8月も終わりに近付き、暑さの峠も越えてこれから涼しくなるのだろうか。なんてクーラーの効いた家の中では思うのだけれど、一歩外へ出てみると、まだまだ暑い。ペットのミニチュアダックスを散歩に連れて行こうとすると、本人は暑くて叶わないことを察知してか、「サンポ」の声を聞くとすぐさまケージの中のキャリーの中に潜り込み、頑として出て来ようとしないポーズをとるので、「引きこもりか?」と訝しい気持ちを抱きながらも、おだててすかして外に引きずり出し、午後の散歩に出かけることにしました。やっぱり日差しは夏のままでした。日陰が恋しくなる道中、近くの公園まで犬と一緒に歩きました。セミの鳴き声は聞こえませんが、桜の木には葉が生い茂り、日光を浴びて生き生きと君臨しています。桜は花が咲く頃は注目されますが、緑を蓄えたその姿はそれはそれで生命力があります。その脇でカマキリがチョウを捕らえて、今まさに獲物を食らう場面に遭遇しました。カマキリは大きくなってハンターとしての貫禄がありました。餌食になったチョウはセセリチョウのようです。花の蜜を吸いにやってきたところを待ち構えていたのです。犠牲者がいることを知らんぷりするのか、もはや我が身に襲いかかりはしないとわきまえているのか、セセリチョウの仲間達がそのすぐそばで花の蜜を吸っていました。夏が終わろうとしていても彼等にはまだ活動期なのでした。帰り道、アゲハチョウが舞うのを何匹も見ました。気にしていると案外いるものです。田んぼにはシオカラトンボも飛んでいました。こうしてみると昆虫達は忙しそうです。田んぼの稲は花が咲いていました。稲穂になる前に稲は小さく遠慮がちな白い花を咲かせます。稲の葉はこの時期一番とがって真っすぐ伸び、威勢良く成長しています。住宅地の中に取り残されているかのように一角だけ緑の絨毯が広がっているように見えました。でもいつか埋め立てられてしまうのだろうと思うと少し寂しい気がします。家に帰ると何だか目の辺りが痒くなってきました。しまった!僕はアレルギー体質で稲にも反応するんだった。せっかく小さな自然を楽しんだのに。難しいなあ。
