興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

大切なのは戦うことではなくて繋がること

2021-04-15 | 戯言(たわごと、ざれごと)

誰かに何かをどうしても伝えたいとき、どうしてもわかってほしい時、私たちが陥りがちなのは、その相手と戦ってしまうことです。

戦ってしまって、相手を傷つけてしまったり、相手から深く傷つけられてしまったり。

そんなつもりはなかったけど成り行きでそうなってしまった、というケースはありますけど、始めからそのつもりの人はそんなにいないと思います。

始めはただ単に、どうしても伝えたいこと、わかってほしいことがあった、というところだと思います。

伝えたい、わかってほしい、という気持ちが強すぎるとき、私たちはこうした悲しい結果に陥りがちです。

何としても伝えたい、と切に思っている時、人はいわゆる戦闘モードに入っています。

そして、人間関係って鏡のようなものなので、こういう時、相手の方も戦闘モードに入っています。

鶏が先か、卵か先かは分かりませんし、これはきっとそんなに重要なことじゃない。

どちらから始まったにせよ、お互いが戦闘モードに入っている状況が良くないです。これではそもそもの始めから勝算は低いです。

こういう時、その相手と話し合いを始める前に、少し冷静になる必要があります。頭を冷やす必要があります。

言いたい、伝えたい、という強い衝動を何とか抑制するんです。その思いは相手に伝える必要がありますが、その態勢じゃありません。

こういうとき、「どうやったら自分の気持ちが相手に伝わるか」ばかり考えがちですが、一度この思考パターンから脱却する必要があります。

完全な脱却は現実的じゃないかもしれないですが、少なくとも部分的に脱却はできるかもしれません。

「どうやったら確実に伝わるか」という視点はとりあえず傍らにおいて、「どうしたら相手のこころと自分のこころが繋がれるのか」について考えます。

自分が伝えたいのと恐らく同じくらいの熱量で相手もそう感じている可能性が少なくないので、まずは相手を安心させ落ち着かせる必要があります。

相手が安心して落ち着いてくれたら、こちらの言い分を聞いてくれる可能性もぐんと上がります。

まずは相手の方に先に話してもらって、その後であなたの気持ちを伝えるというやり方です。

こうすると、「相手はこう思っているのだろう」という前提や決めつけが意外と多かったことにも気づくかもしれません。

この前提や決めつけが、分かりあえる可能性を低くしているので、こうしてことを取り除ければ、お互いが責めることなくそれぞれの気持ちを伝えあうことがしやすくなります。

戦闘モードから銭湯モードへのシフトです。いや、これが言いたくてこの記事を書いたわけではありません。

でも、相手と心地の良い銭湯の湯船に一緒に浸かっているように繋がれたら良いですね。

 


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