昔だったらゴマンとあった貧乏映画が現代では逆光のようにまばゆいから不思議です。東亜優が現実を静かに受け入れていく姿勢が感動を呼ぶのかなあ。
対照的にその現実を呪いただ逃避している兄に対してそれさえ受け入れていく少女。不思議な優しいおばさんが新興宗教のただのゼニゲバだったり、世の中の悪臭を一手引き受けざるを得ない生活の中で、彼女はただ生き続ける。
少女にとって安心できる巣である文化住宅は相変わら . . . 本文を読む
400頁そこそこの長編なんだけれど大半読み終わってもミステリーって感じしないんだよね。この世界はまるで伊坂幸太郎です。社会から隔絶されている人間たちが寄り添って生きていくそして過去の仕打ちに復讐することで一心同体になる。
ほとんど道尾の本は読んでいるけれどこれほどミステリーから離れているのも珍しいと若干フラストレーション気味になっている自分に気づく。あれ、いよいよ道尾も普通小説を書くようになって . . . 本文を読む
予告編からは考えられない完成度の高い映画です。結構、飛行機オタクっぽい内容がてんこ盛りなんですが、映画の常道どおりの作り込みで、コメディタッチにしてあるものの、芯がびしっと効いているので思えば堅物のドラマでもあります。
最初から最後までANAの監修が入っていると言えるほど、そりゃあ見事なまで一機の飛行機の搭乗から着陸までの哲学を描いているのです。それを多彩な出演者で繰り広げているから観客にまんま . . . 本文を読む
大勢の女性観客を見て、何かほとばしる予感はあったんですが、、。
キモイ生物体が出現し、最後では臭いまでしまくるという感覚的にはついていけない映画でした。ルームシェアしている二人の女性が主人公なんですが、台湾でもかなり裕福そうな部屋に住んでおり、何か台湾と言うアジアの現実から遊離している感もないではない。
まあ、そんなことは置いといて、実に馬鹿馬鹿しいラブコメなんです。男二人の描き方も全く内面が . . . 本文を読む
3人が心に痛みを抱え現実から遠ざかり、何かを求めて或いは何かを忘れるために、どこでもない心の旅に出る。
どこかで見たことのあるような、決して新しいテーマではないんだろうけれど何か心に染み渡る砂漠の一杯の水のような映画であります。
主人公の若い男。映画の録音技師なんだが愛する人との別れが耐えがたく仕事もクビになってしまう。そんな彼は録音機一つを持って自分がいるべき場所を探し、自然音を録音して旅に . . . 本文を読む
考えたら僕は前作の2も見てるんだよね。本作も完全B級映画に徹しており、見る時、頭の構造をばっさり変えてしまえばまさしく魅力的な映画なんでしょうが、昆虫と戦争と宗教との融合がまるっきり理解出来ない我輩は、この映画の楽しさ(とっても馬鹿馬鹿しいオタクっぽさ)に附いて行けず、ホント困り果ててしまいました。
これって、アキバ系少年たち(オッサンも含む)が最も好む映像だと気づいたのは映画を見て5分ほどでし . . . 本文を読む
乙一の映画化作品はすべて見ています。乙一の大ファンです。今回も興味津々俄然気持が高ぶっています。そして、、
何か今までとは違った乙一の世界です。まず色彩が鮮明でなく、凡庸です。色作りにはもっと凝って欲しかった。そしてハナシがいじめを題材にしたものであるからとはいえ、あまりに一本調子で(先生はそうかもしれないが、クラス全員が加害者になっている設定はちょっと訝る。完全ホラーを目指しているのならそうい . . . 本文を読む
多島斗志之を初めて読みました。いま評判のミステリーらしいです。
もう云十年もミステリーを読んでいるが、この小説はミステリーなんでしょうか、、。ちょっと訝る気持ちが残ってしまいます。
確かに関西弁を会話通りに活字にしていてしかも美しい。これは快挙だと思う。関西弁って活字で美しく描かれることは少ないから、、。
しかも、中学生の年齢なんだけれど本格的な恋愛ですね。周囲の入り組んだ人間関係も描写がうまい . . . 本文を読む
成瀬巳喜男の作品から昭和30年代を眺めている。映画の中には入っているけれども評論といった形は取っていなし。
だから、結構成瀬作品でありながら、辛辣なことも文章になっている。素直な言い方だ。褒めちぎることは全くない。むしろけないしていることのほうが多い。
それは映画評論ではないから、当然かもしれないが今や消えてしまっている生活感覚が主眼の書きものなのである。言葉づかいも平成では全く使われなかったも . . . 本文を読む
2時間半の長時間であったが、結構長く感じる合間もないまま登場人物が飛び交っている。戦後63年もたてば戦後なんて言葉も死語だろうという立脚点からこの演劇は成り立っている。
防空壕を60年ぶりに発見するといった冒頭からさまざまな戦争感がいぶりだされるが、言葉を抑えていたせいか、静かな反戦ドラマだと思えた。戦争のことを私たちは忘れることなく、後世代に伝えようとする作者の意図は我々観客に十分伝わっている。 . . . 本文を読む
12/1
明日は東京で朝から会議をするので休みを利用して前日に昼過ぎに羽田に到着する。今日は夜に友人たちと飲み会だ。時間があるので、六本木に出た。
簡単に食事をして「六本木シネマート」へ。ここは韓国映画を結構やっているところだ。1,2回来たことがある。
夜の会場が六本木なのでここで時間をつぶすことにしたのだ。時間的に映画を2本見ることにした。「最強☆彼女」、「ファムファタール」。前者のクァク・ジェ . . . 本文を読む
心の震えを久々に感じ取ることの出来た秀作だ。いじめというものを本質的な視点からフォーカスをしっかりと絞り、切り取ることに成功している。
わずか一月ぐらいであろうか、いじめで疲弊した教室に代用教員として阿部寛が登校する冒頭シーンは、緊張感とこれから始まる嵐を予測する素晴らしい映像である。バスで読む文庫本。降り立って校舎を仰角して見る彼の視線は今から始まる戦争を予見するものである。
セリフはないも . . . 本文を読む
韓国一の清純派女優ソン・イェジンさまが初めて悪女役に挑戦、といった触れ込みの映画でしょうなあ。映画館もそれなりに韓流では珍しく男性の人数が女性より多かった。これは快挙です。
冒頭から日本人ファン向けなのか大阪でソン・イェジンがスリに失敗し、剃刀で相手を傷つけ逃げ惑うところから始まる。怪しげな日本語、少々たどたどしいがこれもサービスなんでしょうなあ。
ぐっと脇の開いたチャイナドレス、太ももまでグ . . . 本文を読む
クァク・ジェヨン監督、「猟奇的な彼女」のエンターテインメント性はどこに行ってしまったのだろうか、彼のファンからすると何とも言えないほろ苦さが残る作品であった。
スランプなんだろうか、この作品には今まであった独創性がほとんど感じられず、何も知らないでこの映画を見た人がクァク・ジェヨン作品だと気づく人はいないのではあるまいか、と思われるほど新鮮さに乏しいストーリー展開なのであります。
恐らく彼の脳 . . . 本文を読む