図書館が、あれほど美しく、重要な場所として描かれた映画は「ベルリン天使の詩」をおいてないだろう、と思う。
(小説だと村上春樹が図書館を印象的に使う。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』『海辺のカフカ』。そういえばボルヘスも「バベルの図書館」というのを書いていたな。)
ともかくこの映画に登場するベルリン国立図書館に入るのは長い間の夢だった。去年だか、「入れますか」と尋ねたときには、ベルリン市に住民登録していないと入館できないと言われて、ゲートの前からすごすご引き返したものだ。
そしてこの四月、クロイツベルクにある市役所の分局で住民登録をしたとき、愛想のいい職員が「あなたはこれでベルリン市民です!」と言った。ドイツのお役人で愛想がいいというのは貴重なことだ。それとも僕がしばらくこういう手続きをしない間に、こちらでは愛想向上のトレーニングを義務付けるようになったのかもしれない。
その住民登録証を携えてさっそく図書館に行った。月間(10ユーロ)と年間(25ユーロ)の利用者証どちらかというので年間を発行してもらった。
中は広い。この図書館はハンス・シャロウン(1893-1972)の設計で1978年にオープンした。シャロウンは、図書館のすぐ近くのベルリン・フィルハーモニーを作ったことで有名だ(完成1963年)。中を歩いてみて感じるのは、開放性、明るさ、空間のリズムだ。
空間のリズムというのは、閲覧机や書棚、階段の配置が変化に富んでいるということ。それ自体がアートになっている。特に、階段が効果的に使われていて面白い。このリズミカルな空間構成のために、中にいて退屈しない。こんなに閉塞感と無縁の図書館ははじめてだ。
図書館の中を歩き回っているだけではなくて、ちゃんと本も利用しています。探している文献を手に取ることができて大満足。
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