そして2日目。
雨。
会場に着いて、傘の場内持ち込み禁止ってのは判ります。
ただ、その傘の保管と管理を見て絶句したのは事実です(苦笑)。
入場して、早速アリーナへ。
ほぼ定刻通り、METAL CLONE Xが登場。
言わずもがな、あのマーティ・フリードマンさん(G)による“新プロジェクト”(笑)。
ももクロのメタル・アレンジとか、Voがフレディ(CHTOHNIC)とか色々ありますが…。
この日は突如現れた八代亜紀さんの登場によって、もう全てぶっ飛んでしまいました。
場内はバカウケ、楽しかったのでそれで良いです。
続いてBREAKING ARROWSが登場。
元SIAM SHADEのDAITA(G)が新しく結成したバンド…らしい(苦笑)。
何と言えば良いのかな?
確かに演奏はしっかりしているものの、観ていてコレと言った“個性”を感じなかった。
そう思ったのは会場も同じだったのか、さっき良くも悪くも上がった空気が急に醒めたのも事実。
ゴメンなさい、退屈でした。
そしてENFORCERが登場。
早くも前半のハイライト、場内の盛り上がり方が凄い。
場内から「ENFORCER!」コールが轟く。
なるほど、コレだけ人気があるのも判る正統派ヘヴィ・メタルを演っている。
ソレを若々しい勢いとパワーでゴリゴリを押して来る。
聴いていて、非常に心地良くてカッコ良い。
日本人好みだと思いました。
Vo兼Gのオロフ・ヴィクストランド。
ルックスも良く、ややヒステリックなハイトーンの歌とメロディアスなギターも良い。
この人の存在感はバンドのブレイクに大きく影響しそう。
普通にカッコ良いです、日本のメタル・ファンの熱狂的なリアクションが全てを物語っています。
良いバンドだと思います。
続いてMOKOMA。
これまた大ウケ!
メンバーが良いキャラクターであり、楽曲・パフォーマンス共に充実している。
ただ観ていて楽しいが、個人的には好みではない(苦笑)。
今後、更に日本で人気が出るでしょうが僕の守備範囲のバンドではない…と思いました。
AMORPHIS。
前のMOKOMAが大ウケだったのに対し、今一つリアクションが鈍い。
ある程度予習していたが、北欧らしい哀愁漂うメタルは悪くないと思った。
何よりグロウルとクリーン・トーンを見事に使い分ける、トミ・ヨーツセン(Vo)の存在感が良かった。
良いバンドだと思いました、初めて観たライヴでしたがファンになりました(笑)。
そしてランチ・タイム。
マグロ・ユッケ丼、美味しかったです。
お腹も一杯になりアリーナに行くと、何かと話題のBABYMETALがステージに上がってました。
アイドル云々で否定する訳でなく、話のネタとして観るには充分楽しかったです。
ただ彼女達って、まだ10代の女の子達でしょ?
リードVoの子は凄く高い声(歌も巧かった)で唄ってましたが、今からあんな風に唄っていると喉を痛めると心配になった。
かつての某アイドル・グループではないが、10代の頃の無茶な歌唱により声が出なくなったと言う話は良く聴きます。
身体に気を付けて、今後も頑張って欲しいです。
続いてTRIVIUM。
先日リリースされた最新作、コレが非常に素晴しい作品だった。
それもあってか、ファンからのリアクションも熱狂的。
そんな観客のリアクションを見て、キイチ君(Vo&G)が嬉しそうな笑みを浮かべながら唄いギターを奏でる。
最新作を聴いて思ったが、キイチ君の「歌」の巧さが良い。
フロント・マンとして、凄く貫禄も出て魅力的に観えた。
あと日本人のハーフなので、日本語のMCが流暢だったのも良い(「斬り捨て御免!」の発音が更に良くなっていた:笑)。
そんなキイチ君だけでなく、最新作を聴いて感じたがバンド自体が更にスケール・アップしたのも感じた。
新世代メタル・バンドの中でも、キイチ君のシンガーとしての向上はバンドにとって今後大きな武器になる筈。
個人的に観ていて印象深かったのが、パオロ・グレゴリートのベース。
超絶技巧に加えて、ステージでのカッコ良さにも痺れました。
非常に良いライヴでした、かなりカッコ良かったです。
そしてSPIRITUAL BEGGARS。
所謂、「アモット枠」ってヤツですね(笑)。
TRIVIUMの熱狂的なライヴの後だったので、正直ステージ前は少し寂しい感じがしたのも事実。
しかし良い意味での「場違い」は雰囲気も、フェスならではの楽しみだと思う。
とにかくマイケル・アモットのギターが放つ求心力は凄い!
