ダンナのぼやき

あられダンナの日々のぼやきです。
色んな事を思い、考えぼやいてます…。

THE ISLAND

2005-11-30 17:56:08 | 映画
今日は仕事がお休み。
そんな訳で、ずっと観たかったマイケル・ベイ師匠の最新作『アイランド』をレンタルして観る。
本作に関しては良くない話題ばかり先行していた。
全米のサマー・シーズン公開の超大作としては興業的に大コケしたとか、製作者側に盗作疑惑が持たれとか、いつもの事ながらベイ師匠の作品には何かと“いわく”が付いて回る。
当の僕は本作を観るか、あの『亡国のイージス』を観るか散々迷った結果、本作をパスし『亡国~』を観てガッカリした経緯がある(笑)。
そのガッカリした思いは、本作を観て「映画館で観れば良かった」と更に後悔に拍車をかけてしまった。
本作は理屈抜きで面白いのだっ!!
物語としてはまんま『ソレイト・グリーン』や『THX-1138』的な内容(笑)、徹底的に管理された社会にあってそれに疑問を持った主人公が知る恐ろしい現実とは!?って感じだろうか。
もう予告編等で散々ネタバレしているので言ってしまうが、主人公達は実はクローンである。
オリジナルに健康な肉体や臓器を提供する為に生かされている商品であり、タイトルの“アイランド”行きは彼らの死を意味していた、本作はその真実を知った主人公達の逃避行を描いている。
SF映画的に使い古された感じがするクローンと管理社会ネタだが、ベイ師匠は己の最大の個性とも言える嫌味なまでにスタイリッシュな映像で描いている。
ベイ師匠にしては悪趣味な残酷・グロ描写が控え目なのが残念だが、相変わらずのスケールのデカい破壊と爆発の描写には“らしさ”が充分に発揮されている。
怪作『アルマゲドン』にてSFセンスの無さを指摘されていたが、本作では「俺でもSF映画は撮れる!」と言いたげに、あの『マトリックス』辺りを意識した雰囲気が笑える。
施設を逃げ出した主人公達が、現実社会に戸惑う描写をもっとイジっていたら、中盤以降の展開も更にドラマティックになったかと思う。
クローンが新たなクローンの世話をすると言う描写や、クローンが解放される結末も、決して安易なハッピー・エンドではなくブラックで皮肉めいたものを感じる。
良くも悪くも非常にスケールの大きな作品であり、ベイ師匠の今までの作品の中では『ザ・ロック』以来の傑作かもしれない。
ベイ師匠らしく細かい突っ込み所は満載だが充分に面白く良く出来た映画だ、ベイ師匠の次回作実写版『トランスフォーマー』の完成が楽しみになってきた。


ホムンクルス

2005-11-27 17:30:29 | アニメ・コミック
結局、精神的に凹んだまま週末を過ごす。
自分の精神的な脆さに自己嫌悪に陥るも、何にもする気になれずダラダラと週末を過ごした感じがする。
楽しみにしていた『SW EP-3』のDVDもロクに観ていない、久々に自分でも「コレは重症だな」と実感している(笑)。
そんな中『ホムンクルス』と言うコミックを借りて読んだ、いや~久々に心が震える位に強烈なコミックだと思った。
この『ホムンクルス』の内容は元超エリート・サラリーマンであり今はカー・ホームレスとなった名越が、金に困り得体の知れない青年・伊藤が提案した“トレパネーション”と言う頭蓋骨に穴を開ける人体実験を受ける事から物語は始まる。
名越はこの“トレパネーション”によって、左目だけその人の内面が見えてしまう能力を得てしまう。
名越が左目で見る世界では人が異形の怪物と化したおぞましいモノばかり、その中で名越は己の正気と向かい合いながら怪物と化した人と近付いていく…。
物語はまだ継続中なんでどんな結末を迎えるか全く予想が出来ない、遂に“一線”を越えた名越を待つ結末とは何なのか興味が尽きない。
それにしても作者の山本英夫の才能には驚かされる。
この人の描くコミックの大半は大抵異常な人の心理であり、狂気を内包した心の闇ばかりである。
大好きな『殺し屋1』も凄かったが、この『ホムンクルス』の持つ狂気と闇はそれを軽く凌ぐ壮絶さである。
車の教習中に、教官から人の“利き目”の話をされたのを思い出す。
人には左右の利き手がある様に、実は両目“利き目”なるものがあるのだ。
それは実に簡単なテストで判るが、僕の場合“利き目”は『左目』である事が判明した。
物を書く時、飯を空時は右手だが、映画館で映画を観る時、ケイタイでメールを打つ時、そして車を運転する時は“左”側である…。
それがどうしたって話だが、これと言って全く関係は無いだろう(笑)。
人の脳細胞はその半分も機能していないと言う、今の僕は更に脳の機能は低下する一方だと言える(苦笑)。
本当に凄いコミックだ、久々に早く続きが読みたいと思った…。 

