いつもながら前知識ゼロでこの映画を見ていた。冒頭の永作が女に電話をしているシーン、、。
話の内容から僕はてっきり永作が愛人の方だと思っていたので、最初ちょっと戸惑った。これは面白いとも思ったが、考えたらみんなある程度筋書ぐらいは知ってて映画を見ているから斬新とは言い難いのであろうか、、。
考える間もなくイモが闖入し、こりゃあどうなることか、と。ここからが現実を通り越した映画の世界に入って行くんだよね。
お弁当の最初と最後の比較もなかなかいい。あの、手の握り方からこの母娘は最初からうまくいってたんじゃあないかい。こういうちょっとしたどんでん返しもいい。
ただ僕は男だからかはっきり分からないが、この映画は子供のいない女性にとってはとても苦しい映画なのではないか、と心配もする。というのも、最後に夫が永作を選ぶのは愛人の方の欠陥ぶりから当たり前の話で、このパターンが子供のいない夫婦(実際愛人に子供を産ませている夫婦)の拠り所にならないからである。
通常は妻よりどこか優しい女に男は溺れて行くのである。(そうでもないか?)ましてや、愛人の上の男の子は前男との連れ子であり、家に入ってきて夫の母親を看病するとは到底思えない代物である。
ある意味これは子供のいない夫婦の在り方を考える映画とはなっていないのである。(こういう捉え方自体おかしいのかもしれないが)
淡路恵子は久しぶりに怪演するし(でもこの豹変するシーンもちょっと嘘くさいよね。)うまく俳優を使っている。何より若い時の父母があまり著名な俳優でなかったのがよかったと思う。
結局この世にいない人が残してくれた宝物をみんなで享受するという、主役は映像には出てこない人なんだよね。(確か享年70歳と出ていた。)これは映画館を出てからかなり面白いと思った。
永作、石橋は予想通りの的確な演技。岡田将生はちょっと浮いていたけれどあんなものか。やはり二階堂ふみと若い時の父母役中野英樹・荻野友里をほめるべきだろう。
予定調和の映画だったけれど読後感はかなりよし。今年のベストテンには入るのではないか。
私は、映画に関するイベントをしています。
よかったら、参加してみてくださいね。