇跡”と名台詞(渡辺裕之はスゴい!)に涙腺が木っ端微塵に破壊されてしまった。
彼らの存在と活躍にこそ、社会からはみ出してしまった行き場を失ったアウトサイダー達の悲哀。
そして全てに絶望しながらも絶対に希望を失わないと言う、本作の持つ力強いメッセージが具体化されている様に感じた。

最後にザボーガーについて。
ワンカットで変型する姿は、そこは日本のアニメ的ながら凄い。
もう滅茶苦茶カッコ良かったです!
オリジナルを生かしつつ、現代的にリファインされたデザインは最高!!



ただバイクの時。
大型バイクではない迫力不足(それもオリジナル通りながら:苦笑)を感じてしまう。
それは昔とは違って、今の日本では法律によって一般公道を走れない事。
何より井口監督自身から「コンパクトに」というリクエストがあった事を踏まえての処理だと知って妙に納得。



そしてロボットとなった時。
『トランスフォーマー』以降、CGIによるロボット描写が当たり前になった今。
CGIを大胆に導入しつつも、基本は「スーツ」に拘っているも良い。
金属的で重量感たっぷりながら、あれだけ動ける事に驚きました。



個人的には、昔から「ストロング・ザボーガー」が大好きでした。
本作では終盤にしっかり登場した事が嬉しかったし、何よりもオリジナル以上に厳つく壮絶な重武装ぶりには感激しました。
滅茶苦茶「超合金」が欲しいです。




とにかく本作は熱くて燃える作品です。
男泣き必至です。
頭で考えるのではなくて、心と魂で感じる作品であります。
今年もそれなりに日本映画を観てきたものの、ここまで全てを超越した突き抜けた面白さも持った感動的な作品が観れる事実は嬉しいです。

作品を観ようか観まいか迷っている方がいるなら、是非劇場にて本作の持つ凄まじくも素晴らしい衝撃を体感して欲しいと勧めたいです。


「愛するが故に俺はお前を破壊する!」


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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特殊鋼SLD-MAGICファン (すごい未来)
2025-06-26 15:40:11
最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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