急に見ることになった演劇で、正直それほど期待はしていなかった。ところが、韓国俳優二人の共演が、特に言語の違いを感じさせない工夫により、随分生芝居の迫力を醸し出してくれる。
8年間にわたる女と男の愛の物語である。二人を介しているのは亡き夫である。舞台となるのは小料理屋。そこは夫が残した唯一の場所・オアシスであった、、。
この店に通う人たちを写しながら、彼らの人生をじっくり描いてゆく。バブルを背に変わりゆく日本。彼らはまさにその影響を受けた人たちであった。
この小料理屋のママ、すこぶる清楚な女性に扮する桂ゆめさんが驚くほど美しい。檀れいに似ており、とても華やかである。通常、小演劇では見ないほどの美貌である。
亡き夫と夫の友人と間に揺れる心。演劇なんだが、まるで映画を見ているようなきめ細かい情景を見ることになる。
宝くじが当たったり、超セレブが二人も出現するなど、随分エンタメ要素もあるなあと思っていたら、ラスト近くになって二人の愛の次元が告げられ、観客は驚きで奈落の底に落とされる。なんとまあ、、。ものすごい極愛である。そんな愛があるのだろうか、と僕は頭が真っ白になる。
でもこれがこの劇の崇高さをさらに極めてゆく。さて、やはり二人は別れてしまうのかと思いきや、最後の最後でやっと立ち止まる。その微動作の美しさ。感動の極み。そして幕。
いい劇を見たなあ。今年見た劇でも有数の出来だ。今日はいい日である。気持ちもルンルン。だが、外を出ると真夏の蒸し暑さ。でもそんなこと全く気にしないで駅前まで歩く僕。熱風も気にならない。
⚫同志社大学第三劇場『一千夜物語』
⚫安住の地『渓谷メトロポリス化計画』
⚫本若『龍栖に咲く-霧ヶ城恋歌-』
⚫SKE48研究生『青春ガールズ』
⚫龍谷大学劇団未踏座『テノヒラサイズの人生大車輪』
⚫神戸大学自由劇場『SPOOKY HOUSE』
⚫いいむろなおきマイムカンパニー『butterfly effect -バタフライ エフェクト-』
⚫BLACK★TIGHTS『狐姫』
⚫Micro To Macro『リトル・ソング』
⚫ジャグリング・ユニット・フラトレス『二階建ての家』
⚫大熊隆太郎×アカルプロデュース・劇団SOLA『スポチャンストリート』
⚫ももちの世界『黒いらくだ』
⚫よしもと×アカル Off-Off-Broadway 0F『SYK』
⚫中野劇団『楽屋ちゃん2017』
⚫ダンスイベント『ココロ、オドル。』参加アカルプロデュース公演『ダンス×ボーカル×アクトステージ』
⚫鶴見商業高校演劇部『フレンズレンジャー』
⚫劇団つちの娘『農業少女』