随分久々のルコント作品。出し物はあっと驚くハーレクイン風純愛もの。ドイツの話なのになぜか全編英語。と、ちょっと多少違和感のある作品ではありますが、さすが老巨匠、腐っても鯛、なかなかの雰囲気、愛の情念を伝えております。
ルコントが描きたかったのは、プラトニックラブが、激動の時代を超え、8年という歳月にも堪え抜き、十分朽ち果てることがなく強く持ち続けることができるだろうか、ということだと思う。
確かに、口づけ一つだけで、世界大戦で離ればなれになり、一方では夫も子供もいながら一人の男を思う気持ちが存在する。それは文学的である。驚くのは8年ぶりに出会う二人にうろたえることなく強い愛の自信が存在するということである。
プラトニックラブはそれほど強いものなのか。僕のような凡人には理解さえできませんが、それでも現代の世相を考えるとき、こういう愛の姿は素晴らしく凛々しいと思います。
映像もルコントのテクが優れて鑑賞に十分耐える出来です。鮮烈な愛の姿をスクリーンで見るいわゆる恋愛映画の王道でございます。年末に貴重な時間をいただきました。
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