Tapestry~キャロル・キングに救われた夜

2005-11-22 22:28:32 | 音楽
前向きに、クリエイティブに一週間を迎える筈だった。
自分の思った様に物事は進まないのは当然だが、どんなに自分が理性的であっても、何らかの理不尽な事が起きると事態は大きく変貌してしまう。
正直、かなり凹んでしまった(苦笑)。
こんな塞ぎ込み腐った気分を救ってくれたのは、“歌姫”キャロル・キングの傑作『Tapestry(邦題は“つづれおり”)』だった。
決して澄み切った美しい声ではないが、何処か隠って憂いを帯びた湿った歌声は、聴く者の心を離さない不思議な魅力に溢れている。
すっかり冬を思わせる夜、キャロルの切ない歌声は僕の心に染みわたった…「Now It's Too Late(もう手遅れなのよ)」と。
帰り道で見た、クリスマスのイルミネーションがやたらと目に染みたのは気のせいだと思いたい。

貴方が気力を無くし
悩んでいる時
何もかも上手く行かなくて途方に暮れている時は
そっと瞳を閉じて
そして、私の事を思い出して下さい
私が貴方のすぐ傍に飛んで行くから
どんなに暗い夜でも
私が明るく照らしてあげるから…。

音楽は人に勇気を与えてくれる、そう思えるのがこんな時だ…。


走る彼女の復活!!

2005-11-20 22:58:06 | スポーツ
今日整体に行った。
以前、職業柄腰を悪くしてから、ちょくちょく整体に通う様になった。
福祉の世界では首・肩・腰を痛める事は正に“死活”問題であり、現場での仕事に多大な影響を及ぼしてしまう。
ぶっちゃけた話、首・腰を痛めた職員は現場での仕事が難しくなるのだ。
福祉の現場で働く者の大半は腰か首に“爆弾”を抱えている、現場がハードになればなる程、その“爆弾”とどれだけ上手く付き合うかが切実な問題になる。
管理職は各自の「自己管理」の問題だと切り捨て様とするが、実際問題どれだけ各自が自己管理に努力しても、業務が厳しくなればなる程「自己管理」云々の次元ではなくなる。
休職をしたり、労災申請なんてしようものなら、現場で働く者として自覚も資格が無いと糾弾される事も少なくない…。
今の福祉は決して働く者に“優しい”とは言えない、特に現場の最前線で働く者にとって厳しいとしか言えない。
僕は結局腰を悪くした事がキッカケとなり、以前の職場を辞める事になってしまった。
もう自分の身体だから仕方無いが、結果として不本意な形で仕事を辞めなければならなかった事、その事実と向き合う事は凄く辛かった…。
プロとして、責任と信頼が重要視される仕事において、現実の厳しさと現状の食い違いは大きな障害とも言える。
そんな中、今日は東京国際女子マラソンにて、あの高橋尚子が完全復活を遂げる優勝を果たした。
これは本当に凄い! 素晴らしいと思う!!
忘れもしない、僕が実家を離れて、今の家で暮らし始めて最初の朝、テレビで観たのが彼女がオリンピックで優勝した瞬間だった。
あれから数年、彼女が経験したのは栄光と挫折だった。
オリンピック候補からの落選、故障による選手としての限界説、自分の所属問題等…自分の意志とは関係無い所で、きっと苦い思いをして来た筈だ。
今回のレースも自らの故障があり、万全の体調とは言えなかった様だ。
そんな中、ありとあらゆる逆境にありながら、彼女は何も言わず笑顔で過ごしていた。
その彼女が笑顔でゴールをした瞬間、本当に良かったと心から思った。
レースの後、彼女が言った前向きはコメントも非常に感動的で素晴らしかった。
彼女は復活を果たした、同年代の自分も本当に負けられないと実感した。
整体に行き、コリまくっていた身体をリフレッシュさせた、また新たな一週間を迎える。
僕も少しでも良いから前進したい。

