トリイホールの出し物ではかなりまともでハートフルな演劇であると思う。5人の女性たちの、花香る高校生時代から70歳ぐらいまでの、ある意味現代版女の一生である。
この林龍吾という人は女性の機微をかなりお分かりだと思います。想像だけでは描けない5人の女性の実像をさらりとエッセンスを詰め込んで色濃く描いています。
それぞれの話が語られるのだが、やはり主軸の、ことねさんと川田恵三さんのカップルの話が後々印象に残る。東京に出て3年で破局にあったと思われ、その後ことねさんの結婚後に不意に現れる川田さんに、だれもが不倫を思うが、何と、後でわかる真実を知るにつけ、、この展開は本当に見事であります。
目の前に暗く感じられた視野が、急に青空が出てきた感すら感じられるさわやか感が充満します。素晴らしい。
冒頭とラストの連結も見事でした。印象深いラストとともにしばらく忘れない秀作となりました。
途中で、おにぎり屋でのパートおばさんお二人の掛け合いがとても面白い。どちらかというと人生を暗い雲間と見なす展開に、さっそうと吹く一陣の風となりました。川田氏はとても楽しんで演技されてましたね。特にこの場面、きらめいてたなあ。
なるほどね。こういう風に人生をさらっと語ることも演劇ではできるのだ。見事でした。
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