「すわたいしゃかみしゃほんみや」と読むのが正式な信濃国の一宮です。全国諸国を行脚して一宮参拝めぐりをコンプリートした友人がいて、さすがに真似ができないなあと思ってはみたけれど、僕も嫌いではないのでこれから神社へお参りするなら一宮をなるべく行ってみようと思うようになりました。諏訪大社は行きたいと思っていた神社の一つでしたので、仕事で茅野へ来たついでに足を運びました。諏訪大社が四つに分かれているので最初は本宮と呼ばれる「諏訪大社上社本宮」を選んでみました。諏訪湖から遠くない場所にありますが、車で移動した方が便利です。歴史は古く、いつからこうして祀られているのかはっきりしないそうです。諏訪湖を挟んで四つからなる神社も珍しいですが、この本宮も構成が普通じゃありません。まず本殿がないことが他の神社とまったく違います。ご神体が守屋山という山で、奈良の「大神神社」と似ている所があります。自然崇拝の流れですね。ところが拝殿(弊拝殿)はその山に向いていなくて、方向が違っているところがミステリーです。参拝する所も「拝所」といって弊拝殿の手前にある施設で、弊拝殿には近づけません。神様は更にその奥いることになっているのでガードが堅い神様です。また、参道は折り返し通路になっていて「布橋」と呼ばれる木造の廊下を歩かなくてはならず、独特の儀礼を要求してくる感じを受けました。諏訪大社といえば「御柱祭り」を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。その「御柱」は境内の四隅に地面に突き刺すように立っていて、まるで魔法の結界か風水の囲みのような機能を暗示していました。んー。この神社ただものではないなと思わざるを得ません。参道に沿って見物と参拝をしてきました。その中で興味を惹いたのが「勅願殿」でした。ちょくがんでん?これは天皇の祈祷を意味するらしく、弊拝殿では国家安泰並公事をするところに対して個人私事の祈祷は別にしているのだそうです。そして現在、「震災復興」の文字が掲げられていました。こんな神社他にないです。そしてその「勅願殿」の裏側が落葉樹からなる自然林になっていて守屋山へ続きます。立ち入ることができませんが、覗いてみると神秘的な雑木林なんです。クリ、カエデ、フジキなど大切に保護されています。鎮守の杜も諏訪大社になると天然記念物に指定され、昔のままの姿が今も残されているのです。見ていると木霊がいそうな気がしました。白神山地に行った時も感じましたが、原生林は何かわからないけどたしかに「もののけ」がいます。そして「もののけ」は身体に中に入ってきます。それにしても謎が多い「諏訪大社 上社本宮」でした。




