東ドイツ時代の思想スパイに巻き込まれたミュージシャンの実録版。思ったより深刻さは映像からは感じなかったが、音楽シーンのすごさに圧倒される。政治映画というよりむしろ音楽映画だ。
日本でも戦前の特高警察が存在していた時代にはこういう生活スパイがあちこちにいたのだろうと想像させられる。ただし、日本の場合は完全にオフリミットで、一部しかこういう存在を公にされていないのではないだろうか、そんな気がします。
ラストのコンサートでの告白シーンはこの映画屈指の山場ではあるが、やはり西洋人独特の合理化精神に驚かされもする。日本ではこうはいかないだろうなあ、と思う。
また、バンド仲間から妻を奪い取ってしまう主人公だが、(ただ女が自らの意思でそうなっただけなのだと思うが)子供もなついて来るに及び、コキュになった仲間が気の毒。人間って身勝手だなあ。でもなかなか人間の自由を描き、興味深くもある。
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