戦後70年の日本の長者番付を見た。長者番付は戦後の1947年に始まった高額所得者公示制度による順位表だ。1947年度の初代長者は織物販売業の加藤尚という人物だ。当時は戦後の混乱期で新興成金が多かった。48年度の1位は貸金業の森脇将光、50年には朝鮮戦争が始まり、日本は連合軍の補給基地になり工場はフル回転で朝鮮特需になった。50年度から52年度にかけて炭鉱業者が番付に並んだ。53年には朝鮮戦争が休戦になり、特需も減り、松下幸之助などの電気メーカーの創業者が番付に出てきた。54年度には三洋電機井植社長が1位になった。電化時代で洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビがよく売れた。高度成長期に入った。56年度には石油の出光興産社長が番付に並んだ。竹中工務店社長やホテルオークラを作った大倉社長も番付に出た。60年代は国民所得倍増計画により高度成長して車時代になった。60年度の1位は石橋ブリジストンタイヤ社長、63年度は本田技研社長が6位に入った。64年度の1位は大正製薬社長の上原正吉、65年度は鹿島建設社長など建築業が並んだ。69年度は土地長者が増えた。70年代は波乱の時代だった。76年度にダイエーの中内社長が4位になった。著名作家も儲かって財産ができた。80年代は相場師とバブル紳士の時代だった。90年代はバブル崩壊後でサラ金、パチンコ、テレビゲームの長者が出た。2000年代はIT長者が出てきた。2位に楽天の社長、3位にソフトバンク社長が入った。長者番付は04年を最後に廃止されたが、米国の経済誌フォーブス日本版が日本の億万長者を発表している。長者番付で戦後の日本経済の動きがわかるようだ。