このバンドでは、もう思いっきりマイケル・シェンカーしているのも良い。
あと徹底した「オールド・スクール」な演奏スタイルも、非常に心地良くて同時にスリリングでもある。
シンガーのアポロ・パパサナシオ。
コレだけ技術もあって華のあるプレイヤーに囲まれれば、その存在は下手すれば地味になる。
その中にあっても、自身の歌唱力によって観る側を惹き付けるアポロの存在感は光っていた。
ちょっと疲れたので自由席に移動。
そこからSTRATOVARIUSを観る。
結論から言ってしまうと、コレが実に素晴しかった。
実は個人的には彼らの事はあまり好きではない(苦笑)。
周りのから「絶対好きだと思う」と言われたが、何か今一つ好きになれなかった。
しかし、この日初めて彼らを観たが素晴しいライヴだったと思う。
TRIVIUMの時とはまた違う、熱狂的なリアクションを受けていた。
観ていても、そのスケールの大きいパフォーマンスには感銘を受けた。
前日のANGRAやEUROPEと同じく、良い楽曲・良いパフォーマンスがあれば素晴しいライヴを堪能出来る事実を再認識した。
続いてLAST IN LINE。
前日になって、ジミー・ベイン(B)の欠席が発表された(理由は不明:苦笑)。
このプロジェクトの発起人であるヴィヴィアン・キャンベル。
DIOのトリビュート・バンドであるDIO DISCIPLESに対して、かなり批判的なコメントを出していた。
早い話「俺達こそが本物!」という趣旨だが、彼が言いたい事も判る(実際に作曲して演奏もしているから)。
それがジミー・ベインが不在ならばDIO DISCIPLESへの批判も無意味、やはり故ロニー抜きのカヴァー・バンドでしかない。
もっと悪い言い方をすれば、自身が批判した様に「DIO」の遺産で小遣い稼ぎしているのと同じだろう。
確かにクレイグ・ゴルディよりも、ヴィヴィアンの弾く楽曲の方が圧倒的に「何か」があったのは事実。
しかしファンだった者として、観ていて複雑なモノを感じてしまう。
ましてやジミー不在で、「本物」と主張されても説得力に欠ける。
シンガーのアンドリュー・フリーマンの歌は良かった。
確かにロニーに似てないと思うが、あの圧倒的な声量と歌唱力は亡き御大を充分に彷彿とさせた。
ただ観ていて一番感銘を受けたのは、やはりヴィニー・アピスのDr。
その凄まじいまでの轟音は、BLACK SABBATH~DIO~HEAVEN & HELLで故ロニーと共に活動してきた彼だけが持つ「特別な何か」だ。
そして急遽大トリに昇格したYNGWIE MALMSTEEN。
彼の登場が、今年のLOUD PARKをある意味衝撃の『伝説のライヴ』に変貌させました。
毎度の事ながら音響、初日は最悪でした。
ただ2日目は明らかに改善されてましたが、やはりトラブルは多かった(AMORPHISの時には一瞬音が完全に途切れた)。
そのトラブルがよりによって、ヘッドライナーのイングヴェイの時に大事件となります。
事の始まりはサウンド・チェック。
噂通り壁の様にマーシャルのアンプが積まれるものの、ずっとノイズが鳴り続ける。
ギター・テクが必死に調整するも、そのノイズは直る事なく鳴り響いてました。
出演時間がとうに過ぎても、何も改善される事もなく耳をつんざく様な高周波まで大音量で鳴り始める。
機材の不調らしいが、改善される事が無いままイングヴェイはライヴを強行スタート!
しかしノイズは止まらない。
イングヴェイ自身が機材をチェックするも改善されない、何とか持ち直して再び演奏再開。
今度はギターに気を取られていたせいか、肝心のVoのマイクの電源が入ってない?!