Pull Me Under

2005-11-15 22:35:13 | 多事争論
先日、自分のやらかした失敗を何とかフォロー出来そうだ。
実は年末にあるスクーリングの受付締め切りを、何と一ヶ月(!)も間違えていたのだ…。
来年度の春までの課題は送られて来ても、一向に年末のスクーリングに関しての連絡・詳細が無い~と暢気に構えていた。
そりゃ~何も来ないのは当然、当の本人がスクーリングの申し込みをしてないのだ、時間割等の詳細以前の問題である。
事の真実に気付いた時に、ホンマ全身から血の気が引いたのを実感した。
もしスクリーングを受けれないと、今まで何だカンだとこなした課題・論文は全部無効、おまけに次年度への繰り越しも決してタダではない訳で…。
もう自分のあまりのウカツさと間抜けをどれだけ罵っただろう、でもそんな事は後の祭りで、事は週明けまで判明せず、思いっきり落ち込んだ憂鬱な週末を過ごした。
週明け学校に連絡を取り、今日慌てて手続きに行ったが、しっかりスクーリングを受けさせてくれると判り、心底安堵したのは言うまでもない。
聞いた話では、僕の様に通信で勉強している学生の中には、結構スクーリングだけでなく、課題・論文の締め切りをうっかり忘れる人が多いのだそうだ。
働きながら勉強する事が大前提の学科なんで、学校側も締め切りに比較的寛大な対応しているそうだ。
だが、締め切り・手続きの延滞常習犯には、当然の事ながら厳しい対応を取り切り捨てるそうで、今回はともかく(苦笑)今まで全ての課題・論文提出の期日を守っていて良かったと実感した。
年末のスクーリングの正式な申請と、冬までの提出課題と論文も一緒に提出し、本当に気分的に随分楽になったと実感している。
話はガラっと変わるが、アメリカから世界平和を詠った狂信的な大統領が来日した。
よりによって首脳会談を京都でやると言う、職場が京都にある僕は何かと迷惑を被っている。
TV・新聞等で報道されている様に、今の京都(市内と一部)は正に戒厳令下におかれていると言っても過言ではない。
市内の町家を拳銃・防弾チョッキで身を固めた警官が至る所に配置されて巡回し、各通りには装甲バスが何台も停車し、空には絶えずヘリが飛んでいる…このピリピリと緊迫した空気は尋常ではない。
日本は警察と言う組織に対する信頼が厚い為、警備は警察だけだが、これで自衛隊まで参入したら、今の京都はテロの脅威に晒された戦場と化したと言えるだろう。
今何をしにあの大統領が来日したか疑問であるが、正直早く帰って欲しいと言うのが本音である…どうせ日本に文句しか言わないんだから。
穏やかな週末を迎えられる事を心から祈る…。

