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浪花グランドロマン「夢見る年頃」(作・演出 浦部 喜行)(於・ウイングフィールド) 80点

2017-05-13 18:37:22 | 演劇遍歴

女性4人がシェアハウスで暮らしている。そして彼女たちが話している内容は、といえば、取るに足りないお話ばっかり、まるで女子会を覗き込んでいるような錯覚にさえ襲われる。しかし、設定がどこかあの秀作虚空旅団の「誰故草」を思わせるのはなぜだろう、、。

ところがこの劇、2/3を過ぎたあたりから、急転する。彼女たち40代に見えた風貌は放射能を浴びた病気のせいであり、医者たちからも騙され監視下に置かれているという。そのあまりのギャップに観客はおののく。

何とも言えないまま劇は終わるが、それでも虚空旅団とは違い、あくまでも明るい。ひょうきんなのだ。そこが浪花グランドロマンの特性だし、魅力的なる所以でもある。

チクリと現代を風刺した上で、しかも現代人に何が必要なのかを教えてくれる秀作であります。

俳優陣はめりさん他、何度もどこかで見た人たちだ。このチームワークもかなり優れております。読後感もいいですなあ。

終演後、僕の前の席に出本雅博氏が座っていた。先週シアトリカルでランドセルを抱えた少年の役を怪演したお気に入りの役者さんである。そういえばこの方を初めて見たのも2年前のこのグランドロマンのテント公演だった。あの時はつぼさかまりこさんを見に来たんだけれど。

でもまだたったの2年なんだ。この2年は随分時間が濃密だっただけに、何だか随分と前のことのように思われる。相変わらず小心者の僕は話しかけられずにそのままエレベーターで降りる。屋外は意外と涼しい初夏のたたずまいであった。


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