興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

会話と間主観性

2011-03-06 | プチ精神分析学/精神力動学

 毎週木曜の昼休みは、大学院のコートヤードでミーティングがあるのだけど,
今日は近くでどこかの民族の祝祭があり奏楽や歌や歓声で賑やかなことこの上ない。しかも昼飯を持参していないパートナーは空腹でその祝祭でありつけるであろうタダ飯のことばかりを気にしている。さらに、今日は30℃近い日差しの強い日で、野外でのミーティングにはまず最悪な状況が揃いも揃っていた。

 自分は彼をSuperviseしているのだけれど、インフォーマルなミーティングで、しかもこれほど気が散る要素が目白押しな日はダレてしまってもまあ仕方ないかな、などという考えが何度か脳裏を過ぎった。しかし結局なんとか踏みとどまったこともあり、それは幸い有意義なミーティングになった。

 ここで感じたのは、あらゆる会話というのは基本的に両者に50-50の責任があって、つまりその会話がどの方向に進むにしても、こちらには常に少なくとも50%の責任、それから、その会話の方向についてのコントロールがあるということだ。

 2人でほとんど無意識に作り出す雰囲気、間主観性(Intersubjectivity)によってそれはなんとなく支配されるものだけど、その間主観性は、2人のそれぞれの主観の融合と化学反応であるから、こちらがその都度気を引き締め直して、相手の言葉に集中して、その会話にコミットしている限り、その会話は「ある程度」のレベルを保って続いていく。

 それからもちろん、こちらの主観のあり方によって、間主観性も常に変化するもので、その結果相手の主観も変わっていく。その相手の新しい主観によって、さらに間主観性は変わり、それによってこちらの主観もさらに変わっていく。

 だから、なんとなく後味の悪い会話や、尻切れトンボな会話、物足りなさの残る会話、フェイドアウトした会話などあったら、それは少なくとも半分はこちらの責任だと思う。

 せっかく誰かと会話のであれば、たとえどんな小さなスモールトークでも、きちんと相手と向き合って、よい会話をしたいと思った。


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2010年3月19日


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6 コメント

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Unknown (Yodaka)
2011-03-26 15:28:03
りょうさん

レポート、お疲れ様です。お役に立てたようで嬉しいです。心理学は本当に奥が深く面白い学問だと思います。とくに超多文化社会アメリカの心理学はその歴史も含めて、まず世界一のレベルだと思います。どの学問もそうだと思うけれど、とくに心理学者は文字通り一生学び続ける立場にあります。お互い楽しんでやっていきましょう。

日本の家族、知人に対するお気遣い、感謝です。幸い、家族も友人も皆無事でした。姉一家が仙台に住んでいますが彼女達のところは無事でした。りょうさんのところは大丈夫でしたか。このような時期にアメリカで生活しているといろいろと複雑な気持ちも多いことと思います。なんか最近異様に寒く雨も多いですが(LAの空にこんなに水があったこと自体驚きです)、りょうさんもどうかご自愛ください。
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Unknown (りょう)
2011-03-24 07:25:56
こんにちは、先日コメント欄より質問させていただいたりょうです。
お忙しいなかご連絡ありがとうございました。
トピックはSex differences in jealousyに決めました、スゴく興味深いものだったので、教えていただいたウェブサイトですぐに見てみました、つい昨日それをなんとか提出することが出来たので今はほっとしています、大変参考になりました、ありがとうございました。
お察しの通りIntroductionのPsychologyです、どうやら教授は僕たちに既存の心理学的実験やその事象についてのsummaryに近いモノを求めていたようです。次のレポートはCulture-bound syndromついて勉強いてみようと思います。