TRICK

2005-11-14 00:46:46 | テレビ
最近何かと失敗が多い。
つい先日も自分の確認不足で大きな間違いをしていた事が判明、自分の間抜けさを罵りながら慌てたが…週明けまで事態が変わるか判らない。
もう失意の中、この週末は何処にも行かず家に引きこもり、論文を書いたりゴロゴロと無気力に過ごす。
そんな中、TVで久々に『TRICK~新作スペシャル』を観る。
コレが非常に良く出来ており、予想以上に楽しんで観れた。
『TRICK』シリーズに関しては深夜にやっていた1・2シリーズは大好きだったが、ゴールデンになった3に関しては観ていて多少のマンネリ感を持ったのが正直な感想だ。
期待していた劇場版も何か今一つだったし、主人公を演じる仲間由紀恵嬢も大ブレイクしたので、もう『TRICK』シリーズが作られる事は無いかと思った。
ところが突然の2時間スペシャルとしての復活、よく仲間由紀恵嬢が出演する気になったと驚いたのが本音だ。
彼女にしてみれば我々が思う以上に、自分のブレイクのキッカケとなった本シリーズに対する愛着は、結構深いのかもしれない。
今回はまんま細木○子大先生をおちょくったと思えるカリスマ占い師(名取裕子)との対決だが、ネタと肝心の“トリック”があっさり途中で判ったのも相変わらずである(苦笑)。
今回も監督は堤幸彦。
一歩間違うと悪ノリとクドさだけが目立つ、細かいカット割りと独特の映像、ブラックでバカバカしい笑いが効いている。
これだけのキャストを揃えながらも、よくもこんなベタでバカバカしいギャグを臆面も無く演出出来る所に、この監督独自の毒と個性を感じる。
今回も仲間由紀恵扮する山田と阿部寛の上田教授のコンビが良い。
前半、宇宙人のミイラを“友達”と呼び連れ回す山田の可愛らしさ(コレって『ガメラ3』の自虐ギャグだよね)、中盤で得意の空手をネタにしたコント(相手は西村雅彦)を延々と繰り広げる上田教授…観ているとハマるツボは沢山あった。
堤幸彦監督の場合、こんな狂った笑いと演出が噛み合わないと、作品は見事に空中分解しダメダメになるが、今回はそれが上手く噛み合った様だ。
物語の流れがやや唐突だと思ったら、しっかりラストで2時間40分の完全版がある事、そして来年の夏に劇場版の第2弾が製作・公開される事が明らかになった(笑)。
まだまだ『TRICK』のシリーズは続きそうな気配だ、個人的には堤幸彦監督の新作『サイレン』を早く観てみたいと思った。
また一週間の始まりである、自分の気持ちを切り替えるだけでなく、しなくて良い間違いがない様に気持ちを引き締めて行きたい…。
P・S:『TRICK』のエンディングで鬼束ちひろの歌が流れないのは寂しいね…。

Gate Of Heaven

2005-11-10 02:18:42 | 音楽
先日、歌手の本田美奈子さんが急逝された。
長い白血病との闘病生活を送り、一時は病気を克服し復帰の話もチラホラ流れていた矢先、病状が急変しそのまま息を引き取ってしまったそうだ。
享年38歳、そのあまりに若過ぎる死に同世代の人間としては、凄い衝撃を受けたし言葉も出ない。
僕の世代は本田美奈子と言うシンガーが、“日本のマドンナ”とも言われたアイドル時代の活躍が印象的だった。
当時の他のアイドルとは比較にならない圧倒的な歌唱力、小悪魔的な可愛らしさ、周囲を驚かせた露出の多いセクシーなルックス…何もかもが鮮烈だったと記憶している。
時代の流れとともに彼女もアイドルを卒業し、一人の本格的なシンガーとしての活動に入るが、彼女が自らの活路を見い出したのはミュージカルの世界だった。
当時は元アイドルと言う先入観もあり、彼女も上手く周りからの理解と評価を得られず苦しんだと聞く。
それでも彼女は唄い続け、今や日本を代表するシンガーと言う正当な評価を得た、今後再び更に大きな飛躍をしようとした矢先に発病…こんなに残酷な事はないだろう。
今日病気になる前、事実上彼女の最期のステージとなった映像を観た。
フル・オーケストラをバックに、あんなに細く小柄の体から、一体どうすればあれだけの声量で唄い上げられるのか?と思わせる正に圧巻であった。
今夜は久々に眠れないので、最近買ってお気に入りのDIOの『Magica』を聴きながらこのブログを書いている。
言わずもがなDIOとは、HR/HM界の生きる伝説ロニー・ジェイムズ・ディオ(VO)が結成したメタル・バンドである。
今年も新作を出して来日し、衰える事を知らない全盛期の名曲をロニーは唄い、ファンはその昔と全く変わらない歌に魅了されたと言う。
ハッキリと判らないがロニーと言うシンガーは既に60歳を過ぎている(!)、そんなロニーが70~80年代の名曲を今も全く変わらず唄える事が正に奇跡だと言える。
特にHMと言う音楽を唄うのはシンガーにとって、心身への負担が想像を絶するものがある。
でもロニーは当時と全く同じ様に唄い、時に雄叫びを上げながらステージ・アクションを決めるのだ…これは驚異だとしか言えない。
38歳と言う若さで急逝した本田美奈子と言う天性の才能をもったシンガー、かたや既に60代半ばにして未だ衰える事を知らず現役で活躍するロニー、世の中こんなにも違う二人がいるのが悲劇としか言えない。
ロニーは以前自分の事を「僕はラッキーだ」と言った事があった、ロニーもかつての同胞達が不慮の事故や病気で突然他界していく悲劇を体験している。
この不平等な世界にあって“死”は人間には誰しも平等に訪れるものである、ただ違いがあるのならばそれが「遅い」か「早い」かの違いだけである。
ロニーはその事を自覚している。自分にいつ“死”の闇が目前に現れても、彼は後悔しない為に毎日を必死に生きていると言う。
神と言う存在が居るのなら、神は実に気まぐれで冷酷な存在であるかが判る。
人には「3つの死」があると良く言われる。
まずは肉体的な死、そして人々の記憶や思い出から忘れ去られてしまう死、その果てにあるのが完全な死だと言う。
本田さんが残した正に天使の様に美しい歌声と音楽は、「3つの死」には当てはまらず不滅のものである。
そしてロニーも唄い続ける、その超人的な肉体と歌唱力を武器に、自らの限界を目指して突き進む。
何かロニーが死にそうな感じだが(苦笑)、御大は本当に健康でいらして、ここに来てDIOにダグ・アルドリッジ(G)を復帰させたり、トニー・アイオミと曲作りもしているそうだ…正にLong Live Rock'n Rollである。
本田美奈子さんのご冥福を心よりお祈り致します、Rest In Peace…。

