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茜色に焼かれる (2021/日)(石井裕也) 80点

2021-06-03 09:22:59 | 映画遍歴

出演者がマスクをしている。いわゆる現代、まさに今の映画である。2極化した日本の現実。もちろん、弱者の方が圧倒的に人数は多い。その弱者たちからの目線で現代の問題点を切り取った映画と言えようか、、。

冒頭は上級国民から夫を奪われる尾野。相手が詫びを入れないので、保険金受理さえ拒否する。一途、一徹。けれど生活のために夜はソフトサービスの風俗で働く。リアルでなかなか面白いシーンだ。

その風俗仲間のケイが生まれつきの糖尿病、父親からの性的DV、そしてこれでもかと子宮頸がんまで発病している。生きてる意味を考えさせるには酷すぎる状況。もともと「I was born」なんだから、受け身形なのだ。だから生きる意味を問うのは愚問のはずなんだけど、今回だけは考えちゃうネ。

それにしても、アルバイト先の店長の嫌がらせや、息子に対する学校のいじめや担任の先生の現実はもはやコロナウイルスと同様の毒ガス兵器と化している。ましてや、被害者なのに守るどころか団地の自治会という身近な組織までが兵器へと変貌する。

そうなると弱者たちはどうやって生きていくのか?

マスクをしているだけで自分を守れるわけがない。映画では弱者たちが手をつなぎ、かろうじて身を守ることができたが、早々続かないだろう。でも、ボロチャリンコに二人乗りして、まあ頑張るしかないか。とペダルをこぐしかないのかな、、。それでもいつかいい日が来る。

今こそ見る映画だと思います。2時間を超える作品ですが、全然長く感じませんでした。ちょっぴり勇気もくれます。ぼんやりと希望も見えてきます。

まさに、現代版「今を生きる」映画です。石井とはずっと相性がいいです。


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