仕事帰りに『13日の金曜日』を観る。
本作は今やスラッシャー系ホラー映画の“古典”となった、かの『13日の金曜日』のリメイクであります。
リメイクしたのが先に映画史に残る最高傑作『悪魔のいけにえ』の、傑作リメイク『テキサス・チェーンソー』を作った、製作マイケル・ベイ師匠と監督マーカス・ニスペルと言う「極悪コンビ」。
もうホラー映画ファンとしては、観る前から作品への期待が高まる一方でありましたが…。
まず結論から言うと、今回のリメイク版『13日の金曜日』は非常に良く出来たホラー映画だったので安心しました。
(危険:ネタバレ・マチューテ炸裂!)
もうファンなら知っている事ですが、オリジナルの1作目には我々の知るジェイソン(ホッケー・マスクをした不死身の殺人鬼)は登場しない。
しかし、オリジナルのリメイクを詠った本作、コレを一体どう処理するか?と言うポイントが注目でした。
何と本作はオープニングの5分で1作目のクライマックスを完全リメイク!
更にタイトルが出るまでの20分で、2・3作目のリメイクをやってのけると言う「荒技」を華麗に決めてくれました!!
コレが実に素晴らしく、同時に痛快でもありました。
それ以降はリメイクと言うよりも、完全な「オリジナル」又は『13金』シリーズの新たな「新作」と言っても良い物語の展開します。
個人的ファンにはオリジナルのリメイクと言うよりも、シリーズの前半(1~4)の要素が強い言う印象を受けます。
お約束通り、そこに待ち構える惨事など知らず、無節操にSexに耽り、ヤクでラリったバカな若者達がクリスタル湖付近にやって来ます(笑)。
さすがマニアのツボを心得たベイ師匠、本作における女優の露出度の高さ、エロさはシリーズ屈指ではないでしょうか?!(爆)
そんな若者達を、ジェイソンは無慈悲に次々と惨殺してくれます。
ただ、本作におけるキーワードかもしれませんが、ジェイソンは「不死身の殺人鬼」ではなく、あくまでも「人間」として描かれています(ルックス的にはシリーズ屈指のカッコ良さ!)。
やたら巨大ながら俊敏で、超人的にタフさと怪力を誇っていますが、本作のジェイソンは「人間」であります。
被害者から思わぬ反撃を喰らえば怯むし、切ったり刺されれば血を流し、ヒロインに亡き母の面影を追ったりもします。
それが本作の重要なポイントです。
あと物語も、「人間」としてのジェイソンを描く事により、思わぬ“捻り”が効いており、終盤からの展開は観る者の予想を見事に裏切ってくれます。
さて、噂では残酷描写に拘り、リテイクを重ねて本作の完成が遅れたて言われました。
『テキサス~』を観た者としては、ニスペル監督の凄惨かつエゲつない残酷・グロ描写に期待が高まったのですが…。
コレが良くも悪くも、忠実に「80年代のスラッシャー系ホラー映画の再現」であった為に、『ホステル』・『ソウ』シリーズが普通になったホラー・ファンには、今一つ刺激が足りない…ってのが本音。
あと個人的にちょっとガッカリしたのが、ラストでジェイソンの素顔が曝されなかった事。
劇中、何度もそのフリーキーな素顔は臭わされるのですが、やはりラストでド~ンとやって欲しかった。
とは言え、更に磨きのかかった映像美と、恐怖・ショック演出はニスペル監督の本領発揮でした。
もはや従来のシリーズを知らない若いホラー・ファンにとって、本作は充分に怖くて、エグいホラー映画の新たな傑作になるかと思います。
しかし、今回何故パンフレットを映画会社は作らなかったのでしょうか?!
完成が遅れた事も影響しているのかな?…本作が良かっただけにファンとしては残念でした。
何はともあれ、久々にバカながら怖いホラー映画を堪能しました。
もう「彼」の事は放っておいて欲しいわ…。