怒りも、悲しみも、全て“仮面”で隠して…。

2005-11-06 00:49:18 | 映画
『仮面ライダー THE FIRST』を観た。
『仮面ライダー・クウガ』から復活した一連の平成TVシリーズは、良く出来た作品が多いと思うが、それを“仮面ライダー”と呼ぶ事にファンとして少なからず抵抗があったのは事実だ。
そのフォルムがシリーズを重ねる度に、従来の“仮面ライダー”のイメージから離れて行ったのもある。
子供の頃より「仮面ライダー」が大好きだった者としてハッキリ言わしてもらえば、現在のライダー達は変身こそすれど、“仮面”を被っている訳ではない。
何らかの超自然的なパワーで変身はしてバイクに乗れど、今のライダー達は基本的に“改造人間”でもないのだ。
昭和と平成のライダー・シリーズを分けるなら、この違いが大きいと思える。
シリーズの始祖である偉大な初代“仮面ライダー”本郷猛は、悪の組織ショッカーにより改造された怪物であった。
いくら正義に目覚めたとは言え、彼が普通の人間に戻れる訳でなく、一般社会では恐ろしい怪物である、彼はその怒りと悲しみを仮面で隠して果てる事のない戦いに身を投じる…暗く重~いお話である。
“原点回帰”をテーマにこの『仮面ライダーTHE FIRST』は作られた。
だから主人公は本郷猛(黄川田将也)であり、彼への刺客として一文字隼人(高野八誠)が登場する。
彼らは悪の組織ショッカーに改造された改造人間であり、しっかり変身ベルトを巻き、仮面を被り“変身”する。
最近のTVのライダー・シリーズにはウンザリ(響鬼さんは久々のヒット!)していたが、オリジナルの1号・2号のルックスを現代的にリファインしたその姿を観た時には、正直「コレだよ、コレ!」と興奮したものだ。
作品を観る前は映画版本郷猛と一文字の配役が、黄川田と高野では逆だと思った(高野はかつての藤岡弘に良く似ている)。
だが黄川田版本郷は石ノ森先生が描いたコミック版の本郷猛にそっくりである、演じた黄川田本人が藤岡版本郷のヒーロー的佇まいから離れ、普通っぽい雰囲気を漂わせているのも良い。
高野版一文字はオリジナルの佐々木剛版一文字が持っていた気障っぽさを保ちながら、更にそこに複雑な内面を窺わせる平成版一文字隼人像を確立させている。
さて肝心の『THE FIRST』の内容だが、実に良く出来た大人向けのSF・アクション映画であり、個人的には予想以上に楽しめた。
ただ映画として肝となる“画”的な迫力やスケールに欠け、いかにも低予算で製作されましたって空気が露骨なのが致命的な欠陥である。
まぁ~そのスケールの小ささも、オリジナルが持っていた「路地裏」感覚が発揮されていたと好意的に解釈しよう(苦笑)。
つい先日『機動戦士Zガンダム-2~恋人たち』を観たが、あの作品も恋人と称する複雑な人間関係がテーマであった。
あちらが恋愛の裏に秘められている狂気を漂わせているのに対し、この『THE FIRST』には恋人達の実に切なく儚い物語がメインにある。
ファンから批判される事も多い井上敏樹の脚本だが、今回もややベタベタな展開ながらも、仕掛けられた“捻り”がラストで実に効果的に観る者の胸を締め付けるのに成功している。
ただ愛する人と一緒に居たい、そして守りたいと言う願いは、決して報われる事はなく、また新たな悲しみになる結末にはグッと来てしまった。
あと本作の最大の“売り”であるアクションに関して言うと、これは素直に凄かったと言えるし観応えのあるものだ。
特に足技を多様する2号ライダーはカッコ良い!!
カット割りが無茶苦茶で何をしているか判らない最近のハリウッドのアクション映画に全く見劣りしない、非常にレベルの高いアクションをしっかりと見せて魅せる手腕とツボを押さえた演出は素晴らしい。
