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オリゴ党「天才だって死ぬ」(作・演出 岩橋貞典)(於・シアトリカル應典院) 80点

2016-04-10 20:50:02 | 演劇遍歴

真四角に近いコートの四方に観客席が設定されている。この手の演劇で愚作は見たことがない。恐らく作り手は観客にどの角度からも見てほしく、前衛的でもあり、何より自信があるのだ。俳優からすると逃げ場がなく、恐らくいつもの舞台よりは恐怖を覚えるのではないだろうか。

総勢14人ほどの登場人物。男性が5人だから、女性がほとんどである。なかなか興味深い設定で、天才と崇めたてられるマツオが中心人物である。マツオの周囲に男と女が群がっている。独特な発想をもとに企業に利益をもたらすマツオはある意味独裁者でもあった、、。

この難解な役柄に出本雅博が挑んでいる。彼は常にその役柄になりきる。今回はほとばしる彼の妖気がその狭いリング状の舞台から爆発しているがごとくに迫力があった。凄い役者である。彼のなりきり度にはいつも果てしないものがある。

天才と言われる男の企みとその終わり。最後は一瓶のフラスコの液体となり、床に流れ出される。そこに照明が映され、怪しい美しさを醸し出す。彼の企みはあえなく壊れ散る。

主題が天才とは、というものなのだろうが、このマツオがそれほど天才だとも思われないので、テーマが僕には少々希薄だった。(だって、モーツアルトでさえ努力の人だと聞いている。苦しんで苦しんであの名曲を作ったのだ。音楽は沸いてくるものではないのである。)

でも、実に美しい舞台で、感動してしまった。また、セリフは特に前半は形而上学的であり、なかなか面白く、むしろポエムであった。


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