神戸の街を歩くのが好きになりました。訪れた回数が一番多い街ではないのですが、現像されたフィルムの写真が徐々に浮かび上がるように好意を持ち始めています。神戸の街を歩いていると何かしら胸がわくわくするというか、嬉しくなるような感じがします。時々、泊まることはありますが、あくまでも通りすがりのトラベラーと代わりはないと思いながら、いつ訪れても気持ちがいいものです。神戸は三宮と元町の間が一番賑わっていますね。今日は、一休みにお茶を飲もうとして元町の喫茶館英國屋に入りました。三宮センター街の中にあります。お店の教育が行き届いているのか、とても品のある給仕に注文したのは、アールグレイの紅茶とシフォンケーキです。アールグレイは最高の香りで満足するものでした。シフォンケーキは席の前でバイオリンを弾くみたいにホールからカットしてみせてウエッジウッドの皿に盛り付けてくれました。甘さ抑えられたココア風味のシフォンケーキのしっとりした舌触りが特別を物語っています。神戸に居るんだと思いました。このお店のシフォンケーキは余程自信があるのでしょう。丸ごと注文することができます。神戸港は誰でも知るメリケン波止場から荷揚げされる小麦粉が有名ですね。そのためパンとケーキが美味しいと評判です。お菓子の味にはうるさいと思われる神戸では、喫茶のケーキも専門店並のレベルなんですね。外を歩けば、街行く人のファションも気になります。僕は、同性のファッションに目が行きます。銀座、横浜と並んで神戸の男性もお洒落です。履きだおれの異名もある神戸は靴屋も多く見かけます。靴がお洒落なら、自然と装いもお洒落になります。僕が生まれ育った田舎では、時代のせいもありましたが、男がお洒落に気を遣うなんて許されることではありませんでした。それでも若い時は反骨精神を使ってでも努力をしていたことを思い出しました。男がお洒落して闊歩しても、神戸なら許されるだろうし、見栄えもしたでしょう。ショウウインドウの中のマリン系のコーディネイトにも目を奪われました。阪神大震災の後の神戸の街を忘れることはできませんが、今はその爪痕も隠れてしまっている気がします。帰りに新神戸でお土産を選びました。美味しそうなチョコと思って支払いをしたらモロゾフでした。モロゾフだったら神戸で買わなくてもどこのデパートだって買うことができます。・・・それでもいいか。