ホンマにもっと予算があり、スケールの大きい規模で撮影されていたら、文句無しに凄い傑作に成り得ただけに残念で仕方ない…。
もし噂されている続編があるのなら、次はもっと大きな予算と、演出と画的に“古さ”を感じさせない監督を起用して作って欲しい。
この新たに生まれ変わった1号・2号ライダーを、映画一作だけで終わらせるのは本当に勿体ないぞ!!

禁断の種

2005-11-03 03:48:30 | 映画
続いて『スピーシーズ3~禁断の種』を観た。
美しい異星からの侵略者を描いたSF・ホラー『スピーシーズ~種の起源』、本作が評判になったのは当時コレが映画デビュー作だったナターシャ・ヘンストリッジの存在が大きいだろう。
元トップ・モデルと言うキャリアを生かした人間離れした美貌と見事な肢体、そして大胆な脱ぎっぷりは観る者に強烈なインパクトを与えた。
作品としては終盤今一つ盛り上がりに欠ける展開だったが、ナターシャが演じ、ギーガーのデザインした“シル”の衝撃が作品を救ったと言っても過言ではないだろう。
世界的に大ヒットしたので当然続編が製作されたが、これが前作の物足りなさ軽く凌ぐ凄まじい作品だった。
この『スピーシーズ2』には前作で死んだシルに変わり、対異星人撃退用にDNA操作され誕生した新たな実験体“イヴ”が登場する。
イヴは当然ナターシャが演じた訳だが、イヴに対して『2』には“雄”のスピーシーズが登場する。
イヴもこの“雄”の対抗する為に登場するが、そのイヴは雄を前にすると封印されていた筈の“雌”の本能が覚醒し、スピーシーズの「純粋種」を交尾により繁殖させようとする。
この開き直ったエログロ・ナンセンスさを全開にし、更に前作以上の残酷描写を加えて、ラストまで疾風怒濤の勢いで駆け抜けるカルトな傑作となった。
『2』もそれなりにヒットしたので、すぐに『3』製作の噂がたった。
だがナターシャ本人がシル・イヴのイメージが定着するのを嫌い、続編への出演を拒否した為に『3』製作の企画は消滅したかに思えた。
製作側もナターシャの出演無くして『スピーシーズ』と言う作品はあり得ないと判断したのだろうし、ナターシャにも『スピーシーズ』以降出演した作品に大ヒット作が無いのも全てを物語っている…。
ところが忘れた頃に『3』が突然製作された、しかもナターシャ抜きと言う、これには驚いた!!
今回の『3』にはイヴの娘、つまり純粋種として新たにサラと言うスピーシーズが登場する。
サラを演じたのはナターシャの時と同じく、本作が本格的な映画デビューとなったサニー・エイブリー。サニーもナターシャと同じく人間離れした美貌と、見事な脱ぎっぷりによりシル・イヴに負けないサラを魅力的に演じている。
さて肝心の『3』の内容だが、そのまま『2』のラストから直結した展開である。
前作で大量に誕生したスピーシーズと人類の“混合種”と、イヴの娘である“完全種”であるサラ、そして人類が実験と繁殖の為に絡み合う物語だ。
出演しないと公言していたナターシャがオープニングで登場、サラを出産すると混合種にあっさりと殺されてしまう(笑)。
ナターシャのギャラが影響したのか、本作が思いっきり低予算なのが明らかなのが観ていて寂しい。
まぁ~低予算は仕方ないが物語があまりに散漫である。
サラを育てるマッドな科学者との疑似親子関係、混合種と純粋種との確執、サラと人間の主人公との淡い恋等…面白くなる要素も多いが、詰め込み過ぎで全く生かされていない。
あと肝心のエログロ的要素も何か中途半端だし、かと言ってスピーシーズ同士によるアクションも物足りない。
焦点さえしっかり絞れば、例え低予算でも充分に面白い作品になっていただけに残念である。
この『3』のラストを観ると、もう続編は作られないかと思うが…果たして?!