歓声は一瞬にして消え、場内に異様な空気が漂い出す。
ちなみに現在のイングヴェイのバンドのメンバーは…。
Vo.Key:ニック・マリノ
B.Vo:ラルフ・シアヴァリーノ
Dr:パトリック・ヨハンセン
事前にネットの動画でニックやラルフの歌の巧さをチェックしていたので、観る時も左側にいました。
ここから今話題のラルフの出番となります(笑)。
もはやノイズの渦の中、演奏は完全にストップ。
クルーが必死に機材の修繕に入って、イングヴェイもギターやアンプのチェックをしている。
シ~ンと静まり返る会場で、ラルフが場をつなぐ為にMCで観客とコミュニケーションをとる。
演奏前、ステージでニックと楽しそうに写真を撮り合いっこしていた事を思うと彼の心中も必死だった筈。
何とか機材が持ち無したので、再び演奏スタート。
普段なら派手なアクションばかりで、ライヴでの演奏が荒くなり気味のイングヴェイ。
しかし、この日は一音一音確かめるように演奏して、しっかりギターが鳴った時には安堵の笑みを浮かべているのが判った。
でも、また再び機材が不調になり一体何を演奏しているか判らなくなってしまう。
その度にクルーが袖から飛んで来て演奏はストップし、ラルフがまたMCで場をつなぐ。
もしコレが普通の「バンド」ならば、こう言ったトラブルがあった場合は他のメンバーが何かソロや違う楽曲をアドリブで演奏して窮地をしのぐ。
ただ、彼らはあくまでも「イングヴェイのバック・バンド」。
そう言ったフォローは出来ない、せめてラルフがMCで何とか観客に話しかけるのが限界。
一つ上手く行くと、今度は別の何かがトラブルを起こし、ラルフがフォローに入るコントみたいな状態が続く。
ニック・マリノの歌の巧さは、もうKeyを兼任する必要でないのは判ってます。
こんな緊急事態のトラブルには弾き語りで“Dreamking”を演奏したりするでしょう、普通の「バンド」だったら。
しかし彼らがいかに“特殊なバンド”であるか、こういったトラブルからも判ってしまう。
ソレが許されないのだと…。
ラルフ自身がそう言ったように、全ては「マエストロ=イングヴェイ」の為にあるから。
中盤、何とか機材が持ち直して再び演奏スタート。
機材のトラブルの影響か、音響もガタガタの上に爆音で一体何を演奏してるか判らなくなる。
変な言い方をするが、こんな状態でも良くイングヴェイはプレイを続けたと思う。
内心、いつブチ切れてステージを降りて中止になるかヒヤヒヤして観ていた。
ファンからの「イングヴェイ・コール」や、暖かい声援や手拍子があったのも事実。
ソレを導いたのはラルフの奮闘による部分は大きい(イングヴェイがレコーディングした無茶なベースを完全に演奏出来るテクニシャン)。
イングヴェイも本当はキレていただろうが、フェスのヘッドライナーという意地が彼を演奏に駆り立てたのかも?!
もう何を、何曲演奏したか判らない(名曲“Hiroshima Mon Amour”もチラっとプレイ)状態だった。
それでも一応、ラストで“Heaven Tonight”を演奏してイングヴェイとバンドはステージを降りた。
アンコールを求める拍手に応えて、イングヴェイが登場した時には本当に驚いた。
そんなイングヴェイ…否、バンドやファンに応えるかのように今までのグダグダが嘘のように“I’ll See The Light Tonight”が完璧に演奏された。
ニックのメタル・シンガーとしての巧さに感銘を受けた。
その後、今日の鬱憤を晴らすかの様にイングヴェイは大暴れする。
そしてギターを叩き付けて破壊し観客席して投げ込み、バンドのメンバーと深々とお辞儀をしてステージを去って行った…。
「ニッポン、イチバン!」と言ったイングヴェイ、それは彼の本心だと思います。
このライヴに賛否両論はあるとは思うが、何とか最後まで演奏し続けたイングヴェイとバンドを賞賛したいと思います。
そして今年のLOUD PARKは終わりを告げました。
凄まじい「伝説」を作って…。
今年のLOUD PARK、色々と言いたい事はあります。
例の「キング様事件」、キング様側からも声明を発表されましたが…ファンとして余計複雑な思いになるだけでした。
物販や音響の問題も、相変わらず改善すべき点が全くされていないのもどうかと思います。
あとクリマン側の対応が悪いからと言って、ファン側の態度の悪さも見て良い気分はしませんでした。
再入場の際にリストバンドを見せる時、係員に殴り掛かるような仕草で威嚇したり暴言は吐いたり、酒を飲んで暴れて周りのファンに迷惑をかけたり。
楽しみ方は色々ありますが、やはり気持ち良くメタルを楽しみたいです。
とは言え、やはりメタル・ファンは「LOUD PARK」に参戦すれば絶対に楽しめます。
また来年、その楽しみを体感出来るのを心から願っています。
ヘヴィ・メタル、最高!!