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呉清源 極みの棋譜 (2006/日=中国)(ティエン・チュアンチュアン) 85点

2007-12-05 22:13:27 | 映画遍歴
恐ろしいほど冷酷な映像美に目を見張る。演出も映像ですべて見せるという手法でなお且つせりふは簡潔だ。こうなると、観客は映像からすべてを嗅ぎ取る準備をしなければならなくなる。
こういう映画は好きだなあ。いま、説明過剰の映画が多すぎるので、日本を描こうとする気負いがすばらしい映像美となり、じっくり映画を構築していく。
外国人の監督による異国語映画って、昨年のアレクサンドル・ソクーロフの「太陽」もそうでしたが、どうやって演出をするんでしょうね。通訳経由で100%監督の意思が通じるんだろうか、、。
全編日本語のせりふ。中国人がチャン・チェンの日本語のせりふをどう思うのだろうか、、。内容が日中戦争の微妙な時代の話、その上中国人が日本に帰化するという中国人から見ると反逆的な映画でもあるのだ。なんせ、中国人が日本人として徴兵検査を受けるのだ。
そんな風に、この映画はどのような角度からでも複層的に眺めることのできる1級の映画だ。
ただ、呉清源の碁を通しての精神性は映像を通して伝わるが、問題は僕たち観客がこの映画から何を受け止めるかでしょう、、。
そういう意味では個人的な何かに触れる映画ではないのかもしれない。しかし、映画そのものの骨格はすこぶる太く、映像ですべてを語りきろうとする映画ならではの芸術性はかなり高いと思う。個人の心に、生き方にそれほど触れなくとも映画そのものをの深さに感動するそういう映画もあるのだと思う。
中国映画久々の秀作。

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