午前0時34分

2005-11-02 22:41:02 | 映画
今日は仕事がお休み。
午前中は通信の課題に取り組み、午後から近所のTSUTAYAさんに行って観たかった作品をレンタルする。
今日借りたのは『0:34』と『スピーシーズ3』、久々にホラー映画ばっかりなんで嬉しくなる。
まず一発目に観たのが『0:34』。
日本産ホラーや過去の名作のリメイクばかり目立った最近のホラー映画、さすがにホラー好きの僕もその傾向には食傷気味だった。
本作は何と英国産、日本・ハリウッド系のホラーとは一味違う雰囲気を持つ傑作でありました。
物語としては地下鉄の終電に乗り遅れ、無人と化した駅に取り残された人々を襲う惨劇…と言った感じだ。
本作の凄い所は観る者の感情移入を拒絶した、徹底した冷酷かつ不条理でザラついた硬質な空気が漂っている事だ。
まず本作の主人公であるヒロイン、これが高飛車で高慢な嫌な女なのだ。
ヒロインは次々と悲惨な事態に巻き込まれていくが、己の利己的な性格が災いし他人を巻き込み更に状況を悪化させていく。
彼女にふりかかる惨劇に対して、観ている間に「自業自得やな…」と思えていく展開は巧みであり、他のホラーと大きく違う点でもある。
そして本作の“真”の主人公と言えるのが、地下鉄に巣食う得体の知れない殺人鬼だろう。
この無慈悲で醜悪な殺人鬼は一体何者なのか? 何故コイツが理不尽な殺戮を繰り返すのか? 全く何の説明もされない。
物語の中盤でこの殺人鬼の正体を観る者に暗示させるシーンが登場するが、そこから導き出される“答え”はあまりにヤバくてブラックなモノである…コレに関しては多くは語るまい。
本作の持つ得体の知れない恐怖と不気味さは、あの『悪魔のいけにえ』に通じるものがある。
スタイリッシュながら生理的嫌悪感を誘う映像と、露骨で気合いの入った残酷描写の融合と言った点では『テキサス・チェーンソー』を思わせる。
いや~本当に凄く「イヤな感じ」のする映画である(笑)、それが何とも後味の悪く強烈な皮肉をこめた結末にも現れている。
久々に自分の中にある“暗い場所”を満たしてくれる作品でした(苦笑)、やっぱりこんなテイストを持ったホラー映画を観ると「Good Job!」と声高らかに言いたくなる。
久々に本当に“怖い”ホラー映画でした、ホラーが嫌いな人が観たら絶対に2・3日うなされるな。