これから真剣に心理学に取り組んで行くところです、これからも興味の赴くままに勉強に励みます。

ps.出過ぎた気遣いとは思いますが、日本にいらっしゃるご家族やご友人の方々は大丈夫でしょうか?加えてLAでは季節の変わり目です、Takaさんもどうかご自愛ください。
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Unknown (りょう)
2011-03-24 07:25:36
こんにちは、先日コメント欄より質問させていただいたりょうです。
お忙しいなかご連絡ありがとうございました。
トピックはSex differences in jealousyに決めました、スゴく興味深いものだったので、教えていただいたウェブサイトですぐに見てみました、つい昨日それをなんとか提出することが出来たので今はほっとしています、大変参考になりました、ありがとうございました。
お察しの通りIntroductionのPsychologyです、どうやら教授は僕たちに既存の心理学的実験やその事象についてのsummaryに近いモノを求めていたようです。次のレポートはCulture-bound syndromついて勉強いてみようと思います。

これから真剣に心理学に取り組んで行くところです、これからも興味の赴くままに勉強に励みます。

ps.出過ぎた気遣いとは思いますが、日本にいらっしゃるご家族やご友人の方々は大丈夫でしょうか?加えてLAでは季節の変わり目です、Takaさんもどうかご自愛ください。
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Unknown (YODAKA)
2011-03-12 14:26:36
りょうさん、

コメントありがとうございます。
課題の件、確かに漠然としていますね。
何のクラスですか。Statisticsですか?
何のクラスかによって、求めているものも
決まってくると思いますが、
たとえばIntroductionのPsychologyの
クラスなら、ホントに何でもよさそうですね。
個人的に興味のあるテーマは無数にありますが、たとえば、Culture-bound syndromeとか
日本からの留学生として面白いかもしれません。Taijin-kyofusho(対人恐怖症)とかHikikomori(ひきこもり)とか。社会心理学(Social Psychology)や進化心理学(Evolutionary Psychology)関連で、感情(Emotion)、たとえばAnger(怒り)の起源やAngerがどのように社会や人間関係で機能しているのか、とか。嫉妬(Jealousy)における男女差(Sex differences in jealousy)なども面白いです。また、Abnormal psychologyやClinical psychologyで、特定の精神疾患、たとえば鬱や不安障害、人格障害などの効果的な治療法などの文献を探してみるのも面白いと思います。

検索に関しては、大学の図書館のウェブサイトの学術論文のData baseを使ったほうがいいと思います(たとえばPsycINFO,PsycARTICLES,PsycBOOKS,PsycEXTRAなどに、検索したいKey word、たとえば前述の、"Culture-bound syndrome," "Taijin-kyofusho," "Sex differences in jealousy"など入力すると、そのテーマに関連したいろいろな研究の学術論文がPDFファイルで全文で閲覧、ダウンロードできたりします。これらのData baseに何らかの理由でアクセスできないならば、Google scholar(http://scholar.google.com/)が気軽で便利です。Wordで1ページ半、というと、相当に書くスペースが限られているので、教授が要求しているものも大きなものではないと思います。Citationはいくつ必要なのでしょう。WebsiteのCitationもありなのでしょうか。それも大事な質問だと思います。

いずれにしても、ちょっと気になったもの(そういえば、日本の甘え―Amaeも国際語で国際的な研究論文がたくさんありますね)を気軽に調べてみたらいいと思います。頑張ってください。
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Unknown (Unknown)
2011-03-11 05:12:03
↑ごめんなさい、名前を書き忘れてしまいました、りょうです、よろしくお願いします。
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Unknown (Unknown)
2011-03-11 05:09:00
こんにちは、勉強に疲れるとふと訪ねてしまう心理学勉強中でLA在住の学生です。学校の課題でリサーチペーパーを提出する事になりました、まだビギナーの僕たちに教授は楽しそうに"anything!"と言い放って、僕たちのリサーチペーパーを楽しみに待っています。、、、、何を書いたら良いかわかりません、今クラスでやっている事と言えば統計学です、加えてリクアイアメントはワード1ページ半です、一体教授は何を求めているのでしょうか?インターネットで調べても出てくるのぼ恋愛についてか心理?テストばかりで参考や興味になるテーマが見つかりません、そこでなにか心理学に基づいた面白い研究はありますか?お忙しい事と思います、知恵をお貸し頂けたらと思いご連絡させていただきました。お返事を頂けたらうれしいです。
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