総合的に優れてる、と言ったら身も蓋もないが、欠点のない映画である。冒頭のフランスを嫌が応でも見せつけるシーンから、ラストとのシンメトリーする対称性、沸々と怒りが爆発する心理描写といい、うまい。
舌を巻く。才能なんだろうなあ、こんな映画をさらりと撮れるということ自体別格の映画ですなあ。
と、こう賛美しているようですが、実はあまり好みではないです。作品が立派なのと、映画の嗜好とは別物です。
でも、とは言いつつ、また作品に戻ると、無駄なシーンが一つとない。スラムでの執拗な生活臭のリアル。さらに、それぞれの警官が疲れ果てて、実生活に戻るときにふと感じるただならぬ人生観。その時、僕はふと我に戻った。この人は人間を知っとるね。まだ若いのに人を見るそのまなざしは本物だ。
全体的な感想を言えば、視点が体制側から描かれているのだが、観客の視点がどっちつかずに揺れることかな。こういう描き方はまた珍しい。こういうしたたかなところがこの人の大人の部分なんでしょう。ずるいといえばずるい。でもその分作品の構造が重層的になっているのも事実。すこぶるうまいんだ。
と、嗜好は別とは言いつつ、すっと褒めてますね。いやあ、やはり好きなのかなあ、、?
しばらく演劇も見ておらず、でも慣れてきました。
不思議です。
そうですね。褒めながらもどこかでそれを否定したい気持ちがあって、こんな表現になったと思います。
正しい表現ではないですね。
修正します。
ご指摘ありがとうございます。
お久しぶりです。私も観ました。あの『レ・ミゼラブル』と早とちりして上映が始まってから「?」と(苦笑) でも社会派的な考えさせられる作品でした。
ところで文章に気になるところが有りまして。。「あげつらう」の意味を良い意味で使用されているように読めるのですが
論う
(読み)アゲツラウ
▽論うあげつら・う〔つらふ〕
[動ワ五(ハ四)]物事の理非、可否を論じ立てる。また、ささいな非などを取り立てて大げさに言う。「人の欠点をいちいち―・う」
[可能]あげつらえる(『デジタル大辞泉』)
( 動ワ五[ハ四] )
物事のよしあしについて論じ合う。また、欠点・短所などをことさらに言い立てる。 「過去の失敗を-・う」 「細かいことを一々-・うのは控える」
[可能] あげつらえる(『大辞林 第三版』)
というように私は否定的な意味でしか使用したことが有りません。例えば「全然大丈夫」がOK(諸説有る)なように肯定で使用することも有るのかと。。御教示くださいましたら